Idris Muhammad - House Of The Rising Sun (1976)
Idris Muhammad 1976

Idris Muhammad - House Of The Rising Sun (1976)

Jazz Funk / Soul Fusion Jazz-Funk

Idris Muhammad『House Of The Rising Sun』

ニューオーリンズ出身のドラマー、アイドリス・ムハマッドが1976年にKuduから発表したリーダー作。表題は「House Of The Rising Sun」だが、内容はその1曲に収まらず、トラディショナル、ブラジル曲、ソウル・ナンバー、ショパン由来のテーマ、ニューオーリンズ・ファンクまでを並べた構成になっている。録音は1975年6月、9月、10月にニュージャージー州イングルウッド・クリフスのヴァン・ゲルダー・スタジオで行われ、プロデュースはクリード・テイラー。アレンジと指揮は「Sudan」を除いてデヴィッド・マシューズが担い、「Sudan」はムハマッドとトランペットのトム・ハレルの共作で、ハレル自身が編曲した。

制作背景・エピソード

収録曲は、アニマルズのヒットで知られる表題曲のほか、アリ・バホーゾの「Baia」、アシュフォード&シンプソン作の「Hard To Face The Music」、ショパンの前奏曲第4番をもとにした「Theme For New York City」、ミーターズの「Hey Pocky A-Way」など、オリジナル曲と既存曲を混ぜた選曲になっている。

参加メンバーも豪華で、ベースにウィル・リー、ウィルバー・バスコム、エリック・ゲイル、ギターにジョー・ベック、ピアノにレオン・ペンダーヴィス、ドン・グロルニック、ローランド・ハナ、アルト・サックスにデヴィッド・サンボーン、バリトン・サックスにロニー・キューバー、トロンボーンにフレッド・ウェズリー、トランペットにトム・ハレル、ヴォーカルにパティ・オースティンという布陣。表題曲ではサンボーンがフィーチャーされている。

時代の文脈

ムハマッドは本名レオ・モリスとして生まれ、少年時代からニューオーリンズで演奏を始めたあと、サム・クックやカーティス・メイフィールドとの仕事を経て1960年代半ばにニューヨークへ移った。イスラム教への改宗に伴って改名し、ルー・ドナルドソンのブルーノート作品や、ミュージカル『ヘアー』のオーケストラでも演奏。プレスティッジ、ブルーノート、CTIで150以上のセッションに参加している。

Kuduはクリード・テイラーが1971年にCTIのサブレーベルとして立ち上げた、ソウル・ジャズ寄りのレーベル。本作は、ムハマッドが1974年にKuduで出した『Power of Soul』に続く作品。MusicWeb Internationalの評では、ソウル的なリズムやホーン・リフを取り入れ、ジャズがポップに近づいていった時期のクリード・テイラー作品のひとつとされている。続く『Turn This Mutha Out』では、さらにR&Bやディスコ市場を意識した作りになっていく。

後世への影響

ムハマッドのKudu時代の作品は、のちにヒップホップで盛んにサンプリングされたとされる。TIDALの紹介文では、最もサンプリングされたドラマーのひとりとして扱われている。代表例としては、『Power of Soul』収録の「Loran's Dance」をビースティ・ボーイズの『Paul's Boutique』が使用したケースが挙げられている。

本作そのものについては、AllMusicのThom Jurekが「伝説的なソウル・ジャズ・アルバム」と呼び、ムハマッドを最も偉大なソウル・ジャズ・ドラマーと評している。表題曲ではパティ・オースティンが声を限界まで張り上げていると書き、「Hard To Face The Music」をファンキーなグルーヴの曲として挙げ、「Theme For New York City」はショパン由来のマイナー・キーのファンク、「Sudan」は3拍子のドラムと東洋的なフックが特徴とした。「Hey Pocky A-Way」ではエリック・ゲイルのベースとヒュー・マクラッケンのスライド・ギターに触れている。ポップスに学ぶジャズ・ミュージシャンを拒むジャズの純粋主義者を批判し、最後は「Brilliant」の一語で締めくくっている。MusicWeb InternationalのDick Staffordは、スタックスを思わせるバック・コーラスや、サンボーンとギタリストたちのソロを評価し、聴くにも踊るにも良い作品と書いている。AllMusicの評価は5点満点中4.5点。

トラックリスト

  1. A1 House Of The Rising Sun 4:39
  2. A2 Baia 4:38
  3. A3 Hard To Face The Music 4:50
  4. A4 Theme For New York City 3:30
  5. B1 Sudan 11:00
  6. B2 Hey Pocky A-Way 6:00

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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