Michael Jackson - Music & Me (1973)
Michael Jackson 1973

Michael Jackson - Music & Me (1973)

Funk / Soul Soul

Michael Jackson『Music & Me』(1973年)について

『Music & Me』は、Michael JacksonがMotownから発表した3作目のソロ・スタジオ・アルバムで、1973年作の1枚として位置づけられる作品だ。Jackson 5の中心メンバーとしてすでに大きな注目を集めていた時期に、ソロ名義で録音されたアルバムであり、当時14歳前後のMichaelの声の変化がそのまま記録されている点が大きい。少年期の張りのある歌声から、少しずつ大人の声へ移っていく途中の姿が、そのまま作品全体の空気になっている。

レーベルはMotown、型番はM 767L。Motownの看板を背負った若いソロ歌手として制作された一方で、収録内容はオリジナル曲中心ではなく、カバーやスタンダードが軸になっている。そこに当時のMotownの制作体制らしさがはっきり出ている。アレンジはGene Page、Freddie Perren、Dave Blumberg、James Anthony Carmichaelらが分担し、プロデュースはHal Davis、エグゼクティブ・プロデューサーはBerry Gordy。1972年3月から1973年1月にかけて録音された。

収録曲と聴きどころ

このアルバムでまず目を引くのは、選曲の方向性だ。Stevie Wonderの「With A Child's Heart」をシングルとして掲げ、ほかにも「Happy」「All The Things You Are」「Too Young」「Doggin' Around」「Morning Glow」など、ソウル、ポップス、ミュージカルの曲が並ぶ。いずれも当時のMichaelの声質に合わせた設計で、曲の内容よりも、彼の歌声がどう響くかを優先した作りに感じる。

実際に耳を通すと、歌の細部よりも、声の輪郭の変化が先に入ってくる。高音の伸びやフレーズの運びにはすでに完成度がある一方で、まだ幼さの残る響きも混じる。その揺れがこの時期特有で、後年の『Off the Wall』や『Thriller』のような精密なポップ・アルバムとは別の意味で、記録としての強さを持っている。特に「With A Child's Heart」は、曲そのものの柔らかさとMichaelの声のまっすぐさが重なり、当時の彼の持ち味がよく出た1曲だ。

タイトル曲「Music and Me」も、この作品の性格をよく示している。派手さを前面に出すというより、歌の中で感情の置き方を確かめるような進み方で、アルバム全体の印象を静かにまとめている。作品全体としては、ソウル・アルバムというより、若い歌手の声をどう録るかに重心がある。

当時の位置づけ

『Music & Me』は、Michael Jacksonのソロ活動の初期にあたる1枚で、のちの巨大なポップスター像から見るとかなり早い段階の記録になる。本人はこの頃、Marvin GayeやStevie Wonderからの影響を受け、自分で曲を書き、楽器も演奏したいという意欲を持っていたとされるが、Motownの制作方針とは一致しなかった。そうした事情は、のちにJackson 5がMotownを離れEpicへ移る流れの背景として語られることが多い。

同時代のMotown作品と比べても、このアルバムはヒット狙いのシングル感より、若い歌手の成長過程を残す性格が強い。Marvin GayeやStevie Wonderが同じレーベル内で表現の幅を広げていた時期でもあり、その文脈に置くと、Michaelがまだ与えられた枠の中で歌っていた段階であることが見えてくる。後年に自作性や表現の主導権を強めていくMichaelの出発点として見ると、意味のある作品だ。

評価と反応

チャート成績は大きく伸びず、Billboard 200では92位、R&Bアルバム・チャートでは24位、Cashboxでは38位にとどまった。シングル「With A Child's Heart」はR&Bチャート14位、Hot 100で50位。英国では「Music And Me」「Morning Glow」もシングル化されたが、チャート入りはしなかった。商業的には大きな成功作ではないが、そのぶん、Michaelの声の変化をそのまま残した記録として扱われることが多い。

批評面でも評価は控えめで、AllMusicは3つ星、Entertainment WeeklyはB評価と、過度な賛辞よりも、変化期の歌声そのものに注目が集まっている。売上は多くなく、Michaelのアルバムの中でも最もセールスが小さい作品として知られるが、だからこそ初期ソロ期の姿がそのまま残っている。後年の華やかなイメージとは別に、1973年のMichael Jacksonを確認するための1枚として、静かな重みを持つアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 With A Child's Heart 3:24
  2. A2 Up Again 2:47
  3. A3 All The Things You Are 2:55
  4. A4 Happy 3:19
  5. A5 Too Young 3:37
  6. B1 Doggin' Around 2:52
  7. B2 Euphoria 2:48
  8. B3 Morning Glow 3:36
  9. B4 Johnny Raven 3:31
  10. B5 Music And Me 2:35

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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