George Duke - I Love The Blues, She Heard My Cry (1975)
George Duke『I Love The Blues, She Heard My Cry』(1975)
ジョージ・デュークが1975年にドイツの名門MPS Recordsから発表したリーダー作。通算6作目のアルバムであり、ハリウッドのパラマウント・レコーディング・スタジオで制作された。MPS期におけるデュークの実験的精神と音楽的多様性が最高潮に達した金字塔的傑作として高く評価されている。
制作背景・参加ミュージシャン
当時、フランク・ザッパ率いるマザーズ・オブ・インヴェンションの中心メンバーとして世界中をツアーしていたデュークが、自身の盟友ミュージシャンたちを大挙招集して制作した。ドラムスにはデュークの終生の音楽的相棒となるレオン・“ンドゥグ”・チャンクラー、ベースにトム・ファウラーやバイロン・ミラー、トロンボーンにブルース・ファウラー、マリンバ/パーカッションにルース・アンダーウッド、ボーカルにジャネット・ファーガソン・ホフら、強力なザッパ・ファミリー人脈が集結している。
ギタリスト陣も破格の顔ぶれで、痛快なオープニング・ファンク「Chariot」やハードロックを豪快にパロディ化した「Rokkinrowl, I Don't Know」では若きリー・リトナーが唸るようなファズ・ギターを弾き倒し、叙情的な「That's What She Said」にはダリル・スチューマーが参加。さらにタイトル曲「I Love The Blues, She Heard My Cry」にはブルース/ファンクの巨人ジョニー・“ギター”・ワトソンがゲスト参加し、デュークの泥臭いピアノとともにディープなブルース・ギターとデュエット・ボーカルを熱演している。また、フローラ・プリムとアイアート・モレイラ夫妻も加わり、「Look Into Her Eyes」などで浮遊感あふれるブラジリアン・フュージョンの彩りを添えている。
アルバムは制作直前に他界した故ジュリアン・“キャノンボール”・アダレイに捧げられており、ジャケット写真にはオークランド美術館のドロテア・ラング・コレクションによる印象的なモノクロ写真が採用されている。
時代の文脈
1975年は、ジャズがファンクやディスコ、ロックを吸収してジャズ・ファンク/クロスオーバーへと大きく進化を遂げていた時代である。『Faces in Reflection』や『Feel』といったMPSでの名作群を経て、デュークはシンセサイザーの表現力を極限まで高めていた。本作は、ザッパ譲りの前衛的・室内楽的アンサンブル(「Giant Child Within Us - Ego」)から、ブルースのルーツ、そして後のエピック移籍後の大衆的ファンク路線(『Reach for It』など)へとつながる洗練されたグルーヴまでが同居した、70年代フュージョンの最高到達点のひとつである。商業的にもビルボードのジャズ・アルバム・チャートでトップ40入りを果たした。
後世への影響
収録曲「Chariot」はヒップホップ世代によって再発見され、マッドリブ(Madlib)などの先鋭的プロデューサーにサンプリングされた。デュークが本作で縦横無尽に操るARP OdysseyやMinimoogのうねるシンセベース/ソロ、フェンダー・ローズの甘美なコードワーク、そしてンドゥグ・チャンクラーのタイトなドラミングが生み出すコンビネーションは、後年のアシッド・ジャズやレア・グルーヴ、さらには現代のネオ・ソウルに至るまで絶大な影響を与え続けている。
トラックリスト
- A1 Chariot 2:58
- A2 Look Into Her Eyes 3:24
- A3 Sister Serene 4:30
- A4 That's What She Said 4:29
- A5 Mashavu 1:48
- A6 Rokkinrowl, I Don't Know 3:25
- B1 Prepare Yourself 5:26
- B2 Giant Child Within Us - Ego 6:37
- B3 Someday 2:40
- B4 I Love The Blues, She Heard My Cry 5:26
動画プレイリスト
このアーティストについて
George Duke(1946年〜2013年)は、アメリカ・カリフォルニア州サンラファエル出身のキーボード奏者、作曲家、プロデューサーだ。ジャズ、フュージョ...
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