The Who - Who's Next (1971)
The Who 1971

The Who - Who's Next (1971)

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The Who『Who's Next』(1971) レコード解説

The Whoの『Who's Next』は、1971年のUKロックを代表するアルバムのひとつとして長く語られてきた作品だ。バンドの5作目にあたり、前作までのコンセプト色の強さを引き継ぎながらも、実際の音像はかなり直接的で、演奏の押し出しが前面に出ている。制作の出発点には、ピート・タウンゼントが構想した未完のロック・オペラ企画「Lifehouse」があり、その断片を再構成してアルバムとしてまとめた流れがある。結果として、物語の説明に頼らず、曲単位の強度で押していく構成になっているのが大きい。

作品の位置づけ

『Tommy』でロック・オペラを大きく押し広げたThe Whoは、『Who's Next』でその後のロック・アルバムの作り方にも影響を残した。プロデュース面ではキット・ランバートとクリス・スタンプではなく、グリン・ジョンズが実質的に舵を取り、バンドの生々しい演奏と音の輪郭がかなりはっきり出ている。The Whoにとっては、コンセプトの大作というより、楽曲の完成度とバンドの推進力が先に立つアルバムとして位置づけられる。

当時のブリティッシュ・ロックの中でも、Led ZeppelinやDeep Purpleのようなハードなバンドと並べて語られることが多いが、『Who's Next』は単純な重さだけでは終わらない。モッズ由来の鋭さ、メロディの整理、シンセサイザーの導入、そしてリズム隊の切れが一体になっている。Keith Moonのドラムは暴れながらも曲の骨格を崩さず、John Entwistleのベースは低音を埋めるだけでなく、楽曲の推進力そのものになっている。

収録曲の聴きどころ

冒頭の「Baba O'Riley」は、アルバム全体の印象を決める曲だ。テリー・ライリーとミーハー・ババの名を組み合わせたタイトルも有名だが、実際の音で耳に残るのは、反復するキーボードのフレーズと、そこに乗るバンドの演奏の切り替わり。シンセサイザー的に聞こえる部分が、実際にはオルガンのリピート機能によるものという点も面白い。イントロから曲の終盤まで、構成の変化がはっきりしていて、アルバムの入口として強い。

「Bargain」や「Love Ain't for Keeping」は、派手さを前に出す曲ではないが、演奏の密度が高い。アコースティック寄りの曲でも、The Whoらしい緊張感が抜けないのが特徴だ。一方で「My Wife」はJohn Entwistleの曲で、アルバム内で少し視点を変える役割を持つ。バンド内での作曲担当の幅が見える配置でもある。

そして後半の中心が「Won't Get Fooled Again」だ。8分を超える長さの中で、シンセ、ギター、ドラム、ボーカルが段階的に積み上がっていく。最後の絶叫も含め、The Whoの代表曲として扱われる理由がそのまま入っている。シングルとしてもヒットしており、アルバムの顔として機能している。ロックにおけるシンセサイザー活用の初期の例としてもよく引かれる曲だ。

制作背景とエピソード

『Who's Next』は、もともと「Lifehouse」という大きな構想の一部だった。タウンゼントが考えた、音楽とテクノロジー、聴衆との関係を結びつけるアイデアが土台にあり、その計画が頓挫したあとに、曲が個別に再編成された。結果として、壮大な説明を必要としない、まとまりのあるアルバムとして形になっている。

ジャケットも印象的で、石の塊のようなモノリスにメンバーが立ち寄った姿を写した写真が使われている。映画『2001年宇宙の旅』を思わせる構図で、無機質な風景とバンドの存在感が対照的だ。1971年の初回盤では白いポリ袋系の内袋が使われ、後年の再プレスでは別の内袋が付くことがある。こうした盤の違いは、コレクターの間では細かく見られている部分だ。

UK盤としての意味

このUK盤はTrack Recordからのリリースで、The Whoが当時どのレーベル環境にあったかを示す一枚でもある。TrackはThe WhoやJimi Hendrix Experienceを抱えていた独立系レーベルで、1971年の段階ではまだ重要な拠点だった。レーベル番号2408 102のオリジナル盤は、まさに初出時の空気を持つ盤として扱われることが多い。

なお、後年の再発ではボーナストラック付きの拡張盤やデラックス盤も出ているが、1971年のオリジナル盤は曲順と音のまとまりがそのまま作品の印象を決めている。The Whoのディスコグラフィーの中でも、スタジオ録音の完成度とライブ感の両方が強く出た、重要な節目のアルバムである。

まとめ

『Who's Next』は、The Whoがロック・オペラの大きな構想を手放したあとに、曲そのものの強さで到達したアルバムだ。モッズ時代から続く鋭さ、ハードロックの重量感、シンセサイザーの導入、そしてバンド全体の密度が一枚の中でまとまっている。「Baba O'Riley」と「Won't Get Fooled Again」が代表曲として強い存在感を持つ一方で、アルバム全体を通して聴くと、曲間のつながりや演奏の細かな起伏がよく見えてくる。1971年のUKロックを語るうえで外せない作品として、今も参照され続けている。

トラックリスト

  1. A1 Baba O'Riley 4:59
  2. A2 Bargain 5:33
  3. A3 Love Ain't For Keeping 2:11
  4. A4 My Wife 3:35
  5. A5 Song Is Over 6:16
  6. B1 Getting In Tune 4:49
  7. B2 Going Mobile 3:40
  8. B3 Behind Blue Eyes 3:40
  9. B4 Won't Get Fooled Again 8:31

動画プレイリスト

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