Booker T. & The MG's - Hip Hug-Her (1967)
Booker T. & The MG's『Hip Hug-Her』
Booker T. & The MG'sの『Hip Hug-Her』は、1967年6月に出た通算5作目のスタジオ・アルバム。スタックス・レコーディング・スタジオで録音され、ジム・スチュワートがプロデュースを担当した最後のMGズ作品でもある。次作『Doin' Our Thing』以降は、バンド自身のセルフ・プロデュースへ移っていく。
制作背景と曲の成り立ち
演奏は、ブッカー・T・ジョーンズ(ハモンドB-3オルガン、ピアノ)、スティーヴ・クロッパー(ギター)、ドナルド・“ダック”・ダン(ベース)、アル・ジャクソン・ジュニア(ドラム)の黄金期カルテット。1965年に加入したダック・ダンのベースが、バンドのグルーヴをより強くした時期の作品としても位置づけられている。
タイトル曲「Hip Hug-Her」の題名には、当時流行していたローライズのフレアジーンズ「ヒップハガー」に由来するエピソードがある。ブッカー・T・ジョーンズは当初「Pedal Pushers」を提案したが、スティーヴ・クロッパーが退け、「Hip Huggersは?」という案をもとに、最終的に「Hip Hug-Her」という綴りで決まったという。B面冒頭の「Slim Jenkins' Place」は、オークランドの実在クラブ「Slim Jenkins' Place」にちなみ、当初は「Slim Jenkins' Joint」という題名だった。
収録曲には、テンプテーションズの「Get Ready」、ヤング・ラスカルズの「Groovin'」、ボビー・ヘブの「Sunny」、映画『世界残酷物語』のテーマ曲「More」などのカバーが並ぶ。自作曲では「Carnaby St.」のように、ロンドンのストリート名を題した曲も入っている。
時代の文脈
1967年はサイケデリック・ロックが台頭し、「サマー・オブ・ラブ」が進んだ年。MGズは同年のモントレー・ポップ・フェスティバルでオーティス・レディングとともに出演し、ロック世代の白人オーディエンスを前に演奏していた。黒人と白人の混成バンドで、しかもスタックスのハウス・バンドでもあった彼らは、オーティス・レディング、サム&デイヴ、ウィルソン・ピケットらの録音を支えながら、自分たちの名義でも活動を続けていた。
このアルバムは、そうした立ち位置の中で出た作品として、MGズのキャリアの中盤を示す一枚。シングル「Hip Hug-Her」はビルボードR&Bシングル・チャートで6位、Hot 100で37位を記録し、「Groovin'」もR&Bチャート10位、Hot 100で21位まで上がった。アルバム自体もR&Bアルバム・チャート8位、Billboard 200で35位を記録している。
後世への影響
タイトル曲「Hip Hug-Her」は、Ol' Dirty Bastardの「Hippa To Da Hoppa」やDas EFXの「Looseys」など、ヒップホップやブレイクビーツのサンプリング・ソースとして使われてきた。アル・ジャクソンのスネア、スティーヴ・クロッパーのカッティング、ダック・ダンのベース、ブッカー・Tのオルガンがつくる演奏は、のちのレア・グルーヴの文脈でも参照されている。
1967年のスタックス作品として、ハウス・バンドの機能と、自分たち名義のアルバムの両方を担った時期の記録。『Hip Hug-Her』は、その転換点に置かれた作品として残っている。
トラックリスト
- A1 Hip Hug-Her 2:22
- A2 Soul Sanction 2:30
- A3 Get Ready 2:45
- A4 More 2:55
- A5 Double Or Nothing 2:51
- A6 Carnaby St. 2:14
- B1 Slim Jenkins' Place 2:25
- B2 Pigmy 3:55
- B3 Groovin' 2:40
- B4 Booker's Notion 2:25
- B5 Sunny 3:24
動画プレイリスト
このアーティストについて
Booker T & The MG'sは、1962年にテネシー州メンフィスで結成されたアメリカのインストゥルメンタル・リズム&ブルース/ソウル・コンボだ。Stax...
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