Nina Simone - It Is Finished (1974)
Nina Simone『It Is Finished』について
1974年にRCAから出たニーナ・シモンのアルバム『It Is Finished』は、RCAでの最後のアルバムとして位置づけられている。収録8曲はすべてカバーで、1973年7月28日にニューヨークのフィルハーモニック・ホールで行われたコンサートのライヴ録音を軸に、1971年のRCAスタジオ・セッション音源を組み合わせ、RCAのニューヨーク・スタジオでリミックスして仕上げられた作品だ。
制作背景と録音の流れ
中心になっているのは、1973年のライヴ録音「The Pusher」「Mr. Bojangles」「I Want A Little Sugar In My Bowl」「Dambala」「Obeah Woman」など。そこに、1971年のRCA Studioで録られた「Com' By H'Yere - Good Lord」「Funkier Than A Mosquito's Tweeter」などが加わっている。最終的な仕上げはRCA's Recording Studios, New York Cityでのリミックス。録音、編集、再構成のプロセスがはっきり残るアルバムでもある。
参加ミュージシャンも明記されている。ニーナ・シモンは vocals、piano、arrangements、producer を担当。ほかに Samuel Waymon が harmony vocals と organ、Avram/Al Schackman が sitar、guitar、bass、Nadi Qamar が thumb piano、Essien Nkrumah が percussion、David Spinozza と Richard Resnicoff が guitar、Gene Perla が bass、Don Alias が drums。さらに Harold Wheeler が conductor、arrangements、producer を務め、Ed Begley が engineering と remixing、Bruce Somerfeld が remixing と executive producer、Nat Shapiro が producer としてクレジットされている。
曲目はすべてカバーで、出典もばらけている。「The Pusher」はステッペンウルフで知られる曲、「Mr. Bojangles」はジェリー・ジェフ・ウォーカー作、「I Want A Little Sugar In My Bowl」はベッシー・スミスにゆかりのある曲。「Funkier Than A Mosquito's Tweeter」はティナ・ターナーの姉アリーン・ブロックがアイク&ティナのために書き、1970年の『Workin' Together』に収められた楽曲だ。「Dambala」と「Obeah Woman」はバハマのミュージシャン Exuma の曲を取り上げている。
当時の位置づけ
1970年ごろのシモンは、人種差別や音楽業界との対立に疲れ、1970年9月にバルバドスへ移っている。夫でマネージャーのアンドリュー・ストラウドとの関係も破綻し、米国に戻った際には税金未払いによる逮捕状の存在を知って再びバルバドスへ逃れたという。『It Is Finished』は、そうした流れの中で、長く関わってきたRCAとアメリカに別れを告げる作品として扱われている。その後、シモンはリベリアなどへ移り住み、次作『Baltimore』まで4年の空白が生まれる。
選曲面では、麻薬の害を歌った「The Pusher」、黒人霊歌「Kumbaya」をもとにした「Com' By H'Yere - Good Lord」、そして「Funkier Than A Mosquito's Tweeter」や Exuma 関連曲が並ぶ。特に Exuma の2曲は、アフロ・カリビアンな要素を持ち込む曲として語られている。
後世への広がり
後年、「Funkier Than A Mosquito's Tweeter」はファンク/ソウル系のダンスフロアで思いがけない人気を得たとされる。ポッドキャスト『Heat Rocks』ではDJのMark "Frosty" McNeillがこのアルバムを取り上げ、Exuma の楽曲がもたらすアフロ・カリビアンな霊性と黒人の文化的アイデンティティの表現について語っている。
批評面では、Far Out誌が本作をシモンの最も喚起力に富み楽しめるライヴ・アルバムの一つとし、カバーばかりでありながら「情熱的で反抗的、時代を超えた才能を示す」と評している。「Funkier Than A Mosquito's Tweeter」は原曲のファンキーなベースに代わってアフロ・ビート的なリズムで再構築されたとされ、「Dambala」はシタールの脈動とシモンのピアノを伴う「静かな東への旅」と表現されている。「Obeah Woman」は、アルバムの中でも特に情熱的なパフォーマンスの一つとして触れられている。
補足
この盤はUS盤の1974年リリースで、カタログ番号は APL1-0241。クレジット上では ©1974、℗1974 RCA Records とされている。
トラックリスト
- A1 The Pusher 5:12
- A2 Com' By H'Yere - Good Lord 2:55
- A3 Funkier Than A Mosquito's Tweeter 5:21
- A4 Mr. Bojangles 5:21
- B1 I Want A Little Sugar In My Bowl 5:54
- B2 Dambala 6:53
- B3 Let It Be Me 3:35
- B4 Obeah Woman 6:17
動画プレイリスト
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The Pusher
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Com' By H'Yere Good Lord (Live at Philharmonic Hall, NYC - July 1973)
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Funkier Than a Mosquito's Tweeter
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Mr. Bojangles (Live at Philharmonic Hall, NYC - July 1973)
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I Want a Little Sugar in My Bowl (Live at Philharmonic Hall, NYC - July 1973)
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Dambala (Live at Philharmonic Hall, NYC - July 1973)
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Let It Be Me
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Obeah Woman (Live at Philharmonic Hall, NYC - July 1973)
このアーティストについて
Nina Simoneは、アメリカ出身のシンガー、ソングライター、ピアニスト、作曲家、アレンジャーであり、公民権運動の活動家でもあった人物だ。1933年2月...
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