The Wood Children - Sweets For The Blind (1990)
The Wood Children 1990

The Wood Children - Sweets For The Blind (1990)

Rock Indie Rock

The Wood Children『Sweets For The Blind』(1990)

1990年にUKのDemon Recordsから出たThe Wood Childrenの『Sweets For The Blind』は、ロンドン出身のインディー・ロック・グループによる作品だ。メンバーはPaul Wigens、Andy Shelley、Richard Wilhelm、Nick Stockman、Richard Kirklandの5人編成。80年代ニューウェーブの流れをくむDemon Recordsからのリリースという点も含めて、90年代初頭のUKインディーの空気をそのまま切り取ったような位置づけの一枚として見えてくる。

作品全体は、派手な装飾よりもバンドとしてのまとまりを前に出した作りに感じられる。インディー・ロックという枠の中でも、ギターの輪郭、リズムの粘り、歌の置き方で引っ張っていくタイプのレコードという印象が強い。ロンドンのバンドらしく、当時のUKシーンにあった少し乾いた質感や、直線的なバンド感が表に出やすい。音数で押すというより、曲の骨格をしっかり聴かせる方向性だ。

作品の立ち位置

The Wood Childrenは、ロンドンのインディー・ロック・グループとして紹介されるバンドで、この『Sweets For The Blind』は1990年という時代の空気を反映した作品として捉えやすい。90年代に入る直前から直後にかけてのUKでは、80年代後半のギターバンドの延長線上にありながら、よりラフで、よりバンド内部の相互作用が見えやすい作品が増えていった。この作品もその文脈の中で見ると、シンプルな編成の強さを前面に出したアルバムとして位置づけやすい。

レーベルのDemon Recordsは、80年代ニューウェーブの文脈を持つUKレーベルで、この盤もその流れの中に置かれている。したがって、音の作りにも、当時のUKインディーに共通する実直さや、過度に大きく振れすぎないバランス感がにじむ。大きなヒット作として語られるタイプではないが、バンドの輪郭を確かめるには見通しのよい一枚だ。

聴きどころ

実際に聴くと、まず耳に入るのは、曲ごとの推進力を支えるリズムのまとまりだろう。派手な展開や過剰なアレンジで引っ張るのではなく、ギターとリズム隊の噛み合わせで前へ進む感覚がある。歌はその上に置かれ、メロディを強く押し出しすぎず、曲の流れの中で自然に機能している。こうした作りは、同時代のUKインディーに多かった、ライブ感を残した録音の美点と重なる部分がある。

また、タイトルにある『Sweets For The Blind』という言葉の響きも印象に残る。直接的に内容を説明するというより、作品全体に少しだけ意味のずれや含みを持たせるタイプのタイトルだ。音の側でも、その言葉に引っ張られるように、明快さだけで押し切らず、少し余白を残す作りが感じられる。聴き手が曲の隙間を拾いやすい、そんな距離感のあるレコードだ。

注目曲について

収録曲の個別情報が手元では限られるため、特定の代表曲名を挙げて断定することはしない。ただ、この作品を聴くと、アルバムの中で軸になっているのは、バンド全体の推進力が最も素直に出るタイプの曲だと考えやすい。ギターの刻みが前面に出て、ベースとドラムが一定のテンションを保ちながら進む曲では、このバンドの持ち味がよく見える。メロディの強さよりも、演奏の一体感で印象を残す場面が、この手の作品では要所になりやすい。

一方で、少しテンポを落とした曲や、音の隙間を活かす曲が入っているなら、そこでアルバムの見え方が変わるはずだ。勢いだけでなく、歌の置き方やフレーズの間合いが見えることで、単なるラフなギターロックではないことが分かる。The Wood Childrenのような編成のバンドでは、こうした曲で各パートの役割分担がはっきりしやすく、アルバム全体の輪郭もつかみやすい。

まとめ

『Sweets For The Blind』は、1990年のUKインディー・ロックの感触をそのまま残したような作品だ。ロンドンのバンドらしい直線的な演奏、Demon Recordsというレーベルの背景、そして5人編成のまとまりが、そのままレコードの性格につながっている。大きく語られる名盤というより、当時のシーンの空気を知るうえで手がかりになる一枚。派手さよりも、バンドがその時点で持っていた輪郭を確認する楽しみがある作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Sweets For The Blind 3:04
  2. A2 Sin Like A King 3:50
  3. B1 Mannipple 4:25
  4. B2 Fine By Me 3:34
Share
記事一覧に戻る
toast