Stevie Wonder - Down To Earth (1966)
Stevie Wonder『Down To Earth』
1966年11月16日にTamlaから発売された、スティーヴィー・ワンダーの6作目のスタジオ・アルバム。16歳だったワンダーが、声変わりを経たあとの姿であらためてモータウンの看板に戻ってきた一枚でもある。録音は1965年から1966年にかけてデトロイトのヒッツヴィルU.S.A.で行われ、プロデュースはデビュー以来の師であるクラレンス・ポールとヘンリー・コスビー。演奏はファンク・ブラザーズが担い、ドラムのベニー・ベンジャミン、ベースのジェームス・ジェマーソンらが参加している。バック・コーラスにはジ・オリジナルズとジ・アンダンテス、ワンダー自身はハーモニカ、キーボード、ドラム、パーカッションも担当した。
制作背景・エピソード
冒頭を飾る「A Place in the Sun」は、モータウン初の白人専属作家とされるロン・ミラーと、ブライアン・ウェルズの共作。ミラーはピザ配達で生計を立てながらモータウンのミッキー・スティーヴンソンに曲を売り込み、ベリー・ゴーディと面会した経歴がある。ウェルズとは1966年5月、大学生だった彼がピアノ・バーで演奏していた場で出会ったという。ウェルズによれば、曲は自分が先に書いてミラーに渡す形で進み、メロディーやコード進行は「むしろカントリーの曲」だったという。同名の小説・映画から着想したという説は、ウェルズ自身が否定している。作品はワンダーを想定して書かれたが、クラレンス・ポールが自分で歌った版を録ってモータウンの金曜会議に持ち込んだところ、ゴーディが「これはスティーヴィーの曲だ」と判断したという。
ワンダー版では、最後のコーラス前に語りが入る。イタリア語版「Il Sole è di Tutti」も録音された。収録曲には、コスビー、シルヴィア・モイ、ワンダーの共作「Thank You Love」「Be Cool, Be Calm (And Keep Yourself Together)」「Sylvia」、ポールとワンダーらの共作「Hey Love」に加え、ソニー・ボノの「Bang Bang」、ボブ・ディランの「Mr. Tambourine Man」、マール・トラヴィスの「Sixteen Tons」、シュープリームスの「My World Is Empty Without You」、1920年代の「The Lonesome Road」など、カバーも並ぶ。
時代の文脈
前作『Up-Tight』に続いて、本作は声変わりを終えた16歳のワンダーを、モータウンのヒットメイカーとしてあらためて位置づけた作品とされる。初期のティーン・ポップ路線から離れた一枚で、同時期にはディランやソニー・ボノなど、フォーク/ポップ系の楽曲を取り込んでいる(『Up-Tight』ではディランの「Blowin' in the Wind」を歌っていた)。ウェルズは「A Place in the Sun」を「Fingertips」のような初期の作品からの転換だったと振り返り、ラジオで十代のリスナーが「全然好きじゃない」と言っていたのを覚えているという。「A Place in the Sun」は、ワンダー初期の社会的なメッセージを含む曲のひとつとして語られている。ロン・ミラーはこのあと「For Once in My Life」「Yester-Me, Yester-You, Yesterday」「Heaven Help Us All」などをワンダーに書くことになる。
アルバムはBillboardのアルバム・チャートで92位、シングル「A Place in the Sun」はBillboard Hot 100で9位、R&Bチャートで3位、全英20位を記録した。
後世への影響
「A Place in the Sun」は多くのアーティストに取り上げられた。ラスカルズは1967年の『Groovin'』で録音し、エンゲルベルト・フンパーディンク、フォー・トップス、ステイプル・シンガーズ、グレン・キャンベル、さらにダイアナ・ロス&シュープリームスとテンプテーションズの共演盤でも歌われている。「Hey Love」は1969年、デトロイトのソウル・シンガー、ベティ・ラヴェットがシングル「With a Little Help from My Friends」のB面で取り上げた。
聴きどころとして挙げられている点
Albumismのジュリア・ビアンキは、ワンダーの歌声に以前より豊かさと深み、新しい成熟が出ていると評している。「Bang Bang」をギターやグロッケンシュピールを使ったノワール調のミディアム・テンポに組み替えた点、「Thank You Love」をワンダーの最良のバラードのひとつとした点、「The Lonesome Road」でカントリー風の解釈を見せた点も挙げられている。「Sixteen Tons」はブルージーでノワールな味付け、「Mr. Tambourine Man」はピアノとタンバリン、スタッカートのギターで組み直されているとも書いている。
1966年のUS初出盤はモノラル仕様で、レーベルには「TM-272」、ジャケット背には「TM272」、表裏には「272」と表記されている。マトリクスにはRの刻印があり、ロックアウェイのプレスとされる。
トラックリスト
- A1 A Place In The Sun 2:59
- A2 Bang Bang 2:38
- A3 Down To Earth 2:50
- A4 Thank You Love 2:49
- A5 Be Cool Be Calm (And Keep Yourself Together) 2:51
- A6 Sylvia 2:31
- B1 My World Is Empty Without You 2:51
- B2 The Lonesome Road 3:08
- B3 Angel Baby (Don't You Ever Leave Me) 2:47
- B4 Mr. Tambourine Man 2:34
- B5 Sixteen Tons 2:50
- B6 Hey Love 2:54
動画プレイリスト
このアーティストについて
Stevie Wonderは、アメリカ・ミシガン州サギノー出身のシンガー、作曲家、マルチインストゥルメンタリスト、そして社会活動家だ。1950年5月13日生まれ...
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