Parliament - Trombipulation (1980)
Parliament『Trombipulation』
ジョージ・クリントン率いるP-ファンクの総本山パーラメントが、1980年12月にカサブランカ・レコードからリリースした通算9作目のスタジオ・アルバム。70年代を席巻した黄金期パーラメント名義としてはラスト・アルバムとなった重要作である。
制作背景・エピソード
本作にはジョージ・クリントンを中心に、ベースの怪人ブーツィー・コリンズ、マルチな鍵盤奏者ウォルター・“ジュニー”・モリソン、トロンボーン奏者フレッド・ウェズリーらP-Funkの中核陣が集結。アルバムのテーマは、P-Funk神話における宿敵サー・ノーズ・ディヴォイドオフンク(Sir Nose D'Voidoffunk)を巡る物語の展開である。サー・ノーズが人類の起源とされる架空の祖先「クロ・ナザル・サピエン(Cro-Nasal Sapien)」を自称し、歴史を改ざんしてファンク軍団を支配しようとする奇想天外なSFパロディが描かれた。クリントン自身が象のような長い鼻を付けたヴィジュアルで登場するなど、P-Funkならではの痛烈なユーモアと風刺が全編に溢れている。
楽曲面では、マーチング・ビートとファンクを融合させ、軽妙な言葉遊びをちりばめた「Agony of Defeet」がビルボードR&Bチャートで7位を記録するヒットとなった。さらに、グループの原点であるドゥーワップ時代のハーモニーを現代的ファンクへと昇華させた「New Doo Review」や、抑制の効いたレイドバックなグルーヴが光る「Let's Play House」など、多彩な音楽性が示されている。
時代の文脈
1980年当時、所属レーベルであるカサブランカ・レコードの経営危機や、シンセポップ/エレポップの台頭によるシーンの急速な変化に直面し、大規模なツアーを続けてきたP-Funkの体制は転換期を迎えていた。本作は、『Mothership Connection』や『Funkentelechy Vs. The Placebo Syndrome』のような70年代中期の壮大なスペース・オペラ的ファンクから、80年代初頭のタイトでストリート感覚に即したエレクトロニック・ファンクへの過渡期を映し出している。
本作の発表後、パーラメント名義での活動は一時停止し、クリントンは『Computer Games』(1982年)をはじめとするソロ活動やP-Funkオールスターズへと活動基盤を移行していった。
後世への影響
90年代のヒップホップ/Gファンク隆盛期において、本作の収録曲は格好のサンプリング・ソースとして再評価された。とりわけ「Let's Play House」の耳に残るヴォーカル・リフレイン(“Do-re-mi-fa-so-la-ti-do... let's play house!”)は、デジタル・アンダーグラウンドの代表的クラシック「The Humpty Dance」(1990年)のフックとして引用され世界的な知名度を獲得した。さらに「Agony of Defeet」や表題曲もスヌープ・ドッグやアイス・キューブらにサンプリングされ、ウェストコースト・サウンドの強固な基盤となった。
盤について
USオリジナル盤(Casablanca NBLP 7249)。迫力ある見開きジャケット(Gatefold sleeve)仕様で、片面にP-Funk特有のカートゥーン・イラスト、もう片面に詳細なクレジットが記載された特製インナースリーブが付属している。
トラックリスト
- A1 Crush It 3:50
- A2 Trombipulation 4:33
- A3 Long Way Around 5:40
- A4 Agony Of Defeet 6:23
- B1 New Doo Review 5:55
- B2 Let's Play House 3:39
- B3 Body Language 5:57
- B4 Peek-A-Groove 7:48
動画プレイリスト
このアーティストについて
Parliamentは、ジョージ・クリントンを中心に活動してきたアメリカのファンク・グループだ。もともとは1950年代後半、ニュージャージー州プレインフィ...
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