Nina Simone - At The Village Gate (1962)
Nina Simone『At The Village Gate』
1962年にColpix Recordsから発表された『At The Village Gate』は、Nina Simone(ニーナ・シモン)通算3作目となるライブ・アルバム。1961年にニューヨーク・グリニッジ・ヴィレッジの伝説的クラブ「ヴィレッジ・ゲイト(The Village Gate)」で行われた名演を収録している。プロデュースはカル・ランプリー(Cal Lampley)。生涯の音楽的相棒となるギタリストのアル・シャックマン(Al Schackman)、ベーシストのクリス・ホワイト、ドラマーのボビー・ハミルトンを迎えたカルテット編成で録音された。
制作背景・エピソード
本作には、トラディショナル・ソング「House Of The Rising Sun(朝日のあたる家)」の歴史的名演が収められているほか、シカゴの社会派音楽家オスカー・ブラウン・ジュニアが黒人の子どもたちの未来への希望と苦難を祈り歌った「Brown Baby」、アフリカの労働歌「Zungo」、スピリチュアル「If He Changed My Name」、そして怒濤のゴスペル・グルーヴを繰り広げる「Children Go Where I Send You」など、多彩で力強いレパートリーが並ぶ。
演奏面では、ジュリアード音楽院で培ったクラシックの対位法的なピアノ・タッチ、情念と威厳を湛えた唯一無二のハスキーなコントラルト・ヴォイス、そしてアル・シャックマンの爪弾くアコースティック・ギターとの親密な掛け合いが最大の聴きどころ。「Just In Time」や「Bye Bye Blackbird」のジャジーで小粋なスウィングから、「Children Go Where I Send You」における礼拝堂のような熱狂的なコーリングまで、観客の息遣いをも巻き込んだライブならではの濃密な臨場感が刻み込まれている。
時代の文脈
1960年代初頭のグリニッジ・ヴィレッジは、ビート・ジェネレーションの詩人、フォーク・リバイバルの若者たち、前衛ジャズマン、そして公民権運動の活動家たちが集う知的・文化的な坩堝であった。デイヴ・ヴァン・ロンクや若きボブ・ディランらがフォーク・クラブで歌い始めていたこの時期、ニーナ・シモンはジャズの枠組みを軽々と飛び越え、フォークやブルース、ゴスペル、アフリカのルーツ音楽を一体化させた。このヴィレッジの自由で進歩的な空気の中で、ニーナは黒人女性としての尊厳と社会意識を自らの芸術と分かち難く結びつけていった。
サウンドと後世への影響
本作に収録された「House Of The Rising Sun」の劇的な解釈は、同時代のフォーク/ブルース・シーンに強烈なインパクトを与えた。このヴィレッジ周辺で共有されていたフォークの解釈はボブ・ディランのデビュー作(1962年)を経て、英ロック・バンドのジ・アニマルズ(The Animals)による1964年の世界的大ヒットへと直結していく。
また「Brown Baby」での感動的な熱唱は、のちの「Mississippi Goddam」などに代表される本格的な公民権運動アンセムへの橋渡しとなり、ニーナ・シモンが社会の声を背負う闘うアーティストへと覚醒していく決定的瞬間として後世に語り継がれている。Colpix期におけるニーナ・シモンのライブ・パフォーマンスの真髄を記録した名盤として、今なお色あせない輝きを放ち続けている。
トラックリスト
- A1 Just In Time 6:15
- A2 He Was Too Good To Me 4:58
- A3 House Of The Rising Sun 4:34
- A4 Bye Bye Blackbird 8:26
- B1 Brown Baby 5:50
- B2 Zungo 2:53
- B3 If He Changed My Name 4:04
- B4 Children Go Where I Send You 7:56
動画プレイリスト
このアーティストについて
Nina Simoneは、アメリカ出身のシンガー、ソングライター、ピアニスト、作曲家、アレンジャーであり、公民権運動の活動家でもあった人物だ。1933年2月...
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