Sam & Dave - Soul Men (1967)
Sam & Dave『Soul Men』(1967年、US Stax S 725)
Sam & Daveの『Soul Men』は、1967年にStaxから出た3作目のアルバムで、デュオがメンフィス・ソウルの中心にいた時期をそのまま刻んだ一枚。タイトル曲「Soul Man」の大ヒットで知られる作品だが、アルバム全体を通しても、Sam Mooreの鋭い高音とDave Praterの太い歌声が、Staxらしいタイトな演奏の上で強く前に出る。US盤のStax S 725は、Atlantic配給時代のStaxにあたるオリジナル期のリリースで、1967年当時の空気をそのまま伝える盤だ。
Sam & Daveという存在
Sam & Daveは、1961年にマイアミで結成されたソウル・デュオで、Sam MooreとDavid Praterによる組み合わせ。初期には大きな成功に恵まれなかったが、1965年以降、Isaac HayesとDavid Porterのソングライティング・チームと結びついてから流れが変わる。「Hold On, I’m Comin’」(1966年)、「Soul Man」(1967年)といった曲で一気に存在感を強めた。2人の掛け合いは、ゴスペル由来の熱量と、R&Bのリズム感をそのままステージに持ち込んだものとして記憶されている。
特にSam & Daveは、スタジオ盤以上にライヴでの切迫感が語られることが多い。後年、The Blues Brothersのステージ・イメージに影響を与えたことでも知られ、黒人ソウルのショウアップされた表現のひとつの型を作ったデュオでもある。
Staxの1967年盤としての位置
Staxは、メンフィス発のサザン・ソウルを代表するレーベル。Sam & Daveの時代は、Booker T. & The MG’sがハウス・バンドを務め、Steve Cropper、Al Jackson Jr.らが支える、いわばStax黄金期のど真ん中にあたる。この盤もその文脈にしっかり乗っていて、演奏は派手に作り込むというより、リズム隊の推進力とホーン・アレンジの切れで押していくタイプ。音の隙間が少なく、歌の呼吸とバンドのうねりが近い距離でぶつかっている。
Staxの1967年作品として見ると、Otis Redding、Booker T. & The MG’s、Carla Thomas、Albert Kingらが並ぶ時期で、レーベル全体が強い推進力を持っていた。その中でSam & Daveは、より直接的で、コール&レスポンスの快感がはっきりした存在として目立つ。後のStaxを代表する顔ぶれの中でも、ヒット性とステージ性の両方を強く持ったデュオとして位置づけられる。
「Soul Man」の背景
収録曲の中心は、もちろん「Soul Man」。この曲は1967年7月のデトロイト暴動をきっかけに生まれたとされる。Isaac Hayesが、焼き討ちを免れた建物や黒人の店に「soul」と書かれていたのを見て、そこからDavid Porterとともに曲の発想を組み立てたという話が残る。内容は、困難な状況から抜け出そうとする者の自己宣言のような形を取っていて、歌詞の強さがそのままSam & Daveの歌唱に乗っている。
曲中の「Play it, Steve!」という掛け声は、ギタリストのSteve Cropperに向けたもの。Cropperはこの曲でジッポー・ライターをスライドバーのように使ったとも伝えられている。こうした細部も含めて、Staxの現場感がそのまま記録された1曲になっている。
アルバムとしての聴きどころ
このアルバムは「Soul Man」の存在感が大きい一方で、全体を通してもSam & Daveの役割分担がよく見える。Sam Mooreが鋭く切り込む場面と、Dave Praterが低めの芯で受け止める場面が交互に現れ、2人の声がぶつかることで曲が前へ進む。演奏面ではBooker T. & The MG’sとMar-Key Hornsが支え、ギター、ベース、ドラム、ホーンが必要以上に主張しないまま、歌の熱を押し上げる構成。
収録曲にはオリジナル曲だけでなく「Let It Be Me」のようなカヴァーも含まれ、ソングライター主導のStax作品らしく、楽曲の出自と歌い方の両方を聴かせる作り。派手な録音技巧に頼らず、声の圧とリズムの粘りで持っていく点が、この時代のサザン・ソウルらしい。
評価と影響
「Soul Man」はBillboardのR&Bチャートで1位、Hot 100で2位を記録し、1968年のグラミー賞では最優秀R&Bグループ・パフォーマンス賞を受賞した。アルバム自体もR&Bアルバム・チャートで5位、総合チャートで62位を記録している。のちに米議会図書館のNational Recording Registryにも選ばれており、単なるヒット曲集ではなく、60年代ソウルの重要作として扱われている。
Sam & Daveの歌い方は、後続のソウル・デュオやステージ志向のR&Bアクトに影響を残した。特に、掛け合いの緊張感、シャウトのタイミング、バンドとの一体感は、後のソウルやファンクのライブ表現にもつながっていく。『Soul Men』は、その入口にある作品として、Staxの現場と1967年の空気をそのまま伝える一枚になっている。
トラックリスト
- A1 Soul Man 2:36
- A2 May I Baby 2:38
- A3 Broke Down Piece Of Man 2:46
- A4 Let It Be Me 2:45
- A5 Hold It Baby 2:35
- A6 I'm With You 2:50
- B1 Don't Knock It 2:28
- B2 Just Keep Holding On 2:52
- B3 The Good Runs The Bad Way 2:15
- B4 Rich Kind Of Poverty 2:13
- B5 I've Seen What Loneliness Can Do 2:58
動画プレイリスト
このアーティストについて
Sam & Daveは、Sam MooreとDavid Praterによるアメリカのソウル・ヴォーカル・デュオだ。1961年にフロリダ州マイアミで結成され、ジャンルはFunk...
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