The Chambers Brothers - The Time Has Come (1967)
The Chambers Brothers 1967

The Chambers Brothers - The Time Has Come (1967)

Rock Funk / Soul Psychedelic Rock Soul Psychedelic

The Chambers Brothers『The Time Has Come』(1967)について

The Chambers Brothersは、ゴスペルを出発点に持つアメリカのロック/ソウル・グループで、1960年代後半のサイケデリック・ソウルを語るうえで外せない存在だ。本作『The Time Has Come』は1967年にColumbiaから出たアルバムで、同グループにとって代表作のひとつに数えられる。翌1968年に大きくヒットする「Time Has Come Today」を収めた作品として知られ、バンドの名を広く押し上げたアルバムでもある。

ゴスペルからニューポート、そしてColumbiaへ

メンバーの中心は、ミシシッピ州カーセッジ出身の兄弟たち、George、Willie、Lester、JoeのChambers兄弟。教会の聖歌隊で歌い始めたのが出発点で、1950年代半ばにはロサンゼルスでゴスペルやフォークを演奏していた。1965年7月のニューポート・フォーク・フェスティバルでの演奏が大きな反響を呼び、その後Columbiaと契約している。白人ドラマーのBrian Keenanが加わった編成は、当時としてはかなり特徴的で、黒人兄弟と白人ドラマーという混成スタイルがそのままグループの輪郭になっている。

このアルバムは1966年8月から1967年8月にかけて録音され、プロデュースはDavid Rubinson。ジャケット写真はJim Marshallが撮影している。Columbiaの赤ラベル、白文字の“360 Sound”仕様の初回盤として出たことも、この時代のアメリカ盤らしい資料性を持っている。Santa Mariaプレスの“S”刻印がランアウトに見られる点も、コレクター的には押さえどころだ。

「Time Has Come Today」の存在感

本作の核は、やはりラストに置かれた「Time Has Come Today」。WillieとJoeの共作で、リード・ヴォーカルはJoe。もともとは1966年に約2分半のシングルとして出ていたが、この時点では大きなヒットにならなかった。アルバム版では1967年8月に再録音された約11分のロング・ヴァージョンが収録されていて、こちらが作品の印象を決定づけている。

曲の冒頭から続く、2つのカウベルを交互に叩くような“チクタク”のリズムがまず耳に残る。そこへリバーブやエコー、テンポの揺れが重なって、演奏が少しずつ崩れたり、膨らんだりしていく。ファズ・ギターとクリーンなギターの対比もはっきりしていて、曲の中盤以降は時間感覚そのものが引き延ばされるような構成になっている。途中で「The Little Drummer Boy」のフレーズが顔を出すのも印象的だ。聴き進めるほど、単なる長尺曲ではなく、音の層を積み上げて緊張を作るタイプの録音だとわかる。

このロング・ヴァージョンはアンダーグラウンドのFMロック局で盛んに流れ、短く編集されたシングル版は1968年秋にBillboard Hot 100で11位まで上昇した。アルバム自体も全米トップ10入りし、1968年12月にはグループ初のゴールド・ディスクとなっている。The Chambers Brothersの名前が、ゴスペル由来のソウル・グループから、サイケデリック・ロックの文脈へと広がった瞬間でもある。

収録曲とアルバムの立ち位置

アルバム全体を見ても、オリジナル曲だけで押し切る内容ではない。Curtis Mayfield率いるThe Impressionsの「People Get Ready」、Wilson Pickettの「In the Midnight Hour」、Burt Bacharach & Hal Davidの「What the World Needs Now Is Love」など、カヴァー曲が並ぶ。どれもゴスペル仕込みのコーラスと、ソウル寄りの演奏でまとめられていて、原曲の骨格を保ちながらも、Chambers Brothersのグループ感が前面に出る作りだ。

同時代の文脈で見ると、The Chambers Brothersは、ソウルの強い歌唱とロックの拡張性をつなぐ位置にいる。Sly & the Family StoneやThe Jimi Hendrix Experienceのような、60年代後半の境界をまたぐ音楽と並べて語られることが多いが、本作はその中でも、ゴスペルの根を残したままサイケデリックな処理へ踏み込んでいる点が特徴的だ。派手な技巧よりも、反復、残響、コーラス、長い時間の運びで引っ張る作りが中心にある。

その後につながる曲

「Time Has Come Today」は後年も長く使われ続けた。映画『Coming Home』では11分のフル・ヴァージョンがクライマックスに置かれ、その後も『カジュアリティーズ』『タイタンズを忘れない』『キングコング:髑髏島の巨神』『ザ・ファイブ・ブラッズ』などで使用されている。Ramones、Joan Jett、Pearl Jam(ライヴ)などのカヴァーもあり、60年代後半の空気を象徴する曲として残っている。

『The Time Has Come』は、単独のヒット曲集ではなく、グループの出自、60年代の録音現場、サイケデリック化するソウルの流れが重なったアルバムだ。特にタイトル曲は、シングルとアルバムで役割が分かれた好例で、短いラジオ向けの形と、長尺でうねるアルバム版の両方が、The Chambers Brothersの輪郭を支えている。

トラックリスト

  1. A1 All Strung Out Over You
  2. A2 People Get Ready
  3. A3 I Can't Stand It
  4. A4 Romeo And Juliet
  5. A5 In The Midnight Hour
  6. A6 So Tired
  7. B1 Uptown
  8. B2 Please Don't Leave Me
  9. B3 What The World Needs Now Is Love
  10. B4 Time Has Come Today

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

The Chambers Brothers

The Chambers Brothers

The Chambers Brothersは、Rock、Funk / Soulの文脈で語られるアメリカのロック・ソウル・グループだ。メンバーはLester Chambers、Willie Chambers、...

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