Ray Parker Jr. And Raydio - Two Places At The Same Time (1980)
Ray Parker Jr. 1980

Ray Parker Jr. And Raydio - Two Places At The Same Time (1980)

Funk / Soul Funk

Ray Parker Jr. And Raydio『Two Places At The Same Time』(1980)

Ray Parker Jr. と Raydio 名義で発表された『Two Places At The Same Time』は、1980年のUS盤で登場したファンク/ソウル作品だ。レイ・パーカーJr. がバンド名義で残した流れの中では3作目にあたり、前作までで固めてきた洗練されたR&Bの作りを、さらに明快に押し出したアルバムとして位置づけられている。レイ・パーカーJr. は歌、ギター、作曲、プロデュースまで幅広く担うタイプの人物で、この時期の作品にもその主導性がはっきり出ている。

本作は、ロサンゼルスの Raydio Studios と Ameraycan Studios で録音・ミックスされている。クレジット上でも制作の中心に本人の存在が見えやすく、バンド作品というより、レイ・パーカーJr. のソングライター/アレンジャーとしての感覚が前面に出たアルバムとして聴ける。1970年代後半から1980年前後のブラック・ミュージックでは、演奏のキレとポップなメロディを両立させる作りが重要になっていたが、この作品もその流れの中にある。

アルバムの中心にある楽曲

タイトル曲「Two Places at the Same Time」は、本作を代表する1曲だ。シングルとしても存在感があり、Billboard Hot 100 で30位、R&Bチャートで6位を記録している。歌とリズムの組み立てが分かりやすく、ファンクの骨格を保ちながら、耳に残るフックをしっかり置いた構成。レイ・パーカーJr. の持ち味である、ギターの細かなカッティングとメロディの運びがよく出ている。

ほかにも「Can’t Keep Crying」や「For Those Who Like to Groove」がチャート入りしており、アルバム全体としてもシングル頼みではないまとまりがある。バラード寄りの曲、ダンス志向の曲、ポップ寄りのソウルが並び、曲ごとの色分けがはっきりしている点が印象に残る。派手な仕掛けを増やすより、各曲の輪郭をくっきり見せる作りで、1980年のR&B作品らしい整理された手触りがある。

時代背景と位置づけ

この作品が出た1980年は、Raydio がすでに一定の成功を収めていた時期で、レイ・パーカーJr. にとってはバンドの名前を保ちながら自分の作家性を拡張していた段階にあたる。アルバムはビルボードのソウルLPチャートで上位10位に入り、ゴールド認定も受けている。全米アルバム・チャートでは33位まで上昇しており、当時のR&B/ポップ市場の中でしっかり届いた作品だったことがわかる。

同時代の文脈で見ると、洗練されたブラック・ポップの作りは、アース・ウィンド・アンド・ファイアー周辺の都会的なファンク、あるいは同じくソウルとポップを接続していたアーティスト群と並べて語りやすい。ただし本作は、オーケストラ的な厚みよりも、ギター、リズム、歌のまとまりが軸にある。レイ・パーカーJr. 自身が後年ソロで見せるメロディ重視の感覚も、ここでかなり形になっている。

レイ・パーカーJr. の活動の広がり

1980年前後のレイ・パーカーJr. は、Raydio の活動だけでなく、外部作品への参加も多い時期だった。作曲家、演奏家、プロデューサーとして、ハービー・ハンコック、ラトーヤ・ジャクソン、ボズ・スキャッグス、デニース・ウィリアムス、ダイアナ・ロスらの作品にも関わっている。そうした動きの中で『Two Places At The Same Time』を聴くと、単なるバンドの3枚目ではなく、彼が当時のR&B/ポップの現場でどのように機能していたかが見えやすい。

なお、同名の別アーティストとしてカナダの作曲家 Ray Parker がいるが、こちらのレイ・パーカーJr. とは別人である。本作は、デトロイト出身のシンガー/ギタリストとしての Ray Parker Jr. の仕事を追ううえで重要な1枚で、のちの「The Other Woman」や「Ghostbusters」へつながる作家性の下地も感じやすい。

USオリジナル盤について

このUS盤は Arista のAL 9515。ラベルには、Arista ロゴの一部として stylized font の “Arista” が使われており、同系の別プレスとは見た目が異なる。1970年代後半のAristaらしいデザインの流れの中にあり、当時のレーベルの空気もそのまま反映している。音楽面だけでなく、こうした初期盤の仕様も80年代初頭のオリジナル・リリースらしさを感じさせる要素になっている。

『Two Places At The Same Time』は、Ray Parker Jr. がソロへ向かう直前の時期に、Raydio 名義で残した完成度の高い一作として整理できる。ファンクのリズム、ソウルの歌、ポップなフックが無理なく並び、1980年のR&Bの輪郭をそのまま切り取ったようなアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 It's Time To Party Now 4:53
  2. A2 Until The Morning Comes 4:24
  3. A3 Two Places At The Same Time 3:49
  4. A4 Tonight's The Night 5:06
  5. B1 A Little Bit Of You 4:18
  6. B2 Everybody Makes Mistakes 4:58
  7. B3 Can't Keep From Cryin' 3:37
  8. B4 For Those Who Like To Groove 4:28

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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