The Supremes - I Hear A Symphony (1966)
The Supremes『I Hear A Symphony』
1966年にモータウンから出たThe Supremesのアルバム『I Hear A Symphony』は、表題曲「I Hear A Symphony」を軸に、ホーランド=ドジャー=ホーランド作品とスタンダード、ポップ・カバーを並べた一枚。デトロイトのHitsville U.S.A.で録音され、プロデュースはブライアン・ホーランドとラモント・ドジャーが担当している。リードはダイアナ・ロス、バック・ヴォーカルはフローレンス・バラードとメアリー・ウィルソン。演奏はファンク・ブラザーズで、ベースのジェームス・ジェマーソン、ドラムのベニー・ベンジャミン、オルガンのアール・ヴァン・ダイクらが参加した。表題曲と「My World Is Empty Without You」にはデトロイト交響楽団も加わり、弦の編曲はポール・ライザーが手がけている。
制作背景・エピソード
表題曲は、前のシングル「Nothing but Heartaches」がトップ10にあと一歩届かず、シュープリームスの全米1位の連続が途切れた流れの中で生まれた。作者のホーランド=ドジャー=ホーランドは、これまでの型に収まりすぎていると感じ、新しい要素を試すために「I Hear A Symphony」を書いたという。もともとは従来のヒット曲の型で録られていた「Mother Dear」に代わってシングルに選ばれ、1965年9月に録音された。ダイアナ・ロスは1968年のインタビューで、この曲は音域が難しいが歌うのが好きな一曲だと語っている。
アルバムには、ホーランド=ドジャー=ホーランドのオリジナルに加え、「Stranger In Paradise」「Unchained Melody」「With A Song In My Heart」「Without A Song」「Wonderful! Wonderful!」といったスタンダード、「Yesterday」や「A Lover's Concerto」のカバーも収録されている。もともとグループは、1965年夏のニューヨークでのコパカバーナ初出演に合わせて、スタンダード集『There's a Place for Us』を録音していたが、この企画は延期の末に中止され、代わってライヴ盤『The Supremes at the Copa』が出た。本作には、その未発表企画に近い曲がいくつも並び、ジャケットも予定されていたものに似ている。お蔵入りになったスタンダード集は、2004年になって初めて発売された。
時代の文脈
「I Hear A Symphony」は1965年10月6日に発売され、11月にはBillboard Hot 100で2週連続1位を記録した。シュープリームスにとって6曲目の全米1位で、アルバムはBillboard 200で8位に入って55週チャートにとどまり、R&Bアルバム・チャートでは1位。続く「My World Is Empty Without You」は1965年12月に録音され、同月末に発売されたシングルで、Hot 100で5位、カナダでは1位になっている。速いテンポに、失恋後の落ち込みを歌う暗い歌詞を乗せた曲で、ホーランド=ドジャー=ホーランドがシュープリームスに書いた曲の中では1位を逃した数少ない曲のひとつである。ポップ史家のアンドリュー・グラント・ジャクソンはローリング・ストーンズの「Paint It Black」との強い類似を指摘している。
後世への動き
2012年には2枚組のエクスパンデッド・エディションが出され、1966年に作られた別ステレオ・マスター、別ヴォーカル、アルバム未収録曲「All of a Sudden (My Heart Sings)」に加え、1966年9月26日にデトロイトのRoostertailで録音されたライヴも収められた。
Billboardは表題曲を「大ヒット確実」とし、その脈打つビートとヴォーカルを評価している。音楽ブログ「Soul Finger」のCurtis M. Harrisは、アルバム全体をおおむね控えめな作品としつつ、表題曲には満点を付け、グループのビートと大きなオーケストラを組み合わせた野心をフィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド」に重ねている。「My World Is Empty Without You」では不気味なオルガンとバリトン・サックスに触れ、「Any Girl In Love」はバック・ヴォーカルが前に出る珍しい曲として挙げている。本人のお気に入りは挑むような調子の「He's All I Got」で、スタンダードのカバーは「霞の中で溶け合ってしまう」と評した。
トラックリスト
- A1 Stranger In Paradise 3:01
- A2 Yesterday 2:26
- A3 I Hear A Symphony 2:40
- A4 Unchained Melody 3:47
- A5 With A Song In My Heart 2:01
- A6 Without A Song 2:58
- B1 My World Is Empty Without You 2:33
- B2 A Lover's Concerto 2:33
- B3 Any Girl In Love (Knows What I'm Going Through) 2:58
- B4 Wonderful, Wonderful 2:53
- B5 Everything Is Good About You 2:57
- B6 He's All I Got 2:45
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Supremes(ザ・シュープリームス)は、1960年代から1970年代にかけてアメリカのポップ/ソウル界の頂点に君臨した女性ヴォーカル・グループだ。Be...
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