Kool & The Gang - Emergency (1984)
Kool & The Gang 1984

Kool & The Gang - Emergency (1984)

Funk / Soul Disco

Kool & The Gang『Emergency』――80年代前半のポップ路線を決定づけた一枚

Kool & The Gangの『Emergency』は、1984年にDe-Lite Recordsから発表された16作目のスタジオ・アルバム。70年代のファンク・バンドとして出発した彼らが、80年代に入ってから確立した、ポップとダンスの要素を強めた作風をさらに押し広げた作品だ。James “J.T.” Taylorのリード・ヴォーカルを軸に、グループはクラブ向けの推進力と、ラジオで広く流通するメロディを両立させていく。『Ladies’ Night』『Celebrate!』で大きく成功した流れの先にあり、しかも前作『In the Heart』以降のセルフ・プロデュース体制を継続した点でも、キャリア上の節目に置かれるアルバムである。

制作背景と録音の経緯

本作は1983年10月から1984年8月にかけて、バハマのナッソーにあるCompass Point Studiosと、ニュージャージー州ウェスト・オレンジのHouse of Musicで録音された。クレジット上のプロデュースはKool & The Gang、Jim Bonnefond、Ronald Bell。70年代後半から長く組んでいたEumir Deodatoとの共同作業を終えたあと、1983年の『In the Heart』からはJim Bonnefondを加え、自分たち主体の制作へ移行している。

この流れの背景には、前作『As One』(1982年)がゴールド認定に届かず、商業面で苦戦した事情がある。とはいえ、その次の『In the Heart』からは「Joanna」がヒットし、BMIによって1984年に最もオンエアされたポップ・ソングとされた。『Emergency』は、そのセルフ・プロデュース路線2作目として制作され、グループが80年代型のソウル/ポップ・バンドとして機能していたことを示す内容になっている。

アルバムの中核を成す「Cherish」は、Robert “Kool” Bell、Ronald Bell、J.T. Taylor、Claydes Charles Smith、Jim Bonnefond、Curtis “Fitz” Williamsの共作。アルバム版は4分47秒、シングル版は3分58秒に編集されている。録音面では、最終マスタリングがSterling Soundで行われた点も記録されている。

時代の文脈――ファンク・バンドから世界的ポップ・グループへ

『Emergency』が出た1984年の時点で、Kool & The Gangは70年代の粗いファンク・バンドという印象から、世界的なポップ・アクトへと完全に姿を変えていた。1980年から86年にかけて全米トップ40シングルを14曲送り込み、その数はマイケル・ジャクソンを上回ったとされるほどで、80年代半ばの彼らの存在感はかなり大きい。『Emergency』からも「Fresh」「Misled」「Cherish」「Emergency」の4曲が全米トップ20に入り、1985年に1枚のアルバムから4曲のトップ20シングルを出した唯一のグループとされる。

また、本作の時期は、メンバーが1984年11月末に録音されたBand Aidの「Do They Know It’s Christmas?」にも参加していたタイミングと重なる。参加者の大半が英国・アイルランド勢で占められる中、アメリカのグループとして加わった点は象徴的で、彼らがすでにローカルなファンク・バンドではなく、国際的に認知されたポップ・アクトだったことを示している。

代表曲「Cherish」とその後の広がり

『Emergency』を語るうえで外せないのが「Cherish」だ。全米2位、全英4位、R&Bチャート1位を記録し、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは6週1位。1985年のACチャートを代表する曲として扱われた。バラードとしての性格が強く、Kool & The Gangの中でも特に長く流通した楽曲のひとつである。

後年、この曲は結婚式の定番曲のひとつとして定着していく。さらに1997年にはPappa Bear featuring Van der Toornによるサンプリング/翻案版がニュージーランドで1位となり、ヨーロッパ各地でもチャート入りした。

後世への影響とアルバムの位置づけ

『Emergency』は、Kool & The Gangが80年代に築いた成功のピークを示すアルバムでもある。アメリカで2×プラチナ、カナダでプラチナ、イギリスでシルバー認定を受け、商業的にもグループ最大級の成果を残した。

その後、J.T. Taylorは1987年にグループを離れ、Kool & The Gangは別の段階へ進む。グループは2024年にロックの殿堂入りも果たしている。

トラックリスト

  1. A1 Emergency 5:17
  2. A2 Fresh 4:22
  3. A3 Misled 4:56
  4. A4 Cherish 4:45
  5. B1 Surrender 5:00
  6. B2 Bad Woman 5:35
  7. B3 You Are The One 7:00

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Kool & The Gang

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Kool & The Gangは、アメリカ・ニュージャージー州で結成されたファンク/ソウル・グループだ。中心人物はベーシストのRobert “Kool” Bellで、兄...

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