The Church - Heyday (1985)
The Church『Heyday』(1985)レビュー
The Churchは、オーストラリア出身のロック・バンドとして語られることが多い。Steve Kilbeyを中心に結成され、Marty Willson-Piper加入後に現在よく知られる2本のギターを軸にした編成が固まった。1985年の『Heyday』は、その流れの中で作られた4作目のアルバムであり、バンドの初期作品の中でも重要な位置を占める1枚として扱われている。内省的な楽曲感覚と、バンド全体で組み立てた演奏のまとまりが前面に出た作品で、The Churchの輪郭がよりはっきり見えてくる時期の記録になっている。
作品の位置づけ
『Heyday』で大きいのは、Steve Kilbeyの個人的なデモを土台にするだけでなく、メンバー全員で曲作りを進めた点にある。The Churchは初期からギターの絡みと歌の距離感で独自性を持っていたが、この作品ではそのバンド感がより前に出る。Peter Walshのプロデュースによって音像も整理され、輪郭のくっきりした仕上がりになっている。弦やホーンが加わることで、初期作にあった閉じた空気だけでなく、広がりのあるアレンジも見える。
バンド史の中では、後の『Starfish』へつながる国際的な評価を固めた時期の作品としても見られている。実際に米国ではこのアルバムが初めてチャート入りし、最高148位を記録した。オーストラリア国内だけでなく、海外での認知を押し上げた点は見逃せない。
音の印象
聴いてまず分かるのは、ギターの重なりが単なる装飾ではなく、曲の骨格そのものになっていることだ。Marty Willson-PiperとPeter Koppesの2本のギターが、メロディをなぞる場面と、和音の隙間を埋める場面を行き来する。そこにKilbeyの歌が乗ることで、旋律が前に出すぎず、しかし曖昧にもならないバランスが保たれている。
また、前作までと比べると、音の密度は増しているのに、演奏の見通しは悪くない。弦やホーンが入っても、楽曲の芯がぼやけないのがこの盤の特徴だろう。The Churchの後年の作品にある、少し距離を置いた視点のサウンドと比べると、ここではまだ演奏の熱量がそのまま残っている印象がある。
当時の評価と文脈
当時の評判は好意的だったようだ。AllMusicは『The Blurred Crusade』以来のベストと高く評価している。Los Angeles Timesの1986年の評でも、流麗なメロディ、きらめくギター、弦とホーンの使い方が新鮮に受け止められていた。歌詞については難解さが指摘されることもあったが、それもThe Churchらしさの一部として語られてきた。
同時代の文脈で見ると、80年代半ばのインディー・ロックやオルタナティブ寄りのロックの中で、The Churchは派手なリフや即効性の高いサビだけに寄らないバンドとして存在していた。R.E.M.やThe Smithsのように、ギターのレイヤーとメロディの関係で語られることが多いグループと並べて見られることはあるが、The Churchはより湿度のある音の重なりが印象に残る。
収録曲と代表曲
『Heyday』には、アルバム全体の流れの中で印象に残る曲がいくつかある。中でも「Tantalized」や「Already Yesterday」は、後年のThe Churchを語るうえでも触れられやすい楽曲だ。前者はギターの重なりと推進力が分かりやすく、後者はメロディの流れが素直に耳に残る。アルバム単位で聴くと、こうした曲が作品全体の温度を決めている。
曲作りをバンド全体で進めたこともあって、1曲ごとの性格が比較的はっきりしている一方、アルバムとしての統一感も失われていない。そこが『Heyday』の面白さでもある。
このカナダ盤について
今回の盤はカナダ盤で、Warner Bros. Recordsからのリリース。クレジットには「Manufactured and distributed by WEA Music Of Canada Ltd. A Warner Communications Company.」とあり、当時のワーナー系流通の形がそのまま出ている。印刷されたインナー・リリック・スリーブ付きで、歌詞を追いながら聴ける仕様になっているのも、この時代のLPらしい点だ。
ラベルはWarner Bros.の1983年以降の白地系デザイン期にあたる時代のものだが、作品自体は1985年のオリジナル・アルバムで、盤の発売年も同年。再発盤ではなく、初出当時のプレスとして見るのが自然だろう。パッケージや流通の違いはあっても、内容は『Heyday』という作品そのものの初期像を伝えている。
まとめ
『Heyday』は、The Churchがバンドとしてのまとまりを強めた時期の記録であり、後の国際的な評価へつながる重要作だ。ギターの絡み、Kilbeyの歌、弦やホーンを含むアレンジが、初期の内向きな気配を保ちながら少し外へ開いていく。その変化が、1985年という時点でどのように鳴っていたかを確かめられるアルバムである。
トラックリスト
- A1 Myrrh 4:18
- A2 Tristesse 3:28
- A3 Already Yesterday 4:15
- A4 Columbus 3:48
- A5 Happy Hunting Ground 5:30
- B1 Tantalized 4:57
- B2 Disenchanted 3:53
- B3 Night Of Light 4:46
- B4 Youth Worshipper 3:45
- B5 Roman 3:55
動画
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Tantalized (Remaster 2002)
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Myrrh (Remaster 2002)
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Tristesse (Remaster 2002)
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Already Yesterday (Remaster 2002)
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The Church - Columbus (1986)
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Happy Hunting Ground (Remaster 2002)
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Disenchanted (Remaster 2002)
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Night Of Light (Remaster 2002)
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Youth Worshipper (Remaster 2002)
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Roman (Remaster 2002)
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As You Will (2002 Digital Remaster)
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The View (2002 Digital Remaster)
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Trance Ending (2002 Digital Remaster)