Mandrill - Just Outside Of Town (1973)
Mandrill 1973

Mandrill - Just Outside Of Town (1973)

Jazz Funk / Soul Funk Soul Jazz-Funk

Mandrill『Just Outside Of Town』(1973)

Mandrillの『Just Outside Of Town』は、1973年にUSのPolydorから出た4作目のスタジオ・アルバム。ブルックリンで結成されたこのバンドは、Wilson兄弟を中心に、ラテン、ジャズ、ソウル、ロック、アフロ・カリビアンの要素を混ぜたファンクで知られている。本作は、前作『Composite Truth』で存在感を強めた流れの中に置かれる作品で、グループの持つ多国籍感と演奏力がそのまま前に出た一枚になっている。

Mandrillの核にあるのは、Carlos Wilson、Lou Wilson、Ric Wilsonの3人兄弟だ。そこにClaude “Coffee” Cave、Neftali Santiago、Frederick “Fudgie Kae” Solomon、Omar Mesaらが加わり、管楽器、鍵盤、ギター、パーカッションまでを自在に組み替えながら進む。単なるファンク・バンドというより、アンサンブル全体で曲の色を変えていくタイプのグループで、その持ち味がこのアルバムでもはっきり出ている。

アルバムの位置づけ

『Just Outside Of Town』は、Mandrillがポリドールで制作した初期の代表作のひとつとして扱われることが多い。1973年は、同年の『Composite Truth』に収録された「Fencewalk」がR&Bチャートでヒットしており、バンドの勢いが強かった時期。本作もその流れの中にあり、ソウル・アルバム・チャートで上位に入り、Billboard 200でも82位を記録している。グループの名前が広く流通していく過程にある一枚、という位置づけが見えてくる。

録音はElectric Lady Studios、The Hit Factory、Sound Ideas、Sound Cityといった複数のスタジオで行われている。ニューヨーク中心の制作ながら、ロサンゼルスのSound Cityも使われていて、音の作りに幅がある。プロデュースはMandrill自身とAlfred V. Brown。バンド主導の色合いが強い点も、この時期の作品らしいところだ。

収録曲と聴きどころ

冒頭の「Mango Meat」は、このアルバムを代表する曲としてよく挙げられる。ボサノヴァ風のホーンで始まり、そこから乾いたファンクへ切り替わる構成で、Mandrillの持つラテン感覚とタイトなリズム感がわかりやすい。シングルとしてもR&Bチャート40位を記録した。

もう一つのシングル「Love Song」は、タイトル通りのメロディアスな側面を見せる曲で、R&Bチャート65位。ファンク一辺倒ではなく、バラード寄りの感触やソウルの作法もきちんと持っていることがわかる。アルバム全体では、ラテン・ファンク、ポップ、ソウル・バラード、アフロ・カリビアン色の強いファンク、映画音楽のようなジャズ的展開まで、曲ごとの振れ幅が大きい。

実際に聴くと、まずホーン・アレンジの密度が高い。リズム隊が前に出る場面でも、管楽器が単なる装飾に留まらず、曲の推進力そのものになっている。ギターとベースが細かく動く一方で、歌は大仰に煽りすぎず、アンサンブルの中に収まっていく。そうした作りが、後のヒップホップ世代からのサンプリングにもつながったのだと思う。

同時代とのつながり

Mandrillは、同時代のWarやSly & The Family Stone、さらにラテン寄りのファンクやジャズ・ファンクの流れと並べて語られることがある。本作もその文脈に置くと、単に踊れるファンクではなく、編成の多さと曲展開の複雑さが目立つ。ブラックスプロイテーション期のサウンドや、ジャズ・ファンクの実験性とも近い空気を持ちながら、ラテン由来のリズム感がはっきり残っている点が特徴だ。

後年の再評価で重要なのがサンプリングの存在だ。「Mango Meat」はJungle Brothers、「Two Sisters Of Mystery」はPublic Enemy、「Fat City Strut」はThe Avalanchesに使われている。元の録音が持つフレーズの切れ味や、ブレイクの使いやすさが、ヒップホップ以降の耳にも届いていたわけだ。

USオリジナル盤について

このUS盤はPolydor PD 5059で、ラベルには「2391 092」の表記も見られる。ジャケットのシュリンクには「Includes full color brochure of Mandrill」と書かれたハイプ・ステッカーが付いていた仕様がある。今回の盤はランアウトに「(MR)」刻印があるプレス違いで、ラベルの文字組みも他の似た版とは異なり、曲番号が左側に縦並びで配置されている。こうした細部は、1973年当時のUS盤らしい物理的な個体差として面白いところだ。

まとめ

『Just Outside Of Town』は、Mandrillが持っていた多文化的な要素と、70年代前半のファンク/ソウルの熱量がきれいに重なったアルバム。ヒット曲「Mango Meat」を軸にしながらも、全体は単発の名曲集ではなく、バンドの編成力と演奏の組み立てを味わう作りになっている。ラテン・ファンク、ジャズ・ファンク、ソウルの境目を行き来する70年代USバンドの実像が、そのまま刻まれた一枚。

トラックリスト

  1. A1 Mango Meat 4:32
  2. A2 Never Die 3:22
  3. A3 Love Song 5:45
  4. A4 Interlude 0:18
  5. A5 Fat City Strut 3:20
  6. B1 Two Sisters Of Mystery 3:40
  7. B2 Africus Retrospectus 7:46
  8. B3 She Ain't Lookin' Too Tough 4:58
  9. B4 Aspiration Flame 5:05

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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