Jon Lord - Sarabande (1976)
Jon Lord 1976

Jon Lord - Sarabande (1976)

Rock

Jon Lord『Sarabande』:ディープ・パープルの鍵盤奏者が組み上げた、オーケストラ主体のソロ作

Jon Lordの『Sarabande』は、1976年に発表されたソロ作品。Deep Purpleの中心人物として知られるロードが、ロック・バンドの枠を外れて、自身の作曲感覚を大きく広げたアルバムとして位置づけられている。全体はインストゥルメンタルで、バンド・サウンドよりもオーケストラの比重が高い。ロックの推進力と、組曲的な構成を持つクラシカルな書法が、はっきり分かる形で並ぶ一枚だ。

録音は1975年9月、ドイツで行われた。演奏にはフィルハーモニア・フンガリカが参加し、エーバーハルト・シェーナーが指揮を担当している。Jon LordはDeep Purpleの活動と並行して、鍵盤楽器を軸にしたシンフォニックな表現を追求していたが、この作品ではその志向がかなり明確に出ている。ロックの文脈にいるミュージシャンが、オーケストラを単なる装飾としてではなく、作品の骨格として扱っている点が重要だ。

作品の性格と聴きどころ

『Sarabande』というタイトルは、古い舞曲名に由来する。収録曲も舞曲名を思わせる構成で、曲ごとのテンポや輪郭に一定の統一感がある。実際に聴くと、派手なギター・リフや歌を前面に出す作品ではなく、オーケストラの流れの中にハモンド・オルガンや鍵盤のフレーズが差し込まれていく作りが目立つ。Jon Lordの持ち味である、ロック寄りの音色とクラシック寄りの書法の接点が、そのままアルバム全体の軸になっている。

同時代のロック作品でいうと、キーボード奏者がオーケストラと組む試みは珍しくないが、ここではDeep Purple的な重量感をそのまま持ち込むのではなく、より組曲的で、曲間のつながりも含めて聴かせる方向に寄っている。後年、クラシカル・ロックやシンフォニック・ロックの文脈で語られることが多いのも納得できる内容だ。Jon Lord本人にとっても、バンド活動とは別の場所で作曲家としての輪郭を見せる作品だった。

1976年作、1983年再発盤としての見え方

この盤はドイツ盤の再発で、レーベルはLine Records。盤面には℗ 1976、ジャケット側には© 1983と記されている。つまり、作品そのものは1976年のものだが、このレコードは1983年の再発盤として流通したもの。オリジナルのPurple Records盤に対して、こちらは西ドイツ製プレスで、ジャケットやレーベル表記も再発時のクレジットに置き換えられている。裏ジャケットには「P. 1976 Purple Records Ltd.」「C. 1983 Line Music GmbH」とあり、原盤の年と再発時の年が分かる形になっている。

なお、この盤はホワイト・ヴァイナル仕様として知られている。同じカタログ番号でブラック・ヴァイナル版も存在するため、見た目の違いがあるのもこの再発の特徴だ。カタログ番号は背表紙、裏ジャケット右上、上部の表記で確認できる。Line Recordsは西ドイツのレーベルで、1980年代初頭の再発市場でこうした旧作を流通させていた流れの中に、この『Sarabande』も置かれている。

Jon Lordのキャリアの中で

Jon LordはDeep Purpleの共同創設者として知られ、1968年から1976年までバンドの核を担った人物。1970年代前半のDeep Purpleはハードロックの文脈で語られることが多いが、ロード自身は常にクラシックやバロックの要素をロックに持ち込んでいた。この『Sarabande』は、その方向性をバンド外で押し進めた作品として見やすい。後年のソロ活動や、Deep Purple再結成後の活動を考えても、ここでの大編成志向は彼の作曲家としての重要な一面を示している。

派手なヒット曲で押すアルバムではないが、Jon Lordの鍵盤奏者としての個性、そしてロックと管弦楽を接続しようとした時代の空気が、そのまま記録された作品。Deep Purpleの重さを知っていると、なおさらこのアルバムの構成の細かさが見えやすい。1970年代中盤のロックが、どこまでクラシックの形式に踏み込めるか。その実験の一例として、静かに存在感を残す一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Fantasia 3:30
  2. A2 Sarabande 7:20
  3. A3 Aria 3:42
  4. A4 Gigue 11:06
  5. B1 Bouree 11:00
  6. B2 Pavane 7:35
  7. B3 Caprice 3:12
  8. B4 Finale 2:03

動画プレイリスト

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