Talking Heads - More Songs About Buildings And Food (1978)
Talking Heads 1978

Talking Heads - More Songs About Buildings And Food (1978)

Rock Indie Rock New Wave

Talking Heads『More Songs About Buildings And Food』(1978)について

Talking Headsの2作目となる『More Songs About Buildings And Food』は、1978年に発表されたアルバムだ。ニューヨークのCBGB周辺から出てきたバンドが、デビュー作で示した乾いた感触や切れ味をそのままに、演奏のまとまりと曲の輪郭を一段はっきりさせた作品として位置づけられる。パンク以後の空気を受けながらも、単純に勢いだけで押し切るのではなく、リズムの置き方や音の隙間まで含めて組み立てていく作りが目立つ一枚。

オリジナル盤はUSのSire、カタログ番号はSRK 6058。盤面には1978年のリリースであることが示されており、同年7月14日発表のセカンド・スタジオ・アルバムにあたる。Sireは当時、RamonesやDead Boys、Talking Headsのようなニュー・ウェイヴ/パンク周辺の新しい動きにいち早く関わったレーベルで、この作品もその流れの中にある。レーベルの持つ「新しいバンドを押し出す」性格が、Talking Headsの初期像とよく重なる。

Brian Enoとの最初の接点

このアルバムで重要なのが、Brian Enoとの初共演である。制作はロンドンでの出会いをきっかけに進み、録音はバハマのCompass Pointで行われた。Enoは単なるプロデューサーというより、曲の組み立てやテンポ感にまで踏み込んでバンドの音を変えていった存在として語られることが多い。中でも「Take Me to the River」ではテンポを落としたことで曲の輪郭が変わり、結果としてバンド初のラジオ・ヒットにつながったとされる。

実際、この曲はアルバムの中でも最も広く知られた1曲で、後のTalking Heads像を外に広げた入口のような役割を持っている。原曲の持つソウル色を、より硬質で整理されたバンド・サウンドに置き換えた印象が強く、David Byrneの歌い方も含めて、ここで初めて「Talking Headsらしさ」が一般のリスナーに届いた感じがある。

内容の特徴と聴きどころ

全体を通すと、1作目よりも演奏が揃っていて、曲ごとのまとまりも強い。Chris Frantzのドラムは細かく跳ねすぎず、Tina Weymouthのベースは低音で支えるだけでなく、曲の推進力そのものになっている。Jerry Harrisonの加入もあって、音の厚みが増しつつ、David Byrneの語りかけるようなボーカルが前に出る構図が明確だ。ニュー・ウェイヴの枠で語られがちな作品ではあるが、リズムの組み方にはファンク寄りの感触もあり、のちのアフロビートやダンス・ミュージックとの接点を思わせる部分もある。

曲順の流れも含めて、単発の名曲集というより、アルバム全体で温度を上げていくタイプの作り。派手な音色や過剰な装飾は少なく、ギター、ベース、ドラム、キーボードの配置がかなり明快だ。そのため、音数は多くないのに情報量は多い、という聴き方になりやすい。レコードで聴くと、各パートの隙間がそのまま空気として残るのも面白いところ。

当時の評価と位置づけ

商業面では、アメリカのBillboard 200に初めてチャートインし、英国では最高21位を記録した。シングル「Take Me to the River」は米Hot 100で26位まで上がり、Talking Headsにとって初の全米トップ30ヒットになっている。デビュー作で築いた批評的な評価が、この2作目でより広い層に届いた、という見方がしやすい。

同時代の文脈で見ると、Talking HeadsはThe Velvet Undergroundのような都市的な冷たさや、パンク後のミニマルな緊張感を持ちながら、単なるアンダーグラウンドのままで終わらない方向へ進んでいく。その意味では、同じくニュー・ウェイヴの文脈で語られるDevoやWire、あるいは後年のインディー・ロック勢にもつながる、構造のはっきりした演奏と知的な距離感がここにはある。

ジャケットと盤の見どころ

ジャケットはメンバーによるポラロイド写真を使ったコラージュで、作品の持つ手作り感と実験性が表れている。なお、このUS盤は黒地に白文字のインナー・スリーブに歌詞とクレジットを収録しており、表記としては「℗ 1978 Sire Records Inc.」「Sire Records, Inc. Marketed by Warner Bros. Records Inc.」「Made in U.S.A.」が確認できる。オリジナル期のUS盤らしい、レーベル移行期の空気も感じる仕様だ。

『More Songs About Buildings And Food』は、Talking Headsが「変わったニュー・ウェイヴ・バンド」から、独自の方法でポップ・ソングを組み替える存在へ移っていく途中の記録として見える。タイトルのユーモア、演奏の節度、Enoとの接点、そして「Take Me to the River」のヒット。どれも派手に誇張されるタイプではないが、1978年という年の都市的なロックの輪郭を、かなり明確に残した作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Thank You For Sending Me An Angel 2:11
  2. A2 With Our Love 3:30
  3. A3 The Good Thing 3:03
  4. A4 Warning Sign 3:55
  5. A5 The Girls Want To Be With The Girls 2:37
  6. A6 Found A Job 5:00
  7. B1 Artists Only 3:34
  8. B2 I'm Not In Love 4:33
  9. B3 Stay Hungry 2:39
  10. B4 Take Me To The River 5:00
  11. B5 The Big Country 5:30

動画プレイリスト

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