James Carr - You Got My Mind Messed Up (1967)
James Carr 1967

James Carr - You Got My Mind Messed Up (1967)

Funk / Soul Soul

James Carr『You Got My Mind Messed Up』

メンフィスのソウル歌手ジェイムス・カーが、Goldwaxから1967年に出したデビュー・アルバム。シングルを軸にまとめた内容で、カーの代表曲「You've Got My Mind Messed Up」と「The Dark End of the Street」を同じ一枚で聴ける構成になっている。カーは1942年ミシシッピ州コアホマ生まれで、教会歌唱やゴスペル・グループを経て、1960年代半ばにメンフィスの小さな独立レーベル、Goldwaxで録音を始めた。

制作背景・エピソード

カーはスタックスには断られていた。カーをGoldwaxへつないだのは、友人でマネージャーでもあったRoosevelt Jamisonだった。Jamisonがレーベル主宰のQuinton Claunchにカーを紹介し、デモを聴いたClaunchが契約したという流れで、最初の録音は1964年。アルバムでは1965年から1967年にかけてのシングルが中心になっている。

表題曲「You've Got My Mind Messed Up」は、ミシシッピのラスト大学の学生だったO.B. McClintonの作。のちに「チョコレート・カウボーイ」としてカントリー歌手でも成功する人物で、このアルバムでは「Lovable Girl」「Forgetting You」「She's Better Than You」も書いている。American Songwriterによれば、メロディはJamison作でO.V. Wrightが先にGoldwaxで録音し、オーティス・レディングがヒットさせた「That's How Strong My Love Is」によく似ているとされる。ギターのReggie Youngはスティーヴ・クロッパーを思わせるフレーズを弾き、ホーンはスタックスのメンフィス・ホーンズのように響くと紹介されている。

「The Dark End of the Street」は、1966年夏のメンフィスで、ダン・ペンとチップス・モーマンがDJコンベンションの合間に書いた曲。2人はフロリダのDJとカードをしながらイカサマをしていて、休憩中に曲を書こうと決めた。ペンは「いつだって史上最高の"浮気の歌"を書きたいと思っていた」と語っている。2人はQuinton Claunchのホテルの部屋で約30分で完成させたという。Claunchの希望でカーに渡され、録音はハイ・レコードの本拠地でもあるメンフィスのロイヤル・スタジオで行われた。プロデューサーとしてはRudolph V. “Doc” Russellがクレジットされている。

時代の文脈

カーはメンフィスでオーティス・レディングと同時代に活動し、歌唱や制作のスタイルを大きく取り入れていた。1966年に「You've Got My Mind Messed Up」がR&Bチャートで7位、続く「The Dark End of the Street」が1967年にR&Bチャート10位、Hot 100で77位を記録し、カーの代表的な作品になった。

一方で、カーは生涯の大半を双極性障害に苦しみ、ライヴやツアーのストレスへの対応が難しく、スタジオでも次第に扱いにくくなっていった。Goldwaxは1969年に活動を止め、カーは「なりえたかもしれない」歌手として語られることになる。1979年の日本ツアーでは、抗うつ薬の過剰摂取の後、観客の前で固まってしまったというエピソードも残る。

後世への影響

「The Dark End of the Street」は多くのカバーを生んだが、カーの版を超える順位を記録したものはない。アレサ・フランクリンは1970年の『This Girl's in Love with You』で取り上げ、音楽学者Craig Wernerはそこに「まったく独創的なもの」を加えたと評している。映画『ザ・コミットメンツ』でも使われた。

カー本人の再評価は、1986年のPeter Guralnickの著書『Sweet Soul Music』をきっかけに進んだ。1991年には復活したGoldwaxから『Take Me to the Limit』を発表し、米国や欧州のフェスティヴァルにも出演している。2001年に肺がんで亡くなったあと、2002年には英Kent Recordsが本作を約12曲のボーナス・トラック付きで再発した。AllMusicは本作に5つ星を付け、カーを「ディープな南部ソウルが生んだ最も偉大な純粋なヴォーカリストの一人」と呼んでいる。Mojo誌も2002年の再発時に「史上最高のソウル・アルバムの一つ」と評した。カーはかつて「世界最高のソウル・シンガー」とも呼ばれた。

トラックリスト

  1. A1 Pouring Water On A Drowning Man 2:35
  2. A2 Love Attack 2:44
  3. A3 Coming Back To Me Baby 2:31
  4. A4 I Don't Want To Be Hurt Anymore 2:20
  5. A5 That's What I Want To Know 1:53
  6. A6 These Ain't Raindrops 2:31
  7. B1 The Dark End Of The Street 2:20
  8. B2 I'm Going For Myself 2:19
  9. B3 Lovable Girl 2:27
  10. B4 Forgetting You 2:49
  11. B5 She's Better Than You 2:19
  12. B6 You've Got My Mind Messed Up 2:20

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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