Emotions - Rejoice (1977)
Emotions『Rejoice』
1977年にColumbia/Kalimba Productionsから発表されたジ・エモーションズ(The Emotions)の通算4作目。シカゴ出身のワンダ、シーラ、ジャネットのハッチンソン3姉妹を中心とする女性ボーカル・グループで、前作『Flowers』に続きアース・ウインド&ファイアー(EWF)のリーダーであるモーリス・ホワイトとクラレンス・マクドナルドがプロデュースを手掛けた。ロサンゼルスのWally Heider StudioやHollywood Sound Recordersで録音され、グループのキャリアにおける最大の商業的成功と芸術的評価を決定づけた金字塔である。
制作背景と主要楽曲
アルバムのオープニングを飾る「Best of My Love」は、モーリス・ホワイトとアル・マッケイの共作による不朽のディスコ・アンセムである。全米Billboard Hot 100で5週連続1位、R&Bチャートでも1位を記録し、グラミー賞最優秀R&Bグループ・ボーカル賞を獲得した。跳ねるようなアル・マッケイのカッティング・ギターと華やかなブラス・アレンジ、そしてリードを取るワンダ・ハッチンソンの力強く突き抜けるハイトーン・ボーカルが奇跡的な高揚感を生み出している。
対照的に、アルバムの深い叙情性を象徴するのが名バラード「Don't Ask My Neighbors」である。フレディ・ワシントンがペンを執ったこの楽曲は、甘美で親密なメロウ・グルーヴと3姉妹の緻密に重なり合うゴスペル・コーラスが際立ち、クワイエット・ストームの歴史的名曲として愛され続けている。さらに、多幸感あふれるタイトル曲「Rejoice」やスピリチュアルな高揚感を宿す「Blessed」など、アルバム通して一切の捨て曲が存在しない。
時代の文脈と後世への影響
スタックス/ヴォルト時代に培われた泥臭くも力強いゴスペル/サザン・ソウルの歌唱力に、EWF直系の洗練されたファンク/ディスコ・プロダクションが融合したことで、本作は都会的でゴージャスなポップ・ソウルへの華麗な進化を遂げた。ボーカル・グループとしての表現力を極限まで引き出したモーリス・ホワイトの手腕は圧巻である。
「Best of My Love」はヒップホップやR&Bのサンプリング・ソースとしても定番化し、マライア・キャリーの「Emotions」の下敷きになるなど、ポップ・ミュージック史に刻まれた遺伝子は計り知れない。ダンスフロアを揺るがすアップリフティングな輝きと、胸に迫る甘美なバラードが完璧なバランスで共存する、1970年代ソウル屈指の名盤である。
トラックリスト
- A1 Best Of My Love 3:40
- A2 A Feeling Is 3:36
- A3 A Long Way To Go 3:48
- A4 Key To My Heart 5:21
- A5 Love's What's Happenin' 3:18
- B1 How'd I Know That Love Would Slip Away 4:41
- B2 Don't Ask My Neighbors 4:26
- B3 Blessed 4:36
- B4 Rejoice 5:22