Renaissance - Illusion (1971)
Renaissance『Illusion』
Renaissanceの『Illusion』は、1971年に発表された作品で、今回の盤は1982年のドイツ盤。オリジナル初出から時間を置いて出た再発盤で、ノン・ゲートフォールド仕様、青いセンター・ラベル、そして1981年以降に見られるベース・クレフ表記が入っている。録音はOlympic StudiosとIsland Studiosで行われた。
制作背景・エピソード
この作品は、初期Renaissanceの中心だったキース・レルフとジム・マッカーティが進めた、オリジナル期Renaissanceの後半にあたるアルバム。Repertoireのライナー紹介では、当時の彼らが初期のクラシカル/フォーク寄りの路線から離れ、よりハードなロックへ戻ろうとしていたとされる。一方で、結果としては初期作にあった叙情性も残った、という整理がされている。
また、この時期から詩人ベティ・サッチャーが歌詞面で重要な役割を担い始めたとされ、本作が長期的な共同制作の出発点になったという。AllMusicでは、ジム・マッカーティが病気で演奏を降りたこと、さらにキース・レルフとルイス・シナモもその後パフォーマーとしては離脱したことが指摘されている。
参加メンバーについては、初期ラインナップの流れをくむ編成が中心で、AllMusicの記述では、ここがオリジナル版Renaissanceの終盤に近い位置づけになっている。
時代の文脈
1971年は英プログレが広がっていた時期だが、AllMusicは『Illusion』を、同時代の大作志向のプログレというより、アコースティック主体の静かなアート・ロック/フォーク・ロック寄りの作品として扱っている。また、後の“クラシカル・Renaissance”を先取りする軽やかな質感と、レルフ/マッカーティが1969年頃に構想していたポップ寄りの感覚が同居している、とも述べている。
前作からの継続線上にありつつ、メンバー脱退と編成変化が制作に影を落とした過渡期のアルバムでもある。バンド史の中では、のちの安定した編成へ移る前の、かなり重要な節目に置かれている。
後世への影響
AllMusicは、「Mr. Pine」の器楽ブリッジが後年の「Running Hard」に発展したと指摘している。つまり、本作の一部の素材は、その後のRenaissance本体のレパートリーに引き継がれた形になる。
さらに、ベティ・サッチャーとの協働は本作を起点に続き、いわゆる“クラシック期Renaissance”の作詞面の基盤になったとされる。後年には1990年に『Enchanted Caress』としてデモ集が出て、2001年には旧メンバーがRenaissance Illusion名義で『Through the Fire』を発表しており、『Illusion』への再注目が続いたことも確認できる。
評価・流通
AllMusicのブルース・エダーは、本作を前作よりも「より滑らかで商業的」としつつ、Jane Relfのヴォーカル、アコースティック・ギター中心の質感、アートロックとアートポップの間を行くメロディを聴きどころに挙げている。ユーザーレビューでも「『Love Is All』と『Love Goes On』のハーモニーが美しい」「『Golden Thread』は次のRenaissanceに近い」といった感想が見られる。
流通面では、最初はドイツでのリリースが中心で、広く出回るのは後年だったとされる。今回の1982年盤は、その後の再発の一つとして見ておくのがよさそうだ。チャート面の大きな実績は、確認できた資料では見当たらない。
トラックリスト
- A1 Love Goes On
- A2 Golden Thread
- A3 Love Is All
- A4 Mr. Pine
- B1 Face Of Yesterday
- B2 Past Orbits Of Dust
動画プレイリスト
このアーティストについて
Renaissanceは、1969年にロンドンで結成されたロック・バンドだ。元The YardbirdsのKeith RelfとJim McCartyが、ロック、フォーク、クラシック音楽を...
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