The Moody Blues - Octave (1978)
The Moody Blues 1978

The Moody Blues - Octave (1978)

Rock Pop

The Moody Blues『Octave』(1978) — バンド再始動期を映す9作目

The Moody Bluesの『Octave』は、1978年に発表された9作目のスタジオ・アルバムだ。1960年代から70年代前半にかけて、メロトロンを軸にした重層的なサウンドで独自の地位を築いたバンドが、長い活動休止を経て再び動き出した時期の作品である。前作『Seventh Sojourn』から約4年ぶりの新作であり、70年代後半の空気をまといながら、バンド本来の叙情性も残した一枚として位置づけられている。

ムーディー・ブルースは、イギリス・バーミンガム出身のロック・バンド。1964年結成で、プログレッシブ・ロックやシンフォニック・ロックの文脈でも語られることが多い。『Octave』の時点では、マイク・ピンダーの離脱後という編成変化もあり、従来の中核だった音色が少しずつ更新されている。レイ・トーマス、ジャスティン・ヘイワード、ジョン・ロッジ、グレアム・エッジに加え、ここではパトリック・モラーツが参加している。

1978年という時代の中でのムーディー・ブルース

1978年のロック界は、パンクやディスコが大きな存在感を持っていた時期だ。そうした中で『Octave』は、バンドの従来作にあった幻想性や室内楽的な広がりをそのまま引きずるのではなく、より現代的な音作りへ寄せている。シンセサイザーの比重が増し、70年代前半のムーディー・ブルースを支えたメロトロン中心の質感とは違う輪郭になっているのが特徴だ。

この変化は、当時の流れに合わせた更新でもあり、同時に賛否の分かれ目にもなった。AllMusicでも、復帰作としての勢いは評価されつつ、プロダクション面での変化が作品の印象を左右したとされている。バンドらしさを残しながら新しい時代へ向かう、その途中の姿がそのまま記録されたアルバム、と見るとわかりやすい。

代表曲「Steppin’ in a Slide Zone」

収録曲の中では、「Steppin’ in a Slide Zone」がシングルとして知られている。ロック色の強い曲で、アルバム全体の中でも比較的前に出た輪郭を持つ。ムーディー・ブルースの代表的な楽曲群と比べると、組み立てはかなり直線的で、当時のラジオ向けの感触もある。『Octave』が単なる再結成の記念作ではなく、実際にシングルを出し、チャートを意識したアルバムでもあったことがここに表れている。

アルバムは英国チャートで最高6位、米国ではプラチナ認定を受けており、商業的には成功した。長い空白期間のあとに出した作品として、ファンや市場から一定以上の支持を得たことが数字にも出ている。

制作背景にある再始動の難しさ

バンドの再始動作という性格上、『Octave』にはまとまりを取り戻すまでの時間もそのまま刻まれている。レイ・トーマスは、再結成後はまずツアーをしてから録音した方がよかった、という趣旨の発言を残しているとされ、演奏感覚を再び揃える前に録音へ入ったことが、結果として作品の性格に影響した面がある。そうした背景を踏まえると、このアルバムの少し揺れた印象も、制作時点の状況を反映したものとして見えてくる。

また、マイク・ピンダー不在の編成は、ムーディー・ブルースの音像にとって大きな変化だった。かつてのバンドを象徴した厚い鍵盤の響きとは異なり、『Octave』ではより整理された音の流れが目立つ。そこにパトリック・モラーツの参加が加わり、70年代後半らしい質感へ接続している。

日本盤について

今回の日本盤はLondon Records、品番はGP 1097。ラベルには「Made in Japan」とあり、日本で流通した1978年当時の盤である。オリジナルと同年のリリースなので、内容面は基本的に1978年時点のアルバムそのものを日本向けに収めたものと捉えやすい。英国本国のプログレッシブな空気を引き継ぎながらも、当時のポップ/ロック市場で聴きやすい形へ整えられた作品として、日本盤でもその輪郭ははっきりしている。

『Octave』は、ムーディー・ブルースが1960年代後半に確立した大きな音の流れをそのまま繰り返す作品ではない。一方で、バンドが自分たちの歴史を止めずに1978年へ持ち込んだ記録でもある。長い休止のあとに戻ってきたバンドの呼吸、70年代後半の録音感、そしてシングル曲の前に出る力。そのあたりが同居した一枚として、ムーディー・ブルースの作品群の中でも独特の位置を占めている。

トラックリスト

  1. A1 Steppin' In A Slide Zone 5:28
  2. A2 Under Moonshine 5:00
  3. A3 Had To Fall In Love 3:38
  4. A4 I'll Be Level With You 3:47
  5. A5 Driftwood 5:02
  6. B1 Top Rank Suite 3:40
  7. B2 I'm Your Man 4:20
  8. B3 Survival 4:09
  9. B4 One Step Into The Light 4:28
  10. B5 The Day We Meet Again 6:18

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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