Bobby Bland - Two Steps From The Blues (1961)
Bobby Bland『Two Steps From The Blues』
ボビー・“ブルー”・ブランド(Bobby "Blue" Bland)が1961年にデューク・レコーズ(Duke Records)から発表した『Two Steps From The Blues』は、モダン・ブルースおよび初期ソウル史に聳え立つ不滅の金字塔である。紫と金のレーベルで知られるDukeのオリジナル盤はコレクターズ・アイテムとしても名高い。1957年の「Little Boy Blue」以降のヒット・シングルと、1960年末にかけてシカゴのチェス・スタジオなどで録音された新録曲をまとめ上げたアルバムでありながら、驚異的な統一感と完成度を誇る。
制作背景・エピソード
本作の音楽的青写真を描いたのは、トランペット奏者でありバンドマスター兼アレンジャーを務めたジョー・スコット(Joe Scott)である。スコットは従来の泥臭い3コードによる12小節ブルースの定型を大胆に拡張し、映画音楽のようなドラマ性と重厚なビッグバンド・ジャズ、クラシカルなストリングスを巧みに融合させた。そこに、ウェイン・ベネット(Wayne Bennett)の抑制の効いたジャジーで鋭角的なクリーントーン・ギターが絡み合い、スコットのオーケストレーションと緊密な対話を繰り広げている。
レーベル創設者ドン・ロビーの指揮下、ボビー・ブランドは1955年のDuke移籍以降、サックス奏者ビル・ハーヴィー(Bill Harvey)率いるバンドやジュニア・パーカーらとの過酷なチットリン・サーキット巡業を通じて腕を磨いた。その過酷なツアー現場で叩き上げられたバンド・アンサンブルとジョー・スコットのアレンジ術が結実したのが本作である。
アルバムには全米R&Bチャート1位に輝いた名曲「I Pity The Fool」をはじめ、「I'll Take Care of You」「Don't Cry No More」「Lead Me On」「Cry Cry Cry」といったトップ10ヒットが惜しげもなく収録されている。
時代の文脈
1960年代初頭の黒人音楽シーンでは、レイ・チャールズやサム・クックがゴスペルとR&Bを融合させて新たなソウル・ミュージックの地平を切り拓いていた。その変革期にあって、ボビー・ブランドはディープなブルースの情感とゴスペルの切迫感をそのままに、洗練を極めた大編成のモダン・アレンジで包み込む「ソウル・ブルース」の確立者となった。
ブランドの歌唱は「ブルース界のシナトラ」と称された通り、甘美で気品あるバラード唱法から、感情が臨界点に達した瞬間に喉を激しく震わせるトレードマークの「スコール(咆哮/しゃくり泣き)」へと至る劇的なダイナミクスを誇る。葬送行進曲のように厳かなパイプオルガンとベースラインから始まる表題曲「Two Steps From The Blues」から、激情が迸る「I Pity The Fool」に至るまで、人間の哀しみと愛の葛藤を極限まで描き出している。
後世への影響と評価
『Two Steps From The Blues』は、都市型モダン・ブルースとサザン・ソウルの架け橋となった歴史的傑作として世界中で称賛され続けている。ヴァン・モリソンが生涯のボーカルの指針として公言しているほか、エリック・クラプトン、ロッド・スチュワート、グレイトフル・デッド、ホワイトスネイクらに至るまで、数多くのロック/ブルース・ミュージシャンが本作の楽曲を取り上げている。
米ローリング・ストーン誌の「歴代最高のアルバム500選」にも選出され、AllMusicでは満点の5つ星とともに「モダン・ブルースの決定的一枚」と評された。ボビー・ブランドの魂の絶唱とジョー・スコットの革新的なアレンジ、ウェイン・ベネットの研ぎ澄まされたギターが生み出した奇跡の瞬間として、今なお色あせることのない輝きを放っている。
トラックリスト
- A1 Two Steps From The Blues
- A2 Cry Cry Cry
- A3 I'm Not Ashamed
- A4 Don't Cry No More
- A5 Lead Me On
- A6 I Pity The Fool
- B1 I've Just Got To Forget You
- B2 Little Boy Blue
- B3 St. James Infirmary
- B4 I'll Take Care Of You
- B5 I Don't Want No Woman
- B6 I've Been Wrong So Long
動画プレイリスト
このアーティストについて
Bobby Bland(ボビー・ブランド)は、アメリカのブルース/R&B歌手だ。1930年1月27日、テネシー州ローズマーク生まれで、2013年6月23日に同じくテ...
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