Nina Simone - Black Gold (1970)
Nina Simone 1970

Nina Simone - Black Gold (1970)

Jazz Funk / Soul Soul-Jazz

Nina Simone『Black Gold』

「ソウルの高僧(High Priestess of Soul)」と称されたニーナ・シモンが1970年にRCA Victorから発表した歴史的ライヴ・アルバム。1969年10月26日、ニューヨークのリンカーン・センター内フィルハーモニック・ホール(現デヴィッド・ゲフィン・ホール)で行われた渾身のステージを余すところなく捉えている。

制作背景・エピソード

プロデュースは当時の夫でマネージャーも務めたアンディ・ストラウド、録音エンジニアはエド・ベグリーが担当した。バックを務めるのは、のちにレアグルーヴの巨匠となる若きウェルドン・アーヴィン(オルガン/音楽監督)、ドン・アライアス(ドラム/パーカッション)、ジュマ・サントス(コンガ)、そして「Black Is The Color Of My True Love’s Hair」でデュエット・ヴォーカルも披露したエミール・ラティマー(ギター)という精鋭たちである。

本作の頂点を飾るのが、不滅のプロテスト・ソング「To Be Young, Gifted And Black(若く、才能豊かで、黒人であること)」の初演ライヴ録音である。1965年に若くして世を去った親友の劇作家ロレイン・ハンズベリーを追悼し、ニーナがウェルドン・アーヴィンに作詞を依頼して完成させた名曲であり、10分を超える熱演のなかで聴衆を巻き込みながら高揚していく瞬間が克明に刻まれている。

時代の文脈

1960年代末、激動の公民権運動やブラック・パワー運動の高まりのなかで、ニーナ・シモンの歌声は黒人の解放と尊厳を象徴する闘争の歌として強烈な支持を集めていた。本作はグラミー賞最優秀女性R&Bヴォーカル・パフォーマンス賞にもノミネートされている。

伝承曲をスピリチュアルに再解釈した「Black Is The Color Of My True Love’s Hair」をはじめ、ミュージカル『ヘアー』からのヒット曲「Ain’t Got No - I Got Life」、英フォーク界の名花サンディ・デニーの楽曲を深い陰影とともに歌い上げた「Who Knows Where The Time Goes」、アフリカン・ポリリズムが躍動する「Westwind」まで、ジャンルを軽やかに飛び越える圧倒的な表現力を見せつけている。

後世への影響

「To Be Young, Gifted And Black」はアレサ・フランクリンやダニー・ハサウェイらによってカヴァーされ、黒人の誇りを讃える永遠のアンセムとして受け継がれた。本作はその決定的な初演の記録として今なお眩い輝きを放っている。

さらに、ウェルドン・アーヴィンやドン・アライアスといったジャズ/ファンク/フュージョンの歴史を塗り替える名手たちの最初期の白熱したプレイを記録したドキュメントとしても、計り知れない音楽的価値を有している。

盤について

1970年にリリースされたUSオリジナル盤(RCA Victor LSP-4248)。当時のRCA独自の「Dynagroove」高音質設計でカッティングされ、フィルハーモニック・ホールの豊かな残響と、ニーナのピアノとヴォーカルの凄まじいダイナミクスが余すところなく盤面に封じ込められている。

トラックリスト

  1. A1 Introduction 2:30
  2. Black Is The Color Of My True Love's Hair 7:30
  3. A3 Ain't Got No - I Got Life 5:30
  4. A4 Westwind 9:40
  5. B1 Who Knows Where The Time Goes 8:08
  6. B2 The Assignment Sequence 6:28
  7. B3 To Be Young, Gifted And Black 10:10

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Nina Simone

Nina Simone

Nina Simoneは、アメリカ出身のシンガー、ソングライター、ピアニスト、作曲家、アレンジャーであり、公民権運動の活動家でもあった人物だ。1933年2月...

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