Quincy Jones - Gula Matari (1970)
Quincy Jones『Gula Matari』(1970)
クインシー・ジョーンズがA&M Recordsから1970年に発表した『Gula Matari』は、前作『Walking in Space』(1969年)に続くA&M時代の重要作として挙げられるアルバムだ。録音はニュージャージー州のヴァン・ゲルダー・スタジオで、1970年3月25日、26日、5月12日に行われた。エンジニアはルディ・ヴァン・ゲルダー。プロデュース面ではクリード・テイラーが関わっており、クインシー自身の編曲・構成とあわせて、当時のジャズ/ソウルの一線級の人材が集まった制作になっている。
制作背景・参加ミュージシャン
参加者は豪華で、ハービー・ハンコックがエレクトリック・ピアノ、フレディ・ハバードがトランペット、ヒューバート・ロウズがフルート、エリック・ゲイルがギター、ロン・カーターがベース、グラディ・テイトがドラムス、ミルト・ジャクソンがヴィブラフォン、トゥーツ・シールマンスがハーモニカとギターを担当している。さらにヴァレリー・シンプソンがヴォーカルで参加している。フレディ・ハバードとヒューバート・ロウズはCTI Records、グラディ・テイトはSkye Records、ハービー・ハンコックはWarner Brothers Recordsのクレジットで参加しており、所属レーベルをまたいだ顔ぶれが並ぶ。
収録は4曲のみで、各曲の尺も含めて密度が高い構成。冒頭の「Bridge Over Troubled Water」はサイモン&ガーファンクルの楽曲を取り上げたもので、ゴスペル/ソウル・ジャズ寄りの再構成として紹介されることが多い。表題曲「Gula Matari」は13分超の長尺で、アフリカン・リズム、パーカッション、コーラスが前面に出る。加えて「Walkin'」はマイルス・デイヴィスゆかりの楽曲を素材にしたもの、「Hummin'」はナット・アダレイ作のナンバー。既存曲を並べながら、アレンジと編成でまとまりを作った作品になっている。
時代の文脈
1970年のクインシー・ジョーンズは、ジャズの枠内だけでなく、ソウルやファンクの要素を取り込んだ作品をA&Mで続けていた時期にある。前年の『Walking in Space』に続く本作は、その流れの中で出たアルバムとして位置づけられる。録音地がヴァン・ゲルダー・スタジオである点も、当時のジャズ作品の制作環境をそのまま伝えている。A&M Recordsは1960年代後半から急速に規模を拡大していたレーベルで、本作はそうしたレーベルのカタログの中でも存在感のある一枚になった。
評価面では、米ビルボードのジャズ・チャートで2位、R&Bチャートで16位を記録し、第13回グラミー賞で最優秀インストゥルメンタル作曲賞を含む複数部門にノミネートされた。数字としてはこの程度だが、1970年の時点でジャズ、ソウル、ファンクの接点にある作品として受け止められていたことは、こうした実績からも確認できる。
作品のポイント
『Gula Matari』の中心は、個々の名演というより、編成と曲順を含めたアルバム全体のまとまりにある。サイモン&ガーファンクルの楽曲、ハードバップ由来の「Walkin'」、ソウル・ジャズ色の強い「Hummin'」を並べつつ、表題曲で長い展開を置く構成。クインシー・ジョーンズがこの時期に進めていた、既存曲を素材にしながら大編成で再構築する仕事の一例として見ると、内容がつかみやすい作品だ。
トラックリスト
- A1 Bridge Over Troubled Water 6:10
- A2 Gula Matari 13:05
- B1 Walkin' 7:55
- B2 Hummin' 8:05
動画プレイリスト
このアーティストについて
Quincy Jonesは、アメリカのレコード・プロデューサー、指揮者、編曲家、映画音楽作曲家、テレビ・プロデューサー、そしてトランペッターだ。1933年3...
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