Yes - Fragile (1971)
Yes 1971

Yes - Fragile (1971)

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Yes『Fragile』(1971年・UK盤)レビュー

Yesの『Fragile』は、1971年に登場した4作目のスタジオ・アルバムであり、バンドの転機をそのまま刻み込んだ作品だ。プログレッシブ・ロック、そしてシンフォニックな構成をさらに押し広げつつ、メンバー交代直後の新しい編成を前面に出した内容になっている。UK盤はAtlanticからのリリースで、マット仕上げのゲートフォールド・スリーブにブックレットが付属する仕様。赤とプラム色のAtlanticラベルも、この時期の英国盤らしい存在感がある。

このアルバムの大きなポイントは、キーボーディストがTony KayeからRick Wakemanへ交代して初めて制作されたことだ。Kaye時代のYesもすでに独自性のあるバンドだったが、Wakeman加入後はMellotronやMoogがサウンドの中心に入り、音の広がりと機械的な精密さが一段増している。実際に聴くと、バンド全体の演奏による大きな組曲的楽曲と、各メンバーのソロ曲が交互に置かれる構成がはっきりしていて、アルバム全体に緊張感と遊びの両方がある。ひとつのバンド作品でありながら、個人の輪郭も見える作り。

作品の構成と聴きどころ

収録曲の中心にあるのは、やはり「Roundabout」だ。アコースティックな導入から入り、リズムとベースが組み上がるにつれて曲が大きく立ち上がっていく流れが印象的で、Yesの代表曲として長く扱われてきたのも納得できる。シングルとしてもヒットし、米国ではBillboard Hot 100で13位を記録した。プログレ作品の中でシングルヒットを持つ曲としても存在感が強い。

一方で、『Fragile』は「Roundabout」だけのアルバムではない。各メンバーの短いソロ曲が挟まることで、Chris Squireのベース、Steve Howeのギター、Rick Wakemanの鍵盤、Bill Brufordのドラム、Jon Andersonの声が、それぞれ別の角度から見えてくる。バンド全体の演奏が巨大な構造物だとすると、ソロ曲はその素材を細かく確認するための断片のような役割を持つ。こうした作りは、当時の英国プログレの中でもかなり明確な個性だ。

1971年のYesにおける位置づけ

『Fragile』は、Yesが英国のプログレ・シーンから国際的な注目へ進む段階を示す作品でもある。前作までで築いた複雑な構成力に、Wakemanの導入で色彩と厚みが加わり、ここでバンドの輪郭がはっきりした。商業面でも、全米Billboardで最高4位、UKアルバムチャートで最高7位を記録しており、前作から大きく前進している。全世界で200万枚以上を売り上げたという実績も、このアルバムがYesにとって重要な通過点だったことを示している。

同時代の英国ロックには、Genesis、King Crimson、Emerson, Lake & Palmerといったプログレ勢が並ぶが、Yesはその中でもメロディの流れと高音域のボーカル、そして鍵盤の装飾性が際立っている。本作ではその傾向がさらに整理され、複雑さだけでなく、曲そのものの推進力が前に出ている。

アートワークと物理仕様

ジャケットの重要性も見逃せない。『Fragile』からRoger Deanがアートワークを担当し、ここから長い協業が始まる。崩れかけた盆栽のような世界観は、アルバムタイトルのニュアンスを視覚化したものとして知られている。音だけでなく、ジャケットを含めて作品全体がひとつの世界になっている点も、Yesらしさの核にある。

UKオリジナル盤では、スリーブ内側と背表紙に1つ目のカタログ番号、ラベルに2つ目のカタログ番号が記載されている。Atlantic Deluxeの表記、1971年のクレジット、Polydor Records Limitedのライセンス表記など、英国盤らしい細部もある。録音は1971年9月、ロンドンのAdvision Studios。Runoutはスタンピングで、当時のプレスの雰囲気がそのまま残る。

細部に見えるこの盤の特徴

このUK初出盤のラベルには、いくつか独自の表記が見られる。A2曲の著作権表記にArnakata/Kinney Musicが使われていること、A2の曲名が「Symphony」で改行されること、B5の曲名と作家クレジットが同一行に並ぶこと、B面の出版社表記が1行でまとめられていること、B面のみ「Ronder Music」となっていることなど、実物を追う際の手がかりになる部分だ。

『Fragile』は、Yesが単なる技巧派集団ではなく、構成、音色、視覚表現まで含めて総合的に作品を作るバンドだと示したアルバムだ。1971年という年の空気、英国プログレの発展、そしてRick Wakeman加入後の新しい推進力が、この1枚にきれいに収まっている。

トラックリスト

  1. A1 Roundabout
  2. A2 Cans And Brahms (Extracts From Brahms' 4th Symphony In E Minor, Third Movement)
  3. A3 We Have Heaven
  4. A4 South Side Of The Sky
  5. B1 Five Per Cent For Nothing
  6. B2 Long Distance Runaround
  7. B3 The Fish (Schindleria Praematurus)
  8. B4 Mood For A Day
  9. B5 Heart Of The Sunrise

動画プレイリスト

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