Deep Purple - Stormbringer (1974)
Deep Purple 1974

Deep Purple - Stormbringer (1974)

Rock Hard Rock

Deep Purple『Stormbringer』1974年作、日本盤1976年プレス

Deep Purpleの『Stormbringer』は、1974年に発表された9作目のスタジオ・アルバムで、いわゆるMk III編成の2枚目にあたる作品だ。David CoverdaleとGlenn Hughesが歌唱面でも前面に出た時期のアルバムで、Ritchie Blackmore、Jon Lord、Ian Paiceを含む布陣の中でも、バンドの音の重心が少し動いた時期の記録になっている。ハードロックの看板を掲げながら、前作『Burn』よりもソウルやファンクの要素がはっきりした内容で、Deep Purpleの中でも性格の違いが見えやすい1枚。

作品の位置づけ

この時期のDeep Purpleは、Led ZeppelinやBlack Sabbathと並んでハードロック初期の重要バンドとして語られる一方で、同じ枠に収まりきらない動きを見せていた。『Stormbringer』は、その変化がそのまま形になったアルバムだ。制作はミュンヘンのMusicland Studiosで行われ、1974年8月録音、同年9月ミックス。英国盤の発売は1974年11月16日。短い間隔で『Burn』に続いて発表されたこともあって、当時のバンドの勢いと緊張感がそのまま盤面に残っている。

この作品では、Coverdaleのヴォーカルの押し出しとHughesの高い声域、そして2人のハーモニーが印象に残る。従来のDeep Purpleにあるリフ主体の硬さに加えて、リズムの跳ね方や歌のフレーズ運びが前面に出る場面が多い。Blackmoreのギターはもちろん存在感が大きいが、アルバム全体では以前の直線的な重さだけではなく、曲ごとの色の違いがはっきりしている。

代表曲と聴きどころ

タイトル曲「Stormbringer」は、アルバムの顔として扱われることが多い1曲で、力強いリフと歌のフックが分かりやすい。シングルとしても出ており、この時期のDeep Purpleを象徴する曲のひとつになっている。「Soldier of Fortune」は、同作の中でも特に知られた楽曲で、派手な速さよりも旋律の流れが印象に残る。ライブやコンピレーションでも取り上げられることが多く、アルバムの中で別の表情を見せる曲だ。

「Lady Double Dealer」や「The Gypsy」も含め、曲ごとにリズムの置き方やコーラスの作り方が変わるため、全編を通して聴くと、Deep Purpleの中でもかなり歌主体の作りに寄った一枚だとわかる。ハードロックの骨格は保ちながら、演奏の隙間にファンク寄りの動きが入る場面もあり、Mk II期の直線的な攻撃性とは違う手触りがある。

当時の反応とバンド内の空気

発表当時は評価が割れた。従来の重いハードロックを期待した耳には、ソウル/ファンク寄りの方向性が意外に響いたはずだし、逆にその変化を面白く受け取った聴き手もいた。商業面では成功しており、英国チャートでは高位を記録し、米国でも上位に入っている。人気の大きさと、作品の性格の変化が同時に進んだ時期だった。

後年の回想では、Blackmoreがこの路線に積極的ではなかったことが語られている。実際、『Stormbringer』にはバンド内の温度差がそのまま表れているような部分があり、その意味でもMk III後期の空気を伝える資料性が強い。ここでの音作りは、のちのDeep Purpleの歴史を振り返るときにも、単なる中継点ではなく、編成の個性が最も表に出た時期の記録として見えてくる。

1976年の日本盤について

この盤はJapan Warner-Pioneer Corporationからの日本盤で、1976年プレス。オリジナルの1974年盤から時間を置いた再発にあたり、当時の日本盤らしくインサートと帯が付く仕様になっている。海外オリジナル盤と比べると、見た目の情報量が増えるのが日本盤の面白さで、帯付きで残っているかどうかもコレクション上の印象を左右しやすい。

Deep Purpleの日本盤は、70年代ハードロックの受容を考えるうえでも重要な存在だ。国内ではこの時期、Led Zeppelin、Black Sabbath、Uriah Heepなどと並んでDeep Purpleが強く支持されており、『Stormbringer』のような少し路線の違う作品も、アルバム単位でしっかり聴かれていた。1976年の再発盤は、オリジナル期の空気を日本のリスナーに届けた一枚として位置づけられる。

まとめ

『Stormbringer』は、Deep Purpleの中でも編成の変化が音に直結したアルバムだ。ハードロックの基本線を保ちながら、歌とグルーヴの比重が増したことで、同時代の重厚なロック作品の中でも少し違う輪郭を持つ。タイトル曲と「Soldier of Fortune」を軸にしつつ、バンドがどこへ向かっていたのかをたどれる内容になっている。1976年の日本盤は、その作品を日本のリリース文脈で受け止めた1枚として見ると、また違った味わいがある。

トラックリスト

  1. A1 Stormbringer 4:03
  2. A2 Love Don't Mean A Thing 4:23
  3. A3 Holy Man 4:28
  4. A4 Hold On 5:05
  5. B1 Lady Double Dealer 3:19
  6. B2 You Can't Do It Right (With The One You Love) 3:24
  7. B3 High Ball Shooter 4:26
  8. B4 The Gypsy 4:13
  9. B5 Soldier Of Fortune 3:14

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
Share
戻る

あわせて聴きたい "Hard Rock"

toast