Flesh For Lulu - Big Fun City (1985)
Flesh For Lulu『Big Fun City』
Flesh for Luluの『Big Fun City』は、1985年にオリジナルが出た作品で、日本盤は1986年リリース。ロンドンのBrixtonで結成されたバンドが、シングルやツアーを重ねながらまとめたアルバムで、当時の回想ではニューヨークで録音した作品として語られている。AllMusicは、この時期の彼らが前作より洗練されたサウンドへ進み、Craig Leonと組んで録音したと記している。
制作背景と録音の経緯
1986年1月の『Sounds』紙の取材では、メンバーがCraig Leonについて「自分たちはスタジオ・バンドではないので、彼はライブの鳴りをそのまま捉える役割だった」と話している。同じ記事では、前作が3人編成でやや断片的だったのに対し、『Big Fun City』は「全体としてまとまった作品」と受け止められていた。制作の流れとしては、1985年にシングルやツアーを重ねながら形になったアルバムで、録音の場としてニューヨークが挙げられている。
参加者の個人名については、今回確認できた範囲では録音参加者として明示されているのはCraig Leonの役割のみ。作品の骨格をどう整えたか、という点はこのプロデューサーの存在が大きい。バンド側は、ライブの勢いをスタジオで拾うことを意識していたようだ。
時代の文脈
Flesh for LuluはロンドンのBatcave周辺の文脈から出発したバンドとして知られる一方、Trouser Pressは彼らを「ゴシックな墓荒らし」というより、古風なロックに近い存在として捉えている。1985年の英米ではThe SmithsやThe Jesus and Mary Chainなどのインディー勢が注目されていたが、Louderはその競争の中でFlesh for Luluが埋もれがちだったと整理している。
その流れの中で『Big Fun City』は、外見や出自にポストパンク/ゴスの気配をまといながら、よりポップでアメリカ市場も視野に入れた転換点として位置づけられている。Trouser Pressは、このアルバムをロックを軸にしつつファンク、カントリー、西部劇風、パンク・ポップの要素が混ざる“変身”の作品と評した。『Music Week』では「strutting bravado and swaggering charm」と表現され、Nick Marshの憂いを帯びた声とRoccoの荒々しいギターの組み合わせが魅力として挙げられている。
後年の見られ方
後世への影響については、この作品そのものへの直接的なカバーやサンプリングの情報は、今回確認できた範囲では見当たらない。一方で、後続曲のほうが広く語られている。Louderによれば、後年の「I Go Crazy」はJohn Hughes映画『Some Kind of Wonderful』に使われ、バンド最大のヒットになったという。Flesh for Lulu全体の再評価の流れの中で、『Big Fun City』も回顧記事では「great album」として振り返られている。
批評面では、当時の『Music Week』や『Sounds』で好意的に扱われたほか、AllMusicはきらめくギターコード、揺れる不安定なヴォーカル、似通った曲調を特徴として挙げている。日本盤には帯とインサートが付属しており、1985年作の本編が1986年に日本で流通した形になる。
トラックリスト
- A1 Baby Hurricane 3:13
- A2 Cat Burglar 2:59
- A3 Let Go 3:00
- A4 Vaguely Human 3:22
- A5 Rent Boy 4:39
- B1 Golden Handshake Girl 4:04
- B2 In Your Smile 3:06
- B3 Blue 3:29
- B4 Landromat Kat 2:16
- B5 Just One Second 3:07