Wilson Pickett - The Wicked Pickett (1967)
Wilson Pickett 1967

Wilson Pickett - The Wicked Pickett (1967)

Funk / Soul Soul

Wilson Pickett『The Wicked Pickett』

ウィルソン・ピケット(Wilson Pickett)が1967年にアトランティック・レコード(Atlantic)から発表した通算4作目のスタジオ・アルバム『The Wicked Pickett』。"ウィキッド・ピケット"の異名をタイトルに冠し、彼のキャリアの中でも最も強烈な熱量とエネルギーが凝縮された、サザン・ソウル/ディープ・ソウルの金字塔である。

マッスル・ショールズFAMEスタジオでの歴史的セッション

本作は、アトランティックの名物プロデューサーであるジェリー・ウェクスラー(Jerry Wexler)の手引きにより、アラバマ州マッスル・ショールズの伝説的名門「FAMEスタジオ(FAME Recording Studios)」で録音された。スタジオ創設者のリック・ホール(Rick Hall)と名エンジニアのトム・ダウド(Tom Dowd)が制作を支え、バックにはのちに"スワンプカーズ(The Swampers)"として名を馳せる若き白人ハウス・ミュージシャンたちが集結した。

ロジャー・ホーキンス(ドラムス)、トミー・コグビル(ベース)、ジミー・ジョンソンとチップス・モーマン(ギター)、スプーナー・オールダム(キーボード)らによる、粘りつくように重くタイトなサザン・グルーヴが、ピケットの野性味あふれるシャウトと奇跡的な化学反応を生み出した。

名曲「Mustang Sally」と豪華な収録曲

アルバムの冒頭を飾る「Mustang Sally」は、サー・マック・ライスの原曲を圧倒的なダイナミズムで再構築したトラックで、全米R&Bチャート6位(Hot 100で23位)を記録する特大ヒットを達成。のちにグラミーの殿堂入りを果たしたソウル史上屈指のアンセムとなった。

さらに同郷のエディ・フロイド作「Knock on Wood」、ソロモン・バークの「Everybody Needs Somebody to Love」、名手ダン・ペンのペンによる「You Left the Water Running」「She Ain't Gonna Do Right」など、全編にわたって極上のディープ・ソウルが繰り広げられている。

時代の文脈と後世への影響

メンフィスのスタックス・スタジオでの録音セッションが継続困難となったウェクスラーが、次なる録音拠点として見出したのがマッスル・ショールズであった。ピケットの激しいゴスペル仕込みのヴォーカルとFAMEリズム・セクションの泥臭いビートの融合は、1960年代後半のマッスル・ショールズ・サウンドの世界的名声を一気に確立する決定的な契機となった。

ビルボードのR&Bアルバム・チャートで5位(総合チャート42位)を記録した本作は、「Mustang Sally」が映画『ザ・コミットメンツ』などで広く歌い継がれ、「Everybody Needs Somebody to Love」が映画『ブルース・ブラザーズ』で取り上げられるなど、後年のロックやR&Bシーンに計り知れない影響を与え続けている。1960年代サザン・ソウルの生々しい熱気を永遠に封じ込めた不朽の名盤である。

トラックリスト

  1. A1 Mustang Sally 3:04
  2. A2 New Orleans 2:32
  3. A3 Sunny 3:16
  4. A4 Everybody Needs Somebody To Love 2:16
  5. A5 Ooh Poo Pah Doo 2:37
  6. A6 She Ain't Gonna Do Right 2:14
  7. B1 Knock On Wood 2:40
  8. B2 Time Is On My Side 2:31
  9. B3 Up Tight Good Woman 2:29
  10. B4 You Left The Water Running 2:31
  11. B5 Three Time Loser 2:19
  12. B6 Nothing You Can Do 2:14

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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