Tantra - The Double Album (1980)
Tantra『The Double Album』
イタリア屈指のプロデューサー/作編曲家チェルソ・ヴァッリ(Celso Valli)を中心に結成されたスタジオ・プロジェクト、Tantraが1980年に発表した傑作2枚組アルバム。US盤はニューヨークの重要ダンス・レーベルImporte/12からリリースされ、北イタリアの名門スタジオ「Stone Castle Studios(カリマーテ)」にてレコーディングされた。見開きゲートフォールド仕様の豪華なパッケージとともに、長尺トラックを贅沢に配した構成は、まさにプログレッシブ・ディスコの到達点として君臨している。
制作背景・エピソード
本作は“A Katmandu Production”として制作され、1979年に先行してフロアを席巻していた代表曲「Hills Of Katmandu」と、もうひとつの長編作「Wishbone」を主軸に据えている。Side Aの「Hills Of Katmandu」が16分20秒、Side Dの「Wishbone」が15分40秒という圧倒的なスケールを誇り、各面を丸ごと1曲で使い切る構成が、ダンスフロアでの没入感を極限まで高めている。
さらにSide Bにはアグレッシブなグルーヴが炸裂する「Get Ready To Go」や「Top Shot」、Side Cにはアフロ・トライバルなニュアンスを湛えた「Su-Ku-Leu」や「Mother Africa」などが収められ、チェルソ・ヴァッリの卓越したオーケストレーションとシンセサイザー・アレンジの妙が随所に発揮されている。
時代の文脈
1970年代末から1980年にかけて、ヨーロッパ発のスペース・ディスコやユーロ・ディスコは、アメリカのアンダーグラウンド・クラブシーンへ急速に浸透していった。ニューヨークの伝説的クラブ「The Loft」や「The Saint」、シカゴの「The Warehouse」、そしてイタリア本国の「Baia Degli Angeli」といったクラブにおいて、長尺で催眠的なシンセ・ディスコはDJたちの絶対的なキラーチューンとなっていた。
本作はそうしたイタロ・ディスコ/コズミック・ディスコ黎明期のエネルギーを凝縮した金字塔であり、Importe/12という米国の重要なディストリビューションを通じて大西洋を渡り、フロアを熱狂の渦へと巻き込んだ。
後世への影響とサウンドの魅力
オープニングを飾る「Hills Of Katmandu」は、後にサンフランシスコのシンセサイザーの奇才パトリック・カウリー(Patrick Cowley)によって「Megamix」として再構築され、Hi-NRGから初期シカゴ・ハウスへの決定的な橋渡しとなった。フランキー・ナックルズをはじめとするハウス黎明期のレジェンドDJたちにも深く愛され、今日に至るまでダンス・クラシックスの頂点として語り継がれている。
怒涛のように押し寄せるシーケンサーのアルペジオ、地を這うベースライン、呪術的なパーカッション、そしてドラマティックに展開するストリングスとブラス。トランス状態を誘発するコズミック・ディスコの真髄がここに刻まれている。
トラックリスト
- A Hills Of Katmandu 16:20
- B1 Get Ready To Go 6:27
- B2 Top Shot 7:23
- C1 Su-Ku-Leu 2:33
- C2 Mother Africa 4:39
- C3 Hallelujah 4:39
- C4 Get Happy 4:43
- D Wishbone 15:40