Wood, Brass & Steel - Wood, Brass & Steel (1976)
Wood, Brass & Steel『Wood, Brass & Steel』
1976年にTurbo Recordsから出た、Wood, Brass & Steelのセルフタイトル・デビュー作。コネチカット州ハートフォードを拠点にしていたファンク/ソウル・バンドが、シルヴィア・ロビンソン率いるAll Platinum Record Group傘下のTurboから発表した作品で、バンドはジャッキー・マクリーンのArtist Collective Inc.での活動を通じてつながったメンバーを中心にまとまっていった。ギタリストのバーナード・アレクサンダー(後のスキップ・マクドナルド)、ドラマーのハロルド・サージェント、ベーシストのダグ・ウィンビッシュらが参加し結成された。
制作背景と収録曲
本作の背景としてまず大きいのは、ジョーとシルヴィア・ロビンソン夫妻に見出されたこと。前身名義の流れを経てWood, Brass & Steelとして録音され、Turboから世に出た。アルバムには、前年にロニー・ロウズが発表したジャズ・ファンク名曲「Always There」を取り上げたカヴァーが含まれている。この曲は、熱いヴォーカル入りのソウル/ディスコ・アレンジで録音され、クラブ・シーンで大きな支持を集めた。
収録曲の中では、A1のインストゥルメンタル・ファンク「Funkanova」が歴史的名演として名高い。ニューヨークの伝説的クラブ「The Loft」や「Paradise Garage」でデヴィッド・マンキューソやラリー・レヴァンらにプレイされ、後に「ロフト・クラシック」「ガラージ・クラシック」として語り継がれることとなった。ダニー・クリヴィット(Mr. K)によるリエディットでも親しまれている。
時代の文脈
1970年代半ばの東海岸では、フィリー・ソウルの洗練とディスコの爆発的広がりが交錯していた。本作は、その中でジャズ・フュージョンの高度なアンサンブルとファンクの骨太なグルーヴをあわせ持つ作品として位置づけられる。All Platinum / Turboはニュージャージーの独立系ソウル/R&B・レーベルとして君臨し、その枠内でWood, Brass & Steelは本作を残した。
バンドメンバーのその後のキャリアも極めて重要だ。ダグ・ウィンビッシュとスキップ・マクドナルドは、1979年にシルヴィア・ロビンソンによってドラマーのキース・ルブランとともにSugarhill Gang Band(シュガーヒル・レコーズのハウス・バンド)のメンバーに抜擢され、グランドマスター・フラッシュ「The Message」などの歴史的トラックを演奏。さらに80年代にはエイドリアン・シャーウッドと合流してTackheadを結成し、ダブやインダストリアル・ロックへ発展していった。本作はその偉大な歩みの前史としても大きな意味を持つ。
後世への影響
このアルバムは、ダンス・ミュージック史の文脈で繰り返し参照されてきた。とくに「Funkanova」は、DJカルチャーの中で不滅のダンス・クラシックとして愛され続けている。もうひとつの軸である「Always There」は英国のノーザン・ソウル/モダン・ソウル・シーンで人気を集め、90年代アシッド・ジャズ期にはIncognito featuring Jocelyn Brownによる世界的大ヒット・カヴァーへとつながった。
Doug WimbishやSkip McDonaldらが結んだリズム・セクションの絆は、初期ヒップホップからUKダブ・ファンクの現場まで革新し続けた。商業的な大ヒット盤ではなかったものの、クラブ・プレイ、名曲カヴァー、そして名ミュージシャンたちの原点として、今も燦然と輝くアルバムである。
なお、本盤は1976年当時のオリジナル仕様で、ラベルには「℗ Platinum Record Co., Inc. 1976」、ジャケットには「©℗ 1976 Turbo Records, a division of All Platinum Record Group」と記されている。
トラックリスト
- A1 Funkanova 5:35
- A2 My Darling Baby 4:00
- A3 Theme Song 3:00
- A4 Working On A Dream 3:04
- A5 Say What You Want To Say 3:37
- B1 Same Ol' Me 3:25
- B2 My Lady 3:25
- B3 Without You 6:30
- B4 Welcome To The Party 3:30
- B5 Always There 5:25