Yes - Going For The One (1977)
Yes『Going For The One』
1977年に発表されたYesの『Going For The One』は、長尺中心だった直前期の流れから少し形を変え、短い曲構成を前面に出したアルバムだ。制作は1976年10月から1977年4月にかけて、スイス・モントルーのMountain Studiosで進められた。長くバンドを支えてきたEddy Offordは外れ、John TimperleyとDavid Richardsがエンジニアを担当している。Steve Howeは、この制作を「新鮮で興奮した」と振り返っている。さらに、Rick Wakemanの復帰も大きな要素で、作品の推進力になったとされる。
制作背景と収録曲のポイント
収録曲のうち「Parallels」には、Chris Squireのソロ作『Fish Out of Water』にあったアイデアが再利用されている。後にライヴ定番になったこの曲は、アルバムの中でも重要な位置を占める。タイトル曲「Going For The One」ではSteve Howeのスティール・ギターが印象的で、「Wonderous Stories」はバラードとして知られ、「Awaken」は組曲的な締めとして注目されてきた。録音面では、B2トラックがEglise des Planches, Montreuxで録音され、教会オルガンはSt. Martin's Church, Veveyで収録された。
この作品は、Chris Squire、Steve Howe、Rick Wakeman、Jon Anderson、Alan Whiteという古典的な編成が前面に出た時期の1枚でもある。バンドの中でキーボードの存在感が戻ったこと、そして録音場所や曲の構成が作品の骨格を作っている。
時代の文脈
1977年はパンクやレゲエの存在感が強まっていた時期で、Yesのようなプログレッシブ・ロックの大編成バンドは、同時代の動きの中で別の位置に置かれていた。『Going For The One』では、長大で複雑な構成を続けてきた流れのあとに、より短い曲を中心に据えている。前作群『Close to the Edge』『Tales from Topographic Oceans』『Relayer』を踏まえたうえでの変化として記録されている。
このアルバムは、Yesのキャリアの中でも節目の作品だ。1970年代中盤の実験性を経て、古典的なラインナップが再びまとまった作品として位置づけられている。英国ではアルバム・チャート1位を2週間獲得し、米Billboard 200では8位まで上昇した。「Wonderous Stories」は英国で7位となり、Yesにとって英国での最高位シングルになった。
後世への受け止め
後年の評価では、見過ごされがちだが重要な一枚として語られることがある。AllMusicのRoss Boissoneauは、本作をYesのカタログの中でも見過ごされがちな作品としつつ、音の大きさと旋律美が両立したアルバムだと評している。「Awaken」や「Parallels」は、その後のライヴや再編集盤でも注目されることが多い。サンプリングのような広い意味での引用例よりも、再評価の対象として扱われる場面が目立つ作品でもある。
US盤のこのリリースはAtlanticのSD 19106で、ゲートフォールドのロールフォールド仕様、歌詞はダストバッグに収められている。録音、編成、曲の構成がまとまって見える、Yesの1977年作として印象に残る一枚だ。
トラックリスト
- A1 Going For The One 5:30
- A2 Turn Of The Century 7:58
- A3 Parallels 5:52
- B1 Wonderous Stories 3:45
- B2 Awaken 15:38
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