Fela Ransome-Kuti And The Africa '70 - Open & Close (1971)
Fela Kuti 1971

Fela Ransome-Kuti And The Africa '70 - Open & Close (1971)

Jazz Folk, World, & Country Funk / Soul Afrobeat

Fela Ransome-Kuti And The Africa '70『Open & Close』について

1971年にナイジェリアのHis Master’s Voiceから出たFela Ransome-Kuti And The Africa '70『Open & Close』は、アフロビートの初期を代表する重要作のひとつである。Felaが1969年のアメリカ滞在後にナイジェリアへ戻り、クラブAfro Spotを拠点にAfrica '70を動かし始めた時期の録音で、ジャズ、ファンク、ナイジェリアのリズムを長尺の反復構造にまとめ上げた、まさにその過程が記録されている。

この時期のFelaは、まだ名義がFela Ransome-Kutiで、のちにFela Anikulapo Kutiへ改名する前の表記になっている。政治的メッセージを前面に押し出す後年の作品群に比べると、ここではまずリズムの構築とバンドの推進力が先に立つ。とはいえ、単なる演奏中心のアルバムではなく、のちのFela像につながる骨格がすでに見えている作品でもある。

録音時期のFelaとAfrica '70

Felaは1963年にKoola Lobitosを結成し、アメリカ滞在を経て帰国後、Africa '70へとバンドを再編した。ここで重要なのがTony Allenの存在で、アフロビートのドラム・パターンを形作った中心人物として本作でも大きな役割を担っている。ホーン隊、ギター、ベース、複数のパーカッションが層を作り、その上にFelaのサックス、エレクトリック・ピアノ、ヴォーカルが乗る構図。録音は1971年にラゴスで行われ、プロデュースもFela自身が手がけている。

同じ1971年にはGinger Bakerとの共演盤も出ており、Felaが国際的なロック/ジャズ周辺とも接点を持ちながら、自分のバンドの語法を固めていた時期と重なる。アフロビートの成立期を追ううえで、かなりわかりやすい位置にある一枚だ。

収録曲と聴きどころ

アルバムは全4曲、約36分の構成。中心はA面冒頭の「Open And Close」で、約15分に及ぶ長尺曲である。タイトル通り、開け閉めの動作を思わせるシンプルな掛け声やフレーズを出発点にしながら、そこから演奏がじわじわと拡張していく。ホーンの鋭い入り方、パーカッションの細かい揺れ、ベースの反復、そしてTony Allenのドラムが作る前進感が、曲を長い時間引っ張っていく。

「Swegbe And Pako」はPart 1とPart 2に分かれた構成で、こちらもリズムの反復と展開が要。終盤の「Gbagada Gbogodo」まで含めて、歌ものというより、バンド全体の運動がそのまま作品になっている印象が強い。各曲のメロディは複雑に飾り立てられず、反復の中で少しずつ形を変える。Felaの初期作品に通じる、骨格のはっきりした作りである。

同時代の文脈

1970年代初頭のアフリカ音楽を見渡すと、ハイライフ、アフロ・キューバン、ソウル、ジャズの要素が各地で混ざり合っていた。その中でFelaは、ナイジェリアの都市的な感覚とアメリカ由来のファンク、さらに長尺の即興的な発展を結びつけ、アフロビートという語法を固めていく。本作は、その完成形にかなり近い地点にある。

後年のFela作品に比べると、ここでは政治的スローガンよりも、演奏そのものの圧力が前に出る。ただ、グルーヴを保ったまま曲を崩し、また元の形へ戻していくような進め方は、この時点ですでに明確である。Tony Allenのドラム、ホーンの切り込み、ベースの粘りが一体になったときの推進力は、のちのアフロビートが多くのミュージシャンに参照された理由をそのまま示している。

オリジナル盤としての位置づけ

このナイジェリア盤は、His Master’s Voice HNLX 5090のオリジナル。Felaの初期アフロビートを、当時の現地レーベルからそのまま伝える一枚である。EMIグループ傘下のHis Master’s Voiceから出たナイジェリア盤という点も、アフリカのローカルな制作環境と国際的な流通網が交差していた時代背景を示している。ジャケットや盤の細部以上に、音そのものが1971年のラゴスの空気を持ち込んでいる作品だ。

『Open & Close』は、Fela Kutiのキャリアの中でも、アフロビートが「型」になる直前の熱を強く残した記録である。曲の長さ、反復の作法、ホーンとリズム隊のせめぎ合い、そのどれもが後のFela像につながる入口になっている。

トラックリスト

  1. A1 Open And Close
  2. A2 Suegbe And Pako (Part 1)
  3. B1 Suegbe And Pako (Part 2)
  4. B2 Gbagada Gbogodo

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Fela Kuti

Fela Kuti

Fela Kutiは、1938年10月15日にナイジェリアのアベオクタで生まれた音楽家だ。ジャズ、ファンク、ソウルを土台にしながら、アフロビートとジャズ・フ...

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