Pleasure - Accept No Substitutes (1976)
Pleasure 1976

Pleasure - Accept No Substitutes (1976)

Funk / Soul Funk Soul

Pleasure『Accept No Substitutes』レビュー

1976年にFantasyから出たPleasureの2作目『Accept No Substitutes』は、ポートランド出身のバンドが持っていたジャズの演奏力と、当時のファンク/ソウルの身体感覚がそのまま結びついたアルバムだ。メンバーは同郷で、10代の頃から一緒に演奏してきた仲間たち。そこにクルセイダーズのトロンボーン奏者であり、作編曲家としても知られるウェイン・ヘンダーソンが関わり、Fantasyの制作環境の中で音像が整えられている。

この作品の位置づけははっきりしていて、デビュー後のグループが、より広いR&Bの文脈へ踏み込んだ段階の記録になっている。ジャズ、ロック、ソウル、ファンク、R&Bを混ぜたバンドだが、このアルバムでは単なる器用さよりも、グルーヴの持続が前面に出る。実際に聴くと、ホーンのリフ、ベース、ドラム、キーボードが細かく噛み合い、曲が進むほどに演奏の手数が見えてくる構成だ。

制作背景と録音環境

クレジットを見ると、制作はAt-Home Productions名義で、録音はバークレーのFantasy StudiosとソーサリートのRecord Plant、ミックスはロサンゼルスのThe Total Experience、マスタリングはバーバンクのKendun Recordersで行われている。Fantasyの制作ラインを使いながら、複数のスタジオを渡って音を仕上げた形だ。レーベル側も、当時はジャズやソウルの重要なカタログを持つ独立系として存在感があり、この作品もその文脈の中に置かれている。

プレジャーは、地元ポートランドでのライブ活動から注目を集め、ウェイン・ヘンダーソンの目に留まってFantasyへつながった。ヘンダーソンはプロデューサー兼メンターとしてバンドを支え、このアルバムでもその役割がはっきりしている。バンドの持ち味を崩さず、曲のフックとアンサンブルの推進力を引き出す仕事ぶりだ。

収録曲のポイント

冒頭の「Let’s Dance」は、いきなりこのアルバムの性格を示す一曲。シンセベースのうねりと、反復するホーン・フレーズが曲を引っ張る。ファンクの骨格は明快だが、演奏の中にはジャズ寄りの組み立てが残っていて、単純なダンス・チューンで終わらない。ここでの鍵は、リズムの粘りとホーンの配置にある。

代表曲として語られることの多い「Ghettos Of The Mind」は、ゆるく跳ねるビートに、耳に残るホーン・リフとボーカル・フックが乗る。シングルとしても小ヒットを記録し、ライブでも定番になった曲で、アルバムの中でも特に輪郭がはっきりしている。メロディとリズムの両方に引っかかりがあり、当時のソウル・チャートで評価されたのも納得しやすい。

そのほか、ラテン・ジャズ風の「2 For 1」、マーロン・マクレインのギターが前に出る「Theme For The Moonchild」、インストの「Jammin’ With Pleasure」など、演奏面の見せ場も多い。曲ごとに表情は違うが、どれもバンド全体のまとまりが崩れない。派手なソロで押すより、アンサンブルの中で細部を積み重ねる作り。

同時代とのつながり

この時期のファンク/ソウルには、ジャズの語法を持ち込むバンドが多かった。The Crusaders周辺の流れや、Side Effectのようなグループと並べて聴くと、Pleasureの特徴はリズムの軽さとホーンの使い方にある。過度に硬質でもなく、かといって甘さに寄りすぎない。ポートランド出身という背景もあってか、地域色よりもバンド内の混成感が前に出る。

このアルバムはBillboardのソウル・アルバム・チャートで32位、ポップ・アルバム・チャートで162位を記録し、翌年の『Joyous』へつながる流れを作った。キャリア全体で見ると、Pleasureが70年代後半に残した足跡の中核にある作品で、後年の再評価でも外せない一枚として扱われている。なお、この作品は1976年のFantasyオリジナル盤で、当時のレーベルの空気とバンドの初期完成形がそのまま刻まれている。

まとめ

『Accept No Substitutes』は、Pleasureの演奏力とウェイン・ヘンダーソンの手腕が噛み合った、70年代ファンク/ソウルの実直な記録だ。ホーン、ベース、ギター、キーボードがそれぞれ役割を持ちながら、曲全体は踊れるテンポを保つ。ヒット曲「Ghettos Of The Mind」を軸にしつつ、アルバム全体でバンドの輪郭を見せる作りが印象に残る作品である。

トラックリスト

  1. A1 Let's Dance 5:01
  2. A2 I'm Mad 3:10
  3. A3 Pleasure For Your Pleasure 3:47
  4. A4 We Have So Much 3:29
  5. A5 Jammin' With Pleasure 2:26
  6. B1 Ghettos Of The Mind 5:05
  7. B2 The Love Of My Life 4:05
  8. B3 Theme For The Moonchild 5:25
  9. B4 2 For 1 4:22

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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