The Salsoul Orchestra - Nice 'n' Naasty (1976)
The Salsoul Orchestra 1976

The Salsoul Orchestra - Nice 'n' Naasty (1976)

Funk / Soul Funk Soul Disco

The Salsoul Orchestra『Nice 'n' Naasty』

Vincent Montana, Jr.(ヴィンセント・モンタナ・ジュニア)率いるThe Salsoul Orchestra(ザ・サルソウル・オーケストラ)が1976年に発表したセカンド・アルバム『Nice 'n' Naasty』。ニューヨークの伝説的ダンス・レーベル「Salsoul Records」の看板ハウス・バンドとして、フィラデルフィアのシグマ・サウンド・スタジオが誇る鉄壁のリズム隊MFSBのメンバーと、ニューヨークのプエルトリカン・コミュニティから集った凄腕ラテン・パーカッショニストたちを結集した最大50人編成の超弩級ディスコ・オーケストラ。タイトル曲「Nice 'n' Naasty」の大ヒットとともに、フィリー・ソウルの華麗なストリングスと躍動するサルサのビートが完璧に融合した、1970年代ニューヨーク・ディスコの最高峰に君臨する不滅の名盤である。

制作背景・エピソード

1974年、フィリー・ソウルの名門シグマ・サウンドで数々のヒットを支えた名ヴィブラフォン奏者/アレンジャーのヴィンセント・モンタナ・ジュニアと、ケイア兄弟によって立ち上げられたサルソウル・レコーズ。フィラデルフィアのロニー・ベイカー(B)、アール・ヤング(Dr)、ノーマン・ハリス(G)ら「ベイカー=ハリス=ヤング」のリズム隊に、マニー・オケンドやジェリー・ゴンザレスといった本場ラテンの猛者たちが加わり、比類なき熱量を誇るオーケストラが結成された。大成功を収めた1975年のデビュー作に続き制作された本作では、シグマ・サウンドでの精緻なレコーディングと名門フランフォード/ウェイン・ラボでのマスタリングを経て、生演奏ならではの圧倒的なダイナミクスと重厚な音圧を極限まで磨き上げた。

時代の文脈

1976年は、ディスコ・ムーヴメントがニューヨークのアンダーグラウンドなゲイ・クラブやロフト・パーティーから全米、そして世界規模のメインストリームへと劇的に拡大したエポックメイキングな年であった。サルソウル・レコーズは世界初の市販12インチ・シングルをリリースするなど、クラブ・カルチャーとダンス・ミュージックの革新を最前線で牽引。生演奏の大編成オーケストラによる肉感的で祝祭感あふれる本作のサウンドは、洗練されたフィリー・サウンドとラテンの野性味を見事に一体化させ、爛熟期を迎えるディスコ・シーンの決定打となった。

サウンド・聴きどころ

アルバムの象徴であるタイトル曲「Nice 'n' Naasty」は、モンタナの小気味よいヴィブラフォンと妖艶な女性コーラス、そしてうねるベースと怒涛のホーン・セクションが火花を散らす、サルソウル屈指のキラー・ディスコ・アンセムである。さらに、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」を壮大かつファンキーなスペイシー・ディスコへと大胆にアレンジした「Salsoul 3001」や、本場仕込みのティンバレスやコンガとジャズ・ヴィブラフォンが激しく交錯する本格派ラテン・ジャズ・ディスコ「Ritzy Mambo」など、モンタナの非凡な編曲術が随所で炸裂する。オープニングの爽快なフィリー・ダンサー「Good For The Soul」から、流麗なインスト「Nightcrawler」、カーペンターズの名曲をソウルフルにメドレー化した「We've Only Just Begun / Feelings」に至るまで、全編を通じて一切の隙のない高揚感が持続する。

後世への影響

本作に刻まれたグルーヴは、ラリー・レヴァンがレジデントを務めた伝説のクラブ「パラダイス・ガレージ」や、フランキー・ナックルズが主宰したシカゴの「ウェアハウス」で絶対的アンセムとして崇められ、後のガラージ/ハウス・ミュージックの決定的な礎となった。特にドラマーのアール・ヤングが生み出した強靭な四つ打ちキックとオープン・ハイハットのパターンは、現代のあらゆるダンス・ミュージックの設計図となった。さらにタイトル曲をはじめとする楽曲群は、90年代以降のハウス・プロデューサーやヒップホップ・アーティストによって幾度となくサンプリング/リエディットされ、今なおダンスフロアを熱狂させ続けている。

評価・チャート

本作は全米ビルボードのディスコ・チャートおよびR&Bアルバム・チャートで大ヒットを記録し、シングル「Nice 'n' Naasty」はビルボードHot 100で30位、R&Bチャートで20位まで上り詰める大ヒットとなった。フル・オーケストラの圧倒的な熱量と洗練されたダンス・ビートが奇跡の融合を果たした、1970年代ニューヨーク・ディスコ/フィリー・サウンドの不滅の金字塔として現在も満点の評価を受けている。

トラックリスト

  1. Left Cheek
  2. A1 Good For The Soul 4:20
  3. A2 Nice 'n' Naasty 4:35
  4. A3 It Don't Have To Be Funky (To Be A Groove) 3:36
  5. A4 Nightcrawler 3:45
  6. A5 Don't Beat Around The Bush 3:30
  7. Right Cheek
  8. B1 Standing And Waiting On Love 3:31
  9. B2 Salsoul 3001 6:16
  10. B3 We've Only Just Begun / Feelings 4:59
  11. B4 Ritzy Mambo 5:29
  12. B5 Jack And Jill 0:15

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

The Salsoul Orchestra

The Salsoul Orchestra

The Salsoul Orchestraは、1974年にヴィンセント・モンタナ・Jr.を中心に結成されたアメリカのディスコ・バンドだ。Salsoul Recordsのハウス・バンド...

The Salsoul Orchestra のプロフィール・作品一覧

The Salsoul Orchestra の他のレビュー

Share
戻る

あわせて聴きたい "Soul"

toast