George Benson - Shape Of Things To Come (1968)
George Benson 1968

George Benson - Shape Of Things To Come (1968)

Jazz Funk / Soul Fusion Jazz-Funk Soul-Jazz

George Benson『Shape Of Things To Come』――A&M移籍後の出発点

George Bensonの『Shape Of Things To Come』は、1968年にA&M Recordsから出たアルバムで、彼がCTI系列の仕事へ入っていく前段階を示す重要作だ。すでにPrestige、Columbia、Verveで実績を重ねていたBensonが、Creed Taylorのプロデュースのもとで新しい環境に入った時期の録音であり、後年のソウル寄りの路線へつながる輪郭がここではっきり見える。録音は1968年8月から10月にかけて、ニュージャージーのVan Gelder Studiosで行われた。

この作品の面白さは、ギター・ジャズのアルバムでありながら、選曲と編成の両方でかなり大きく外へ開いている点にある。アレンジはDon Sebesky、録音はRudy Van Gelder。参加者も豪華で、Herbie Hancock、Hank Jones、Ron Carter、Richard Davis、Idris Muhammad(Leo Morris名義)、Johnny Pachecoらが名を連ねる。オーケストラを交えた作りで、ジャズの演奏力と当時のソウル/ポップの感覚が同じ盤面に置かれている。

カバー中心の選曲と、曲ごとの性格

収録曲はオリジナルよりカバーが中心だ。The Monkeesの「Last Train To Clarksville」、Aretha Franklinの「Don't Let Me Lose This Dream」、Glenn Millerで知られる「Chattanooga Choo Choo」、そして映画『Wild In The Streets』のタイトル曲「Shape Of Things To Come」など、出自の異なる楽曲をまとめている。Benson自身とSebeskyの共作「Footin' It」も入るが、全体としては“既存曲をジャズ・ファンク寄りに組み替える”感触が強い。

とくに「Shape Of Things To Come」は、原曲の持つ時代感をそのまま引き受けつつ、Bensonのギターを前面に出した作り。タイトル曲としての役割も明確で、アルバム全体の方向を決める位置に置かれている。「Last Train To Clarksville」や「Don't Let Me Lose This Dream」では、メロディの輪郭を残しながらリズムを少し前に出し、ジャズ・ギター盤というより、ソウル・ジャズのセッションとして聴こえる場面が多い。

演奏の手触り

実際に耳を通すと、Bensonのギターは派手に弾きまくるより、フレーズの置き方で引っ張るタイプだとわかる。音の抜けがよく、管や鍵盤が厚く重なる中でも輪郭が見えやすい。ここでは後年のヴォーカル作品ほどの分かりやすいフックはまだ前面に出ず、ギタリストとしての機動力が中心にある。Rudy Van Gelderの録音らしく、楽器の分離は明瞭で、低音域の厚みもきちんと残る。

Herbie Hancockの参加もこの盤の印象を大きくしている。Blue Noteの許可を得ての参加というクレジットが残っていて、当時のジャズ界の横断的な動きがそのまま反映されている。Hancock、Hank Jones、Ron Carter、Richard Davisといった名前が並ぶことで、単なるクロスオーバーではなく、ジャズの中心にいる演奏家たちがポップな素材をどう料理するか、という面白さが出ている。

George Bensonのキャリアの中で

このアルバムは、Bensonにとって米国で初めてチャート入りした作品でもある。Billboardのジャズ・アルバム・チャートで11位、R&Bアルバム・チャートで38位を記録した。のちに『Breezin'』(1976年)で広く知られるようになるが、その前段にある“ジャズとR&Bの間を自然に行き来する感覚”は、この時点ですでにかなり明確だ。

Wes Montgomeryの後継として語られたBensonを、Wesを手がけたCreed Taylorが迎え入れた流れも重要だ。TaylorとBensonの協働は1976年まで続き、その後のBensonのポップ寄りの成功へつながっていく。本作はその始まりに近い地点にあり、ギター・ジャズの枠を保ちながら、ソウルやファンクの要素を自然に受け入れている。

オリジナル盤の仕様

1968年のUS盤はA&M RecordsのSP-3014。ラベルにはSP-3014、ジャケット表記や背表紙、見開き内側にはSP 3014と記されている。オリジナルのA&M内袋が付属する仕様も確認できる。録音クレジットや出版社表記まで丁寧に入っていて、当時のA&Mのアルバム制作のきっちりした作りがうかがえる。

ジャズの語法だけで閉じず、R&Bやソウルの聴き手にも届く形を探った作品として、『Shape Of Things To Come』はGeorge Bensonの初期像を知るうえで外せない一枚だ。後年の洗練されたボーカル・ヒットの前に、ギタリストとしての柔らかさと推進力がすでに備わっていることが、この盤ではよくわかる。

トラックリスト

  1. A1 Footin' It 4:15
  2. A2 Face It Boy, It's Over 4:00
  3. A3 Shape Of Things To Come 5:40
  4. A4 Chattanooga Choo Choo 3:30
  5. B1 Don't Let Me Lose This Dream 4:40
  6. B2 Shape Of Things That Are And Were 5:45
  7. B3 Last Train To Clarksville 5:30

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
Share
戻る

あわせて聴きたい "Jazz-Funk"

toast