Idris Muhammad - Boogie To The Top (1978)
Idris Muhammad『Boogie To The Top』について
ニューオーリンズ出身のドラマー、Idris Muhammadが1978年にKuduから出した『Boogie To The Top』は、前年の『Turn This Mutha Out』に続く一枚で、David Matthewsとの組み合わせで制作された作品。KuduのカタログではKU 38にあたり、1970年代の同レーベル終盤を飾るタイトルのひとつとして位置づけられる。
制作背景・参加ミュージシャン
本作の録音でまず目を引くのは、CTI/Kudu作品の定番だったルディ・ヴァン・ゲルダーのスタジオを離れ、ニューヨークのElectric Lady Studiosで録音されている点。参加メンバーには、Will Lee(ベース)、Hiram Bullock(ギター)、Cliff Carter(キーボード)、Ronnie Cuber(バリトン・サックス)、Jeremy Steig(フルート)、Nicky Marrero(パーカッション)、David Friedman(パーカッション)、Ray Simpson(ヴォーカル)らが名を連ねる。ニューヨークのスタジオ/フュージョン・シーンで活動していたプレイヤーが集まった編成で、David Matthewsのアレンジとともに、曲ごとの役割分担がはっきりした作りになっている。
収録情報では、A面1曲目「Boogie To The Top」のラベル上に演奏時間の表記がない点も確認できる。プロモ盤では両面のレーベルに「STEREO」の下へ「RADIO STATION COPY」と入っており、白レーベル仕様の別プロモ盤も存在する。
時代の文脈
1970年代後半はディスコが広く浸透した時期で、Kuduもソウル・ジャズやクロスオーバーの路線から、よりダンサブルで洗練されたサウンドへ寄せていた。本作はその流れの中にあり、ジャズ・ドラマーとしてのIdris Muhammadが、ブギーやディスコの要素を前面に出した作品として受け取られている。レーベル自体は1979年ごろに活動を止めるため、1978年発表の『Boogie To The Top』はKudu黄金期の終盤に置かれるタイトルでもある。
同作の前作『Turn This Mutha Out』には「Could Heaven Ever Be Like This」が収録されており、そちらに続く流れで本作もDavid Matthewsとの制作体制を保っている。Kuduが目指した、R&B寄りのジャズやブルース志向のジャズを打ち出す方針の中で、Idris Muhammadの作品はその一端を担っていた。
サウンドと聴きどころ
タイトル曲「Boogie To The Top」は、軽快な4つ打ちのキックと精緻なハイハットワーク、躍動するパーカッションと華麗なストリングスが一体となった極上のダンス・トラック。一方で「Bread」では、Idris Muhammadの本領であるシンコペーションを効かせたニューオーリンズ譲りのタイトなファンク・ビートとホーン・セクションの絡みが抜群のグルーヴを生んでいる。7分半に及ぶ「One With A Star」では、Jeremy Steigのフルートやハープが彩るスペーシーでメロウな世界が広がり、単なるディスコ作にとどまらない洗練されたジャズ・フュージョンの深みが味わえる。
後世への影響
タイトル曲「Boogie To The Top」は、ディスコ・ブギー/ガラージ・クラシックとしてDJやダンスフロアで長く愛され続けている。また、「Bread」や「One With A Star」は、1990年代以降のアシッド・ジャズやレアグルーヴの文脈においてクラブDJやディガーによる再評価の対象となった。Idris Muhammadの卓越したビート感覚とアーバンなアレンジが結実した一枚として、現在もクラブ・ミュージック・リスナーに高く評価されている。
トラックリスト
- A1 Boogie To The Top
- A2 Bread 5:33
- B1 One With A Star 7:54
- B2 Stick It In Your Face 5:23
- B3 S-E-X 5:00
動画プレイリスト
このアーティストについて
Idris Muhammad(アイドリス・ムハマッド)は、1939年11月13日にアメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズで生まれたドラマーだ。2014年7月29日にフロ...
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