Rob - Rob (1977)
Rob / 『Rob』
ガーナ・アクラ出身のシンガー/キーボード奏者、Rob 'Roy' Raindorf が1977年にEssiebonsから発表したデビュー作。オーティス・レディング、ジェームス・ブラウン、ウィルソン・ピケット、レイ・チャールズに憧れ、ベナンのコトヌーでピアノを学んだのち、Orchestre Poly-Rythmo de Cotonou や Black Santiagos で演奏経験を積んでから帰国した人物である。のちに2作目『Make It Fast, Make It Slow』、3作目『Hellfire』へとつながる、キャリア初期の重要な一枚。
制作背景・エピソード
本作の制作で大きな役割を担ったのが、軍楽隊 Mag-2 だった。Rob は28歳だった1977年、アクラで彼らの演奏を見た記憶を頼りに、西部の町タコラディまで会いに行き、ホーン・セクションを備えたバンドとして起用した。Mag-2 は地元の部隊の第2大隊に属するバンドで、The Parrots でリード・ギターを弾いていた Amponsah Rockson が率いるバンドで、当時のガーナでは貴重だった Hofner のギターや Yamaha のキーボードも備えていたという。
アナログ・アフリカの解説では、曲作りの大部分は Amponsah が担い、コード進行の構築やホーン・アレンジも彼の仕事だったとされる。Rob は歌い出しの合図まで Amponsah から受けていたほどで、リハーサル中は現金ではなく、たばこや食べ物、飲み物をバンドに振る舞っていたという。録音はアクラのEssiebonsスタジオで行われた。
Essiebons は、1967年にフィリップスと組んで西アフリカ初のレコード・プレス工場を開いたプロデューサー、ディック・エシルフィー=ボンジー(Dick Essilfie-Bondzie)のレーベルで、ハイライフの名門として知られる。
時代の文脈
1970年代のガーナではハイライフとアフロビートが盛んで、Rob はそこにアメリカのファンクやソウルを持ち込み、英語で歌った。アナログ・アフリカは本作を「宇宙的なアフロ・ファンクに影響を受けた、プログレッシヴなダンスフロア・ミュージック」と紹介している。
同じ Mag-2 は、2作目『Make It Fast, Make It Slow』も Essiebons のスタジオで録音している。Rob の活動はその後、ナイジェリアのタバンシから出た『Hellfire』へと続くが、1980年代初めにはアフロビートへの関心が薄れ、ディスコ/ブギーが流行の中心になっていく。収入面の事情から、Rob はドイツのハンブルクへ渡り、さらにスウェーデンにも滞在したのち、アクラに戻ってレストランを開いた。
後世への影響
当時は国内でも大きなヒットにはならず、オリジナル盤はプレス枚数が限られていたため、のちにコレクターの間で高値で取引される存在になった。2002年には英Soundwayのコンピレーション『Ghana Soundz』に「Make It Fast, Make It Slow」が収録された。Soundway は後に2作目を再発した。
本作自体は2011年、Analog Africa の「Limited Dance Edition」シリーズから『Funky Rob Way』として再発され、2019年にはオリジナル・テープからマスタリングした1000枚限定の180グラム盤も登場した。同じ2019年には Mr Bongo からも再発が出ており、この年には Rob 自身もヨーロッパでライヴを行っている。ソングラインズ誌のジム・ヒクソンは、オープニングの「ファンキー、ファンキー、ファンキー・ロブ!」というチャントを取り上げ、「その通りだ」と面白がったうえで、ジェームス・ブラウン系のファンクに西アフリカのハイライフと伝統的なパーカッションが混ざったサウンドを「どの曲も同じくらいクール」と評した。Rob がキーボードと歌を担い、Mag-2 がワウ・ギター、ホーン、重ねられたリズムを支えている。ラストの「More」については、別のブログで「フレッド・ウェズリー&ザ・JB's がアクラで迷子になって録音したかのよう」と形容されている。
トラックリスト
- A1 Funky Rob Way
- A2 Forgive Us All
- A3 Boogie On
- B1 Just One More Time
- B2 Your Kiss Stole Me Away
- B3 More