Big Big Train - Grimspound (2017)
Big Big Train 2017

Big Big Train - Grimspound (2017)

Rock Prog Rock

Big Big Train『Grimspound』

英国プログレッシヴ・ロックの雄、Big Big Trainが2017年に発表した通算10作目のスタジオ・アルバム。前作『Folklore』(2016年)の録音セッション中に派生した音楽的アイデアが急速に膨らみ、当初構想されていたミニ・アルバム(EP)の枠組みを超えて、わずか1年足らずでフル・スタジオ・アルバムとして完成された作品である。

制作背景と参加メンバー

本作はバンドの黄金期を牽引した8人編成の鉄壁のアンサンブルによって生み出された。フロントマンを務める故デイヴィッド・ロングドン(ボーカル/フルート)を中心に、創設者グレッグ・スポートン(ベース/ギター)、元XTCの名手デイヴ・グレゴリー(ギター)、元ビアードフィッシュのリカルド・ショーブロム(ギター/キーボード/アコーディオン)、名ドラマーのニック・ディヴァージリオ(ドラム/元スポックス・ビアード、ジェネシス)、レイチェル・ホール(ヴァイオリン)、ダニー・マナーズ(ピアノ/キーボード)、アンディ・プール(ベース/キーボード)という実力派たちが集結している。

アルバムタイトルの『Grimspound』は、イングランド南西部ダートムーアの荒野に実在する青銅器時代末期の石造り集落遺跡に由来する。ジャケットには画家サラ・ルイーズ・ユーイングによる、夜の森に静かに佇むフクロウの油彩画がフィーチャーされた。

楽曲解説と時代の文脈

2010年代のモダン・プログレ・シーンにおいて、70年代ジェネシスやイエス直系のシンフォニックな美学を受け継ぎつつ、英国の歴史・風土・民間伝承を題材にした「パストラル(田園的)・プログレッシヴ・ロック」の最高峰として確立されたバンドの作風が遺憾なく発揮されている。

12分半に及ぶ冒頭の大曲「Brave Captain」は、第一次世界大戦の若き英国軍撃墜王アルバート・ボール大尉(弱冠20歳で戦死)の生涯を描いた感動作。静謐なピアノとフルートのイントロから、ドラマティックな変拍子とロングドンの情熱的なボーカル、ニック・ディヴァージリオの躍動感あふれるドラミングが一体となって押し寄せる。

アルバム最長となる15分超の組曲「A Mead Hall in Winter」は、古代アングロサクソンの集会所(ミード・ホール)を舞台に、学問や知性の継承を讃えた壮大なナンバー。ショーブロムのハモンドオルガンとグレゴリーの流麗なギターソロが圧巻のインタープレイを展開する。

さらに注目すべきは「The Ivy Gate」である。名門フォーク・グループ「フェアポート・コンヴェンション」の初代女性シンガーであるジュディ・ダイブルがゲスト参加し、バンジョーの爪弾きに乗せてダートムーアの怪異譚をロングドンとともに幽玄なデュエットで歌い上げている。18世紀の啓蒙科学者たちを描いた「Experimental Gentlemen」など、知的好奇心と叙情美が全編に満ちている。

評価とアナログ盤の仕様

本作はリリース直後からプログレッシヴ・ロック専門誌や各音楽メディアから「2017年を代表するプログレッシヴ・ロックの傑作」と絶賛され、全英公式ロック&メタル・アルバムチャートでも上位に進出。英国Plane Groovyから発売された本LPは、4ページのカラーインサートを備えた豪華見開き(ゲートフォールド)仕様で、アナログ盤ならではの豊かなダイナミクスと温かみのある音響がオーディオファイル層からも高く評価されている。

トラックリスト

  1. Brave Captain 12:37
  2. A2 On The Racing Line 5:12
  3. Experimental Gentlemen: 10:01
  4. B2 Grimspound 6:56
  5. C1 Meadowland 3:36
  6. C2 The Ivy Gate 7:27
  7. C3 As The Crow Flies 6:44
  8. D1 A Mead Hall In Winter 15:20

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Big Big Train

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