Steven Wilson - Insurgentes (2008)
Steven Wilson 2008

Steven Wilson - Insurgentes (2008)

Rock Experimental Psychedelic Rock Alternative Rock Shoegaze

Steven Wilson『Insurgentes』

『Insurgentes』は、ポーキュパイン・ツリーの中心人物であるスティーヴン・ウィルソンが、自身の名義で初めて正式に発表したソロ・アルバムだ。録音は2008年8月まで、メキシコ・シティ、東京、イスラエル、ロンドン、タンパなど世界各地で進められた。タイトルはメキシコ・シティの大通り、インスルヘンテス大通り(Avenida de los Insurgentes)に由来し、ウィルソンはツアー中に何度も目にしたこの名前の通りで作品の一部を書いたとTape Op誌に語っている。「反逆者」「蜂起」を意味するこの言葉を、自身の「とても型破りなキャリア」の比喩にもしている。

制作背景・エピソード

ウィルソンは本作を、旅先での録音を含む国際的な制作として組み立てた。録音にはノイマンU87マイク1本、ラップトップ、MOTUのオーディオ・インターフェイスを使い、現地のミュージシャンとも共演している。ただし本人は、地理的な音楽百科事典を作る意図ではなく、各地の演奏者が自分の構想をどう押し広げるかに関心があったと述べ、国際的な顔ぶれを使いながら自分の刻印を残した先例としてピーター・ガブリエルの名を挙げている。参加者には、ギャヴィン・ハリスン、トニー・レヴィン、ジョーダン・ルーデス、テオ・トラヴィス、Michiyo Yagi、Dirk Serries、Sand Snowman、Clodagh Simonds、ロンドン・セッション・オーケストラなどが名を連ねる。「Veneno para las Hadas」は、カルロス・エンリケ・タボアダ監督の1984年のメキシコのホラー映画から題を採っている。

表題曲のSteinwayピアノはブライトンのセント・バーソロミュー教会で録音され、LPのD面に入った「Insurgentes (Mexico)」は、2月28日の夜にメキシコ・シティの旧サンタ・テレサ・ラ・アンティグア教会で書かれ、録音された。追加ギターはフロリダ州タンパのRed Room Recorders、箏は東京のSound Pot、弦楽はロンドンのAngel Studio、ステレオ・マスタリングはニューヨークのMasterdiskで行われた。

ウィルソンは本作を「自分がこれまで作った中で最も実験的な、歌をもとにした音楽」と表現し、影響源としてジョイ・ディヴィジョン、キリング・ジョーク、フレーミング・リップス、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ザ・キュアーを挙げ、ノイズとドローンに強く傾いた作品だと説明している。

時代の文脈

この作品は、まず2008年秋にHeadphone Dustから通信販売で、2CD+DVD-Aの3000セットと10インチ・アナログ1000セットの限定デラックス版として出て、2週間で売り切れた。一般発売は2009年に入ってからで、2008年にロンドンで立ち上がったプログレッシヴ専門のレーベルKscopeから出ている。LP版は180グラムの2枚組で、2000枚限定。CD/DVD版には入っていない4曲のボーナス・トラックを収め、D面にそれらを配置している。

同時期には、制作の旅を追ったLasse Hoileによるドキュメンタリーも進行し、2009年11月にCPH:DOXで初上映された。映像の中では、ウィルソンがMP3音質への抗議としてハンマーや散弾銃、ウッドチッパーでiPodを破壊する場面も記録されており、「MP3を聴くとき、自分がどんなクズを聴いているのか、みんな分かっているのか本当に疑問だ」と語っている。また、2009年には「Abandoner」のリミックス・コンテストが行われ、David A. Sitekやパット・マステロットのリミックスを収めたEP『NSRGNTS RMXS』もリリースされた。

サウンド・聴きどころの評され方

PopMattersがポストパンクとシューゲイザーの影響、ノイズやドローン、ピアノ・バラードの要素に触れている。DPRPでは、Dave Bairdが「大聖堂で録ったかのように、温かみと深いリバーブがしたたる」音作りを称え、「Significant Other」を「アシッドをきめたBlackfield」と表現した一方、Ed Sanderは「Harmony Korine」をアルバム中でもっとも美しい曲のひとつ、表題曲を「胸を締めつけるほど美しい」と称える一方、半分ほどの曲に入るインダストリアルなノイズが楽しみを損なっていると書いている。NPRは2009年3月に「Harmony Korine」を「今日の1曲」に選んだ。

後世への影響

2009年の『The Incident』のツアーの後、ウィルソンはソロ活動に専念し、ポーキュパイン・ツリーは2021年まで活動を休止した。2011年に『Grace for Drowning』、2013年に『The Raven That Refused to Sing』を発表している。『The Raven That Refused to Sing』はドイツで3位を記録している。メキシコで収録し2012年に出たライヴ映像は、本作の曲から『Get All You Deserve』と題されている。

評価・チャート

アメリカのHeatseekersチャート15位、ポーランド22位、オランダ78位、ドイツ81位を記録。AllMusicは5点満点で4点、Classic Rockは10点満点で8点と評価している。

トラックリスト

  1. A1 Harmony Korine 5:08
  2. A2 Abandoner 4:48
  3. A3 Salvaging 8:17
  4. B1 Veneno Para Las Hadas 5:57
  5. B2 No Twilight Within The Courts Of The Sun 8:37
  6. B3 Significant Other 4:31
  7. C1 Only Child 4:24
  8. C2 Twilight Coda 3:25
  9. C3 Get All You Deserve 6:17
  10. C4 Insurgentes 3:55
  11. D1 Port Rubicon 4:24
  12. D2 Puncture Wound 4:18
  13. D3 Collecting Space 5:10
  14. D4 Insurgentes (Mexico) 4:45

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Steven Wilson

Steven Wilson

Steven Wilsonは、1967年11月3日にイングランド・ハートフォードシャー州ヘメル・ヘムステッドで生まれた英国のミュージシャンだ。ロックを軸に、Prog...

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