Charles Wright & The Watts 103rd Street Rhythm Band - Express Yourself (1970)
Charles Wright & The Watts 103rd St Rhythm Band 1970

Charles Wright & The Watts 103rd Street Rhythm Band - Express Yourself (1970)

Funk / Soul Funk Soul

Charles Wright & The Watts 103rd Street Rhythm Band『Express Yourself』(1970)

Charles Wright & The Watts 103rd Street Rhythm Bandの『Express Yourself』は、1970年にWarner Bros. Recordsから出たアルバムで、バンドにとって代表作のひとつに数えられるタイトルだ。ロサンゼルスで結成されたこのグループは、もともとビル・コスビーのバックを務めた経歴を持ち、そこから独立した形でファンク/ソウルの作品を積み重ねていった。チャールズ・ライトの名前を前面に出したこの時期は、バンドの輪郭が最もはっきりした時期でもある。

バンドの立ち位置と時代背景

このグループは1960年代半ばにロサンゼルスで始まり、当初はThe Watts 103rd Street Rhythm Band名義で活動していた。1969年以降はCharles Wright & The Watts 103rd Street Rhythm Bandとして録音を行っている。ギターのアル・マッケイが後にEarth, Wind & Fireへ移るなど、周辺の人員も後年の西海岸ファンク史につながっていく。Bill Withersの作品に参加するメンバーが出てくる流れもあり、この時代のR&Bバンドらしく、周辺のソウル作品と人材が行き来している点が見える。

Warner Bros.にとっても、こうしたR&Bバンドの存在は重要だった。ロックやポップだけでなく、ソウル/ファンクの領域にまでレーベルの守備範囲が広がっていた時期の一枚で、1970年2月以降に使われたグリーンのWarner Bros.ラベル期にあたる。

収録内容と再構成の経緯

このアルバムは発売直後に曲順と収録曲が見直された経緯を持つ。初期版は7曲構成で、「Road Without An End」「Tell Me What You Want Me To Do」を含んでいたが、その後まもなく改訂され、「Love Land」が加わる一方で「Tell Me What You Want Me To Do」は外された。盤ごとの違いがはっきりしている作品で、オリジナル盤と再発盤では内容の印象が少し変わる。

再発後の中心は、タイトル曲「Express Yourself」と、長尺の「High As Apple Pie - Slice II」だ。「Express Yourself」は3分50秒前後のシングル・ヴァージョンで、アルバムの中でもいちばん輪郭が明快な1曲。対して「High As Apple Pie - Slice II」は17分超の展開を持ち、ゴスペル調のコーラス、ピアノ、反復するリズムを軸にした長いジャムとして置かれている。短いヒット曲と長い即興性の強い曲が同居しているのが、このアルバムの特徴だ。

代表曲「Express Yourself」

タイトル曲「Express Yourself」は、1970年8月にシングルとして出て、Billboard Hot 100で12位、R&Bチャートで3位を記録した。バンド最大級のヒットであり、年末チャートにも入っている。作曲はチャールズ・ライト。のちにN.W.Aが同名曲でサンプリングしたことでも知られ、ファンクの定番曲として長く流通してきた。

曲の作りはわかりやすい。反復するギターのリフ、押し出しの強いボーカル、コーラスの受け答えが前に出る。ファンクの基本形がかなり明確で、同時代のSly & The Family StoneやThe Isley Brothersの重心の低いグルーヴとも並べて語られやすい内容だが、こちらはよりバンド感とコール&レスポンスのまとまりが強い。

アルバム全体の聴きどころ

全体を通すと、シングル向けのコンパクトな楽曲と、スタジオでの演奏を長く引っ張る曲が並んでいる。録音はGold Star Recording Studiosで行われており、当時の西海岸ソウルにある乾いた音像と、粘るリズム隊の組み合わせが目立つ。James Gadsonのドラム、Melvin Dunlapのベース、Ray JacksonやBenorce Blackmonらの演奏が、曲ごとにしっかり役割を分けている印象だ。

「Love Land」は再構成後に加わった曲で、シングルとしては1970年1月に先行している。こちらはHot 100で16位、R&Bで23位を記録しており、アルバムの中では「Express Yourself」と並ぶ入口になっている。歌の押し出しは強いが、全体の配置としては長尺曲の合間に置かれ、作品の流れを整える役割も持っている。

位置づけ

『Express Yourself』は、チャールズ・ライトとこのバンドの名前を広く知らしめた作品であり、同時に1970年前後のファンクが持っていた「ヒット曲」と「長い演奏」の両方を1枚に収めたアルバムでもある。後年のサンプリング文化や、90年代以降のヒップホップの参照先としても残ったのは、「Express Yourself」という曲の強さが大きい。だがアルバム全体で見ると、単独のヒット曲だけでなく、バンドの演奏力やアレンジの振れ幅まで含めて記録した一枚として読める。

チャート上ではBillboard 200で182位、R&Bアルバム・チャートで27位。数字だけ見ると突出した大成功盤ではないが、収録曲の入れ替えを含む制作の動き、タイトル曲のヒット、そしてその後の再評価まで含めると、この時期の西海岸ファンクを理解するうえで外せないアルバムになっている。

トラックリスト

  1. A1 Love Land 3:04
  2. A2 I Got Love 3:37
  3. A3 High As Apple Pie - Slice I 6:03
  4. A4 Express Yourself 3:50
  5. B1 I'm Aware 3:45
  6. B2 High As Apple Pie - Slice II 17:43

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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