The Move - (Shines On) (1979)
The Move 1979

The Move - (Shines On) (1979)

Rock

The Move『(Shines On)』レビュー

The Moveは、1960年代の英国ロックを語るうえで外せないバーミンガム出身のバンドだ。1965年に結成され、シングル・ヒットを重ねながら活動し、のちにELOへつながる流れを作った存在としても知られている。そんな彼らの『(Shines On)』は、1979年にUKのHarvestから出た編集盤で、ムーヴの終盤に残した録音をまとめ直した一枚。オリジナル・アルバムというより、バンドの後期像を整理して見せるカタログ作品として置かれている。

1979年のHarvest盤としての位置づけ

この盤はHarvest Heritageシリーズからのリリースで、廉価盤ラインの一枚として登場している。収録クレジットを見ると、A面・B面ともに1971年と1972年の録音が中心で、バンド解散前後の時期にあたる音源が並ぶ。つまり、1960年代前半のヒット曲集ではなく、The Moveの末期をどう聴かせるかに重心がある編集盤だ。ジャケットは前面ラミネート仕様で、ライナーには「A Colin Miles Compilation」「A Harvest Heritage Release」と記されている。

オリジナルのThe Moveは、Night of Fear、I Can Hear the Grass Grow、Flowers in the Rain、Fire Brigade、Blackberry Wayといった全英上位ヒットで名を上げたバンドだった。一方でアルバム全体のチャート実績は強くなく、作品単位ではシングルの印象が先に立つ。そのため、1979年のこの編集盤は、バンドの代表曲を並べるベスト盤というより、終盤の録音をまとめて残す資料的な意味合いが強い。

収録時期に見るThe Moveの変化

収録曲のクレジットにある1971年、1972年という年は重要だ。The Moveはすでに活動の重心が変わっており、ロイ・ウッドの志向はELOへ向かっていた。実際、この時期の楽曲群には、60年代中盤のヒット・バンドとしての顔よりも、より複雑な構成や、後の活動につながるアレンジの感覚が出ている。The Moveの後期音源を聴くと、単純なブリティッシュ・ビート・バンドでは終わらない、雑多さと手数の多さが前に出る。

収録曲の中では、Message From The Country期の流れを確認できる点が大きい。The MoveがELOへ分岐する前夜の雰囲気を、ひとまとめにして追える内容になっている。Carl Wayne、Bev Bevan、Ace Kefford、Trevor Burton、Rick Priceらの名も見えるが、この作品では特定のメンバー個人を押し出すより、バンド末期の録音群を整理して提示する作りだ。

当時の受け止められ方

1979年当時の紹介では、この盤は単なる寄せ集めではなく、選曲に意味がある編集盤として扱われていた。レーベル側も「バンドの最後の録音」をまとめたものとして案内しており、実際に当時の業界紙でもその方向で紹介されている。The Moveの名前は、ELOやウィザードの前史として語られることが多いが、この作品はその“前史”を後ろから見直す形の一枚でもある。

チャート面では大きなヒット作としては追われていない。少なくとも1979年10月の時点で新譜として案内されてはいるが、アルバム・チャート本体に見えるタイプの作品ではなく、廉価盤カタログの再活性化という性格が強い。そうした背景を踏まえると、この盤は商業的な主役というより、The Moveの終盤を記録するための実用的な編集盤として見たほうが自然だ。

聴きどころの輪郭

実際に耳を通すと、The Moveの強みは曲の勢いだけでなく、曲間の質感のばらつきにもある。初期ヒットにある分かりやすい推進力とは違い、後期音源ではロイ・ウッドの作曲感覚やアレンジの組み立てが前に出る。のちのELOに接続する要素もあるが、この時点ではまだThe Moveらしい荒さが残っていて、その混ざり方が面白い。

特に、バンドがシングル・ヒットの集団から、次の時代へ移る途中にいたことが分かる。60年代のブリティッシュ・ポップと、70年代初頭のロックの間をまたぐような位置にあり、The Beatles以後の英国ロックの流れの中でも、Small FacesやThe Kinksとはまた違う、より折衷的な立ち位置が見えてくる。

まとめ

The Move『(Shines On)』は、1979年にHarvestのHeritageシリーズから出た後期編集盤だ。オリジナルのヒット曲集ではなく、解散前後の録音を整理して聴かせる構成で、The MoveがELOへ移っていく直前の姿を確認できる。代表曲で知られるバンドの、その先にある音をまとめた一枚として、1970年代末の再編集盤らしい役割を担っている。

トラックリスト

  1. A1 Message From The Country 4:44
  2. A2 Ella James 3:13
  3. A3 No Time 3:39
  4. A4 Don't Mess Me Up 3:10
  5. A5 Until Your Moma's Gone 5:01
  6. A6 Do Ya 4:00
  7. A7 Chinatown 3:06
  8. B1 It Wasn't My Idea To Dance 5:28
  9. B2 The Minister 4:26
  10. B3 Ben Crawley Steel Company 3:03
  11. B4 The Words Of Aaron 5:23
  12. B5 My Marge 2:00
  13. B6 Tonight 3:16
  14. B7 California Man 3:34

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
Share
戻る

あわせて聴きたい "Rock"

toast