Premiata Forneria Marconi - Storia Di Un Minuto (1972)
Premiata Forneria Marconi 1972

Premiata Forneria Marconi - Storia Di Un Minuto (1972)

Rock Prog Rock Art Rock Symphonic Rock

Premiata Forneria Marconi『Storia Di Un Minuto』(1972)

プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ(Premiata Forneria Marconi:PFM)が1972年1月に発表した衝撃のデビュー・アルバム。邦題は『幻想物語(原題訳:一分間の物語)』。モゴール(Mogol)とルーチョ・バッティスティ(Lucio Battisti)が設立した名門ヌメロ・ウーノ(Numero Uno)からリリースされた。本作は、イタリアン・プログレッシヴ・ロック(RPI)の黎明期を鮮烈に切り拓き、英米のプログレ勢に比肩する圧倒的な演奏技術と地中海的情緒を世界に知らしめた不滅の記念碑である。

制作背景とイタリア初のミニモーグ導入

本作のレコーディングは、ほぼスタジオ一発録りに近い緊迫感と熱量のもとで行われた。参加メンバーは、フランツ・ディ・チョッチョ(ドラムス/パーカッション/ヴォーカル)、フランコ・ムッシーダ(アコースティック&エレクトリック・ギター/ヴォーカル)、フラヴィオ・プレーモリ(キーボード/ピアノ/ミニモーグ/メロトロン/ヴォーカル)、マウロ・パガーニ(フルート/ヴァイオリン/ヴォーカル)、ジョルジョ・ピアッツァ(ベース/ヴォーカル)の5人。元々スタジオ・ミュージシャンとして名高かった彼らは、驚異的なアンサンブルと洗練された構築美を本作に注ぎ込んだ。

本作を語る上で欠かせないのが、イタリアのポピュラー音楽史上初めてミニモーグ(Minimoog)・シンセサイザーのソロが導入された名曲「Impressioni Di Settembre(9月の情景)」の誕生秘話だ。1971年にミラノの楽器見本市に展示されていた当時国内にわずか1台の貴重な試作機を、メンバーが「これを我々に貸してくれたら、見本市で10台売ってみせる」と代理店を口説き落としてスタジオに持ち込んだ。モゴールによる詩情豊かな情景描写と、プレーモリが奏でる野太く叙情的なシンセサイザーの旋律が融合し、イタリア国民の記憶に刻まれる歴史的アンセムとなった。

時代の文脈とチャート席巻

1970年代初頭のイタリアでは、キング・クリムゾン、ジェネシス、EL&P、ジェスロ・タルといった英国プログレッシヴ・ロックが熱狂的な支持を集めていた。PFMはそれらのダイナミズムと知的な変拍子を貪欲に吸収しつつ、イタリア人ならではの歌心とクラシック音楽、地中海フォークロアを融合させた独自のシンフォニック・ロックを開花させた。

アルバムは発売と同時に一大センセーションを巻き起こし、当時イタリア国内チャートの首位を独占していたレーベル創設者ルーチョ・バッティスティの作品を退けて堂々の第1位を獲得した。新人ロック・バンドのデビュー作としては破格の成功であり、イタリア国内におけるプログレッシヴ・ロック・ブームの決定打となった。

作品の構成と聴きどころ

全編約34分間、無駄な装飾を一切排した密度の高いドラマが息をつかせぬ緊迫感で展開する。静かなオーケストレーション風の「Introduzione」から、叙情詩と力強いシンセ・ソロが胸を打つ「Impressioni Di Settembre」へとシームレスに突入する。

続く「È Festa」は、エミリア地方の伝統舞踊を思わせるタランテラ調のリズムと変拍子、アグレッシヴなギターとフルートが狂騒を呼ぶ超絶技巧トラックであり、後にピーター・シンフィールドの英詩による「Celebration」として世界中で大ヒットを記録した。さらに、パガーニの哀切なヴァイオリンとフルートが繊細に響く牧歌的な組曲「Dove... Quando...」、ファンタジックな寓話性とヘヴィなプログレ・サウンドが交錯する「La Carrozza Di Hans(ハンスの馬車)」、そして壮大なフィナーレを飾る「Grazie Davvero」まで、奇跡的なクオリティが貫かれている。

オリジナル盤の仕様

1972年1月に発売されたイタリア初回オリジナル盤(Numero Uno / 規格番号:ZSLN 55055)は、見開きゲートフォールド・ジャケット仕様で、裏ジャケットの左下部に「CAMPI GRAFICA FOLIGNO 1/72」の印刷が施されている。さらに初回盤のレーベル面には両面に深い溝(ディープ・グルーヴ)が存在する。その後2/72、2/74など日付が更新された見開きプレスや、1976年以降のシングル・ジャケット再発盤など多数のバリエーションが存在するが、「1/72」印刷のディープ・グルーヴ盤が最も尊ばれるオリジナル初出盤である。

トラックリスト

  1. A1 Introduzione 1:08
  2. A2 Impressioni Di Settembre 5:40
  3. A3 È Festa 4:50
  4. A4 Dove… Quando… (Parte I) 4:06
  5. B1 Dove… Quando… (Parte II) 6:00
  6. B2 La Carrozza Di Hans 6:46
  7. B3 Grazie Davvero 5:50

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
Share
戻る

あわせて聴きたい "Symphonic Rock"

toast