George Duke - Master Of The Game (1979)
George Duke『Master Of The Game』(1979)
フランク・ザッパやキャノンボール・アダレイとの共演をはじめ、ジャズ・フュージョンからブラック・コンテンポラリーまで八面六臂の活躍を見せた鍵盤の魔術師ジョージ・デューク(George Duke)が、1979年にEpicから発表した傑作アルバム。『Reach For It』(1977年)や『Follow The Rainbow』(1979年)に続く黄金期の頂点に位置する本作は、ハリウッドの名門ウェストレイク・オーディオ(Westlake Audio)で録音され、名匠アレン・ゼンツ(Allen Zentz)がマスタリングを手掛けた。ジャズの高度な音楽理論と洗練されたシンセ・ファンク、そして極上のメロウ・ネスが完璧な融合を果たした名盤である。
制作背景と西海岸の精鋭たち
本作には当時のウェストコースト最高峰のセッション・ミュージシャンたちが集結した。ジェリー・ヘイ(Jerry Hey)率いるキレ味鋭いホーン・セクション、リッキー・ローソン(Ricky Lawson:ドラムス)、バイロン・ミラー(Byron Miller:ベース)、ローランド・バウティスタ(Roland Bautista:ギター)、そしてザッパ人脈からの盟友ナポレオン・マーフィー・ブロック(Napoleon Murphy Brock:ヴォーカル)らが参加している。さらにパーカッションには「Sheila Escovedo」名義で後の世界的スター、シーラ・E(Sheila E.)が参加し、楽曲の共作も手掛けている。
本作の大きなハイライトが、実力派女性シンガーのリン・デイヴィス(Lynn Davis)をリード・ヴォーカルに抜擢した「I Want You For Myself」である。しなやかで力強いヴォーカルと洗練されたディスコ・ブギーのグルーヴが見事に噛み合い、ローラー・ディスコやR&Bラジオでヘヴィ・プレイされる不朽のフロア・アンセムとなった。
時代の文脈:ディスコとジャズ・フュージョンの幸福な交錯
1970年代末はディスコ・ブームが世界的な沸点に達する一方で、ウェストコーストAORやアーバン・コンテンポラリーが台頭した時代である。ジョージ・デュークは自身の卓越したインプロヴィゼーション能力と、ミニモーグ(Minimoog)、ARP、フェンダー・ローズといったヴィンテージ・キーボードの色彩豊かなコントロールを駆使し、単なるダンス・ミュージックにとどまらない知的でリッチなサウンド・スケープを提示した。
米ビルボードのR&Bアルバム・チャートおよびジャズ・チャートの上位を席巻し、ジャズ・ミュージシャンがポップ/ダンス・シーンの最前線で成功を収めた代表例として熱い支持を獲得した。
作品の構成と聴きどころ
アルバムは、疾走するホーンとファンキーなギター・カッティングが爽快な「Look What You Find」で幕を開ける。続くメロウなミディアム「Every Little Step I Take」、シーラ・Eとの共作によるリズミカルなフュージョン・トラック「Games」、そしてキラー・チューン「I Want You For Myself」へと流れるA面はまさに圧巻である。
B面の冒頭を飾る「I Love You More」は、優美なローズ・ピアノのコード進行とデュークの甘美なヴォーカルが溶け合う至高のメロウ・ソウルだ。そしてアルバムを締めくくる9分超の長尺ファンク組曲「Part 1 - The Alien Challenges The Stick / Part 2 - The Alien Succumbs To The Macho Intergalactic Funkativity Of The Funkblasters」では、P-ファンクやザッパ譲りの奇想天外なユーモアと宇宙的スペース・ファンクが爆発し、デュークの底知れぬ才気を証明している。
後世への影響とサンプリング・レガシー
本作の歴史的価値を決定づけたのが、フランスのエレクトロニック・デュオ、ダフト・パンク(Daft Punk)による再評価である。彼らは名盤『Discovery』(2001年)のハイライト曲「Digital Love」において、「I Love You More」の導入部におけるローズ・ピアノの切ないコード進行とフレーズをメイン・ループとして大胆にサンプリングした。これにより、1979年のデュークのメロウ・グルーヴは21世紀のクラブ・ミュージック世代へと受け継がれ、今日におけるフレンチ・ハウスやモダン・ブギーの源流として神格化されるに至った。
トラックリスト
- A1 Look What You Find 4:43
- A2 Every Little Step I Take 3:48
- A3 Games 3:13
- A4 I Want You For Myself 6:36
- A5 In The Distance 2:19
- B1 I Love You More 3:05
- B2 Dog-Man 4:39
- B3 Everybody's Talkin' 4:18
- B4 Part 1 - The Alien Challenges The Stick / Part 2 - The Alien Succumbs To The Macho Intergalactic Funkativity Of The Funkblasters 9:18
動画プレイリスト
このアーティストについて
George Duke(1946年〜2013年)は、アメリカ・カリフォルニア州サンラファエル出身のキーボード奏者、作曲家、プロデューサーだ。ジャズ、フュージョ...
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