Terry Callier - What Color Is Love (1972)
Terry Callier『What Color Is Love』
テリー・キャリアの『What Color Is Love(愛の色彩)』は、1972年にチェス・レコード傘下のカデットから出た2作目のアルバム。シカゴ生まれのキャリアが、フォーク、ブルース、ジャズを越境する歌とアコースティック・ギターを軸にしていた時期の作品で、シカゴのRCA Studiosで録音された。カデットでのキャリアを象徴する、名匠チャールズ・ステップニー(Charles Stepney)とのコラボレーションによる「カデット3部作」の中心をなす傑作である。
制作背景・エピソード
このアルバムは、キャリアの弾き語りによるアコースティックな骨格に、ロータリー・コネクションやアース・ウィンド&ファイターを手がけたチャールズ・ステップニーの壮麗で神秘的なオーケストレーションが融合した最高峰の成果だ。冒頭の「Dancing Girl」は9分近い長尺曲で、繊細なギターのリフとハープ、雄大なストリングスが押し寄せるフォーク・ソウル屈指の金字塔。「Ho Tsing Mee (A Song Of The Sun)」には当時のベトナム戦争への反戦の祈りがストレートに込められている。
なお、オリジナル盤はカデットの親会社であるGRT CORPORATIONクレジットがリムに入り、ラベル上部にタイトル、その下にアーティスト名が配置された仕様となっている。
時代の文脈
1970年代初頭のシカゴでは、ニュー・ソウルの潮流の中で社会意識や精神性を高らかに歌うブラック・ミュージックの革新が進んでいた。マーヴィン・ゲイ『What's Going On』やカーティス・メイフィールドの諸作と並び、本作も同時代の精神的深みを体現している。キャリア自身はカーティス・メイフィールドやジェリー・バトラーと幼少期をともに過ごし、その深い音楽的ルーツを共有していた。
フォーク・ギターの爪弾きとジャズの即興性、ステップニーのオーケストレーションが見事に結実した表題曲「What Color Is Love」ではキャリアの温かいバリトン・ヴォイスが胸を打ち、「You Goin' Miss Your Candyman」ではうねるベースラインとスピリチュアルな高揚感が際立っている。
後世への影響
リリース当時は大きな商業的成功に恵まれず、キャリアは1983年に音楽界を引退。シカゴ大学でコンピューター・プログラマーとして静かに暮らしていた。しかし1980年代末から1990年代初頭にかけて、ロンドンのアシッド・ジャズ/レア・グルーヴ・シーンで奇跡的な再発見を遂げる。
ジャイルス・ピーターソンやエディ・ピラーらのDJによって発掘された「You Goin' Miss Your Candyman」や「Dancing Girl」はクラブを熱狂させるアンセムとなり、キャリアはロンドンに招聘されて感動的なカムバックを果たした。その後、ジャイルス主宰のTalkin' Loudから『TimePeace』(1998年)を発表し、ベス・オートンやマッシヴ・アタック、ポール・ウェラーらとの共演へとつながっていった。
さらに、映画『最強のふたり(The Intouchables)』の印象的なシーンで「You Goin' Miss Your Candyman」が起用されるなど、時代と世代を超えて愛され続けるタイムレスなマスターピースである。
トラックリスト
- A1 Dancing Girl 8:58
- A2 What Color Is Love 4:04
- A3 You Goin' Miss Your Candyman 7:20
- B1 Just As Long As We're In Love 3:40
- B2 Ho Tsing Mee (A Song Of The Sun) 4:20
- B3 I'd Rather Be With You 6:38
- B4 You Don't Care 5:28